前回ご紹介した「仕立て衿」は、長襦袢なしの軽快な装いを可能にしてくれました。
今日はその日着用した綿薩摩(めんさつま)と半幅帯のコーディネートをご紹介します。
1.綿薩摩(めんさつま)と半幅帯
①綿薩摩とは
宮崎県都城市 東郷織物(とうごうおりもの)で製作されている木綿の絣で、薩摩絣とも言います。
大島紬と同じ技法により作られる織物で、手触りは従来の素朴な綿織物とまったく違い、ふんわり、しっとりしています。木綿の中でも、一番細い糸を使って織られているため絹のような光沢や風合いがあると言われています。一反織り上げるのに半年かかるそうです。
貼り付け元 <https://kimono-kitai.info/10871.html>
単衣の綿薩摩です。
綿薩摩は古典的な柄よりも洗練されたシャープな柄が多いようです。
この着物は遠目では縞柄ですが……
竹の模様になっています。
蚊絣(かがすり)と亀甲絣(きっこうがすり)が交互に配されています。
②リバーシブルの半幅帯
前からでは半幅帯とはわかりませんが、
浴衣にも着用できる半幅帯を角出し風に結んでいます。
これは「おりびと」の半幅帯です。
表はポップなボタン柄で和柄の円文にも見えます。
裏側を締めるとおとなしい雰囲気です。
「おりびと」の半幅帯は柔らかくて締めやすいので重宝しています。
ポリエステルでも緩まない点が良いです。
帯の本場群馬県の桐生織りのブランド細帯で、長さも390cmあるのアレンジが楽しめます。
帯の結び方はこちらで紹介しています。
2.ガラスボタンの帯留めと三分紐
①下駄でカジュアルに
ボタン柄の帯なので帯留めもガラスのボタンにしました。
チェコガラスのボタンでエーデルワイスの花柄です。若い頃のピンクの三分紐を久しぶりに使いました。
ボタンを帯留めにする方法についてはこちらで紹介しています。
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赤い鎌倉彫の塗下駄を合わせると、より軽快な気分になりました。
②草履で少しよそ行きに
私は前述①のコーディネートが好きですが、出かける場所によっては少し落ち着いた雰囲気も必要です。
着物、帯、帯揚げは変えずに、帯留めと三分紐、履物を変えてみました。
同じガラスのボタンですが、落ち着いた蝶柄です。
渋めの草履を合わせました。
下駄か草履かで印象が大きく変わることはないと思いますが、人の視線が向きやすい帯留めと帯締めは、印象を変える要素になるようです。
3.袷の綿薩摩
綿薩摩はもちろん袷でも着ることができます。
一般的な木綿着物と違ってごわつきがなく、薄く柔らかいので、袷にしても絹の着物のように軽く感じられ、暖かさもあります。
同じ織機で作られる大島紬はひんやりした手触りが特徴ですが、綿薩摩はしっとりしたヌメリ感があります。
藍の綿薩摩です。
細かい蚊絣で模様が作られています。
イカット柄の紬の帯をあわせています。
幾何学模様のシンプルな着物には、このような鹿や鳥、植物の模様がいっぱいの個性的な帯がよく合います。
白の綿薩摩
藍色の綿薩摩はカジュアル感がたっぷりですが、白地のものは合わせる帯によって雰囲気が変わります。
白地に松文様の綿薩摩です。
木綿(インド更紗)の帯で
和紙で作る紙衣(かみこ)*の帯で
*紙衣についてはこちらで紹介しています。
絹の絽刺し(ろざし)*の帯で
*絽刺しについてはこちらで紹介しています。
木綿や和紙の帯では普段ぽい装いになりますが、光沢のある絹の帯を合わせると、綿薩摩の
しなやかな風合いが引き立ち、絹の着物のようなお洒落感が出るように思いました。