現代のお太鼓は、薄くてピッタリとした真四角の形が理想とされているようです。
それにともない帯枕の形も変わりました。
今日は帯枕について考えます。
1.帯枕にも流行がある?
① 帯枕について考えるきっかけになったこと
きっかけは娘が着付け教室(日本和装)に通い始めたことでした。
私が若い頃からお太鼓用として長年使っていた帯枕を持たせたところ、「これは振袖用なので、違うものを持って来てください」と言われてしまったのです。
この枕です。
当時は母もこのタイプの帯枕を使用していました。
現代は丸みのある枕は振袖用に分類され、四角いお太鼓を作るための違うタイプのものが必要になったのだと思います。
② 昭和の帯枕とお太鼓
昭和時代の帯枕はほとんどが丸いタイプでしたので、お太鼓の山もなだらかなカーブを作っていました。
また、私が若い頃は、「若い女性のお太鼓は丸みを持たせてふっくら作るのよ」と母や祖母が言っていました。
△昭和の着付け本に掲載されたお太鼓
カジュアルな場合は少し右を上げて、お太鼓に表情を付けています。(写真:主婦の友デラックスシリーズ『美しい着つけと帯結び』主婦の友社・昭和54年発行 より引用)
平成になって発行された着付けの本でも、帯枕は同じように丸みを帯びたものが掲載されていました。
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△ 平成12年発行の本に掲載されていた<袋帯用帯枕と帯板>(写真:『着物の知識と着つけ』網野鉦一著 グラフ社 平成12年発行 より引用)
また、当時「振袖用」の帯枕とされていたのはこちらです。
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△ハマグリ型の枕
③ 流行ではなく進化?
最近の帯枕の形は細長いものが主流になったようです。
お太鼓の端まで枕があれば自然にまっすぐでシャープな形のお太鼓ができあがりますし、枕を当てる時も中心を探す必要がありません。
帯枕の形が変わったのは、流行というより進化なのかもしれません。誰でも同じようにまっすぐなお太鼓を作るための便利グッズといえるでしょう。
2.長い帯枕〈空芯才ビッグ〉を購入
以前にもご紹介しましたが、横が長く背中への当たりが柔らかい「空芯才」という帯枕があります。
私は高さ(厚さ)4.5cmの「空芯才デラックス」を使用しています。
こちらでも紹介しました。
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①空芯才デラックス
△洗えるメッシュ帯枕 空芯才(横の長さ25cm・幅9cm・高さ4.5cm)
以前はいつも丸みのある帯枕を使っていましたが、最近は留袖や訪問着に袋帯を締めるときにこれを使用しています。
枕のカバー(帯枕の紐)は綿とポリエステルの混紡です。
ガーゼよりも厚い生地で伸縮性があります。
②空芯才ビッグ
新しく「空芯才ビッグ」を購入しました。
横の長さ25cm・幅9cm・高さ6cm
長さと幅は①の空芯才デラックスと同じで、高さだけが違うのですが、見た目はかなり大きく感じます。
製造・販売元のたかはしきもの工房の商品説明によると、踊りをする人や高い帯枕で帯を華やかにしたい人向きとのこと。
また、高さの出にくい柔らかい帯にもおすすめだそうです。
3.丸い帯枕と長い帯枕…違いを検証
丸い帯枕と長い帯枕ではお太鼓の山の形に違いが出るのでしょうか……。
トルソーに着せて比較しました。(帯は白山紬の名古屋帯を使用)
①丸い帯枕(横21cm・高さ4.5cm)
今回はこの帯枕を使用します。
両端はなだらかな曲線になり、少し凹みがみられます。
②長い帯枕(横25cm・高さ4.5cm)
凹みはなく、端が少しだけ下がっています。
③長い帯枕(横25cm・高さ6cm)
端が下がっているようには見えません。
丸形、長、長大の帯枕を比較
①②③(丸形・長・長大)をもう一度比較してみましょう
上から
真横から
真後ろから
総評
- ③のビッグサイズの帯枕はお太鼓が巨大になるか心配でしたが、それほど大きくはならなかったようです。
- 長さと高さ(厚み)のある帯枕は、両端のたるみが少ないシャープなお太鼓になることがわかりました。
おわりに
今日は進化した帯枕について取り上げました。帯枕はまだいろいろ工夫されたものがあるようです。また試してみたいと思います。
とは言っても、私は昔ながらの丸みのある帯枕が作るお太鼓が好きです。皆さんはいかがですか?
着付け教室での練習は別として、お太鼓の形は自由に、個性的な着こなしを楽しんでみてはいかがでしょうか?
私の好きな形です。