皆さんは譲り受けた着物やリユース着物の袖丈が長すぎて困った経験はありませんか?
着物の袖が長いと長襦袢の振りが飛び出してしまい、格好が悪いですね。
今日は簡単に直して着る方法をご紹介します。
1.昔のきもの……いろいろな袖丈で
①年齢とともに変わる袖丈
アンティーク着物だけではなく、昭和時代の袖丈は個人差や年齢差が大きいものでした。
私も十代はじめから二十代はじめにかけては様々な袖丈のきものを着ていました。
1尺8寸(68.4cm)・1尺6寸5分(62.7cm)・1尺6寸(約61cm)・1尺5寸(57cm)・1尺4寸(53.2cm)の5種類ほどあり、長襦袢もそれぞれに合わせてとても面倒でした。
中でも1尺5寸(57cm)の着物が多かったので、結婚後もそのまま着用していました。
その頃の母は1尺2寸~3寸の袖丈で、着物によって違いました。(普段着が短めです)
祖母はもっと短い袖丈の物も着ていました。
昔は若い女性の袖丈は長めで、年齢と共に短くなっていたようです。
また、1枚のきものを何回も洗い張りと仕立て直しを繰り返し、また染め直しをしたりして着ていたので、短くするほうが都合がよかったのかもしれません。
②蝶と唐花(からはな)文様の紬
長年愛用している紬地のきものです。(袖丈は約57cm)
きものの袖丈に明確な決まりごとはないので気にせず着用していましたが、最近はさすがに長いままの袖で着ることに抵抗を感じるようになりました。
娘が赤ちゃんの頃、初節句に着ていました。
その後も八掛(裾廻し)を地味な色に換えて*着用しています。
*着物を長く着るための一つの方法が八掛交換です。
こちらで取り上げています。
2.袖を解かずに丈を直す
1で紹介した紬のきものを一尺三寸(約49cm)に直しました。
*私は『昔きもののレッスン十二ヶ月』別冊太陽(2003年)を参考にしています。
①袖を裏返す
袖を裏返し、表裏の袖と裏地がずれないように平らに置きます。(表の袖が上になるように置きます)
②アイロンを掛ける
袖口下の直す部分にアイロンを当て、ずれないように落ち着かせます。
③縫う
仕上げたい長さ(ここでは赤い糸で示しています)の2ミリ外側を縫います。
並み縫いでも良いのですが、布が4枚重なっていて針を真っ直ぐ進めにくいので、私は半返し縫い*をしました。(縫い目は表に出ないので、不揃いになっても大丈夫です)
*半返し縫い……ひと針進んで半針返しながら縫う縫い方
④折り返す
仕上がり線で折り返し、アイロンを掛けます。
⑤裏地に縫い留める
振りは三角に折り込んで、折り返した袖を裏地に縫い留めます。
折り返した袖は、裏地だけに縫い留めます。
折り返しが振りから見えないようにするために三角に折り込んでいます。
⑥出来上がり
表に返して出来上がりです。
向かって左が直した袖です。
7cm短くすると軽快な感じになります。
注意
- これはあくまで簡易的な直しなので、カジュアルな着物に向いています。
- 袖の丸みがなくなるので、少しかたい雰囲気になります。(男物の着物にも丸みは少しあります)
- 単衣の場合は裏地がないので、袖の振りを部分的に解いたり、縫い留めるときは表地に響かないような縫い方が必要です。(表地と同じ糸を使う必要もあります)
早速着用してみました。 続く……