今日は初心者の方向けに、浴衣にもカジュアル着物にも合う半幅帯の簡単な結び方をご紹介します。
浴衣の帯結びの定番である文庫結びや貝の口より単純な帯結びです。
1.半幅帯はきもの初心者の味方
①昔はなかった半幅帯の変わり結び
私が子供の頃の半幅帯は
- 浴衣用
- 子供用
- 日舞の稽古用
- 家で過ごすきもの用
- 羽織や茶羽織、うわっぱりや割烹着などを着るとき用
に使われるものでした。
ですから大人がお出かけ用に使うものではなく、おしゃれに結ぶ必要がなかったので、子供や若い人は「文庫結び」、年配の女性は「貝の口」…と、何となく決まっていました。
20年前頃からでしょうか、長尺の半幅帯で華やかに結ぶ装い方が流行し始めました。
見栄えが良く、ちょっとした街着に十分使える半幅帯の存在は、今ではきもの初心者の強い味方になっています。
②お太鼓風に見せる
今回は下の結び方を取り上げます。
「二筋太鼓」という言い方もあります。
両面使いにするとお太鼓が華やかです。
半幅帯で作るので小ぶりなお太鼓になりますが、タレがあることでお尻が隠せて落ち着いた雰囲気が出せます。
③この結び方の魅力
- 体の前で手元を見ながら結ぶので、やりやすい
- 帯結びのときの第一のハードルである「手先」と「たれ」の区別がなく、手順も簡単に覚えられる
- 単純な結び方のわりには見栄えが良い
- 固結びするので、ゆるみがない
- 落ち着いた雰囲気でヒップをカバーできる
2.一色のお太鼓
今回使用する帯……単衣の浴衣帯(356cm)
①左右同じ長さになるように試し巻きをする
背中に帯をあて、左右同じぐらいの長さになるように前に持ってきます。
左手側の帯を、だいたいウエスト一回り分短くなるようにずらします。(わかりやすいように帯を持ち上げています。このトルソーの場合は、胴回り分約80cmの差を付けました)
短くなった左手側の帯に右手側の帯を重ねて、試しに胴に巻いてみます。(これで二巻したことになります)
二巻きしてみて左右の長さが違っていたら、調整します。
ずらす長さは個人差があるので、何cmというより<適当に巻いてみて>合わせましょう。この作業は簡単なので、巻く前に長さを決めてクリップで止めたりする必要はありません。
鏡に写して行うと長さが分かりやすいです。
慣れれば調整無しで巻けるようになります。
②調整できたらもう一度
だいたい左右同じになる位置がわかったら、巻き直します。
巻き始めは、左手側の帯を半分に折りながら右脇で重なるようにします。(重ねるとき、左の帯は巻いた帯の上に出るように)
「巻き始めはこのように三角に折って……」と指導するところがあるようですが、この折りかたは慣れないと難しいと思いますので、必要ありません。
とにかく、ここでは、<前でひと結びする>ことだけを目指します。
二巻したら右脇に寄せていた下側の帯を中心にずらします。
③前で結ぶ
右から巻いてきた帯を半分になるように斜めに折り上げます。
これは、結びやすくするためなので、ぜひやってください。
斜めに折り上げた帯にもう片方の帯を上からかぶせ…
ひと結びします。
結ぶとき、もう一度左右の長さが同じか確認します。
もしかなり違っていたら、そのまま帯を少し回しながら左右の長さを調節します。調節したら、結び目が体の中心にくるように直します。
④固結びに
もう一度結んで
固結び(真結び)にします。
二枚の帯を揃えて持ち上げた時、だいたい同じ長さであればOKです。
⑤結び目にかぶせる
二枚の帯を合わせて結び目の下から
上に向かって通します。
結び目にかぶせるように垂らします。
55~60cm垂らすことができればお太鼓が作れるので、このとき全部引かず、少し手前で止めます。
帯を引ききっていないので、このように余りがモコモコしています。
余っている分を帯の下に入れます。これが台になって安定します。
(余りがなければ小さいタオルなどを入れると安定します)
⑥ずらす
二枚の帯を横にずらします。ここでお太鼓の幅が決まります。
帯揚げをかけて後ろで仮結びします。(帯揚げは必須ではありません。)
⑦お太鼓を作る
お太鼓のタレの長さを好みに合わせて決めて、仮紐でおさえ、後ろで結びます。
(クリップは使わなくてもできます)
おはしょりが隠れるようにタレの端の位置を決めるとお尻が隠せます。
仮紐の位置は、胴に巻いた帯の下のラインです。
慣れれば仮紐を使わなくてもすぐにお太鼓が作れるようになります。
帯を下ろしてお太鼓を作ります。(お太鼓とタレの割合はお好みで)
帯締めを中に通し
後ろで軽く結んで余りは脇に挟んでおきます。お太鼓の形をととのえます。
「正しい形」というのはありません。お太鼓の大きさや、タレの長さ、向きなど、自由に作ってください。
⑧後ろに回して仕上げる
お太鼓を右手で上からしっかりつかんで、右回りで後ろに回します。
左側に回すと着物が着崩れてしまいますので注意してください。
仮紐を取り、前板を帯の間に入れます。
仮に結んでいた帯揚げと、帯締めを結び直します。
出来上がり
3.リバーシブルで二色のお太鼓
使用する帯……リバーシブルの浴衣帯(356cm)
リバーシブルの帯を使うと、趣が変わります。結びかたは同じなので、途中から紹介します。
①固結びしたら中表に
固結びをして、二枚の帯の長さが同じになっているか確認します。
たくさん出したい柄が外側になるようにして、二枚の帯を中表に合わせます。
②結び目にかぶせる
二枚の帯を先ほどと同じ様に結び目の下から通します。
60cmほど結び目の上に垂らします。
結び目の下の余っている帯を中に入れて土台を作ります。
③ずらす
2枚の柄のバランスを鏡で確認しながら、横にずらします。
帯揚げをかけて後ろで仮結びします。(帯揚げはしなくてもよいです)
④お太鼓を作る
おはしょりが隠れるようにタレの長さを決めて仮紐を帯の下ラインに当て、後ろで結びます。
(クリップは使わなくてもできます)
お太鼓を作り、帯締めを仮結びします。
⑤後ろに回して仕上げる
お太鼓を後ろに回します。
仮紐を取り、前板を帯の間に入れます。前板は斜めに差し入れてから帯の間に隠します。
帯揚げと、帯締めを結び直します。
出来上がり
今日は単純な固結びから作る大人っぽい半幅帯のお太鼓風をご紹介しました。
お尻もカバーできるので、中高年にも向いています。
次回は、もう少し長い半幅帯を使って簡単な結び方をやってみます。