お直し/リメイク 生地

9月の絽のきもの

2018年8月26日

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まだまだ暑い9月のはじめ。皆さんは何を着ますか?

今日は9月の絽のきものを考えます。

1.いつまで夏物?

①9月上旬

暑さが残っているようなら、私は10日頃まで絽を着ています。

10日以降でも気温によっては絽を着ますが、時々薄物を着ていても楽しくないことがあります。

気持ちがすでに単衣に向かっているからでしょうか…。そんな時は絽紬や薄い単衣を選んで着ています。

②帯は夏帯

絽のきものならもちろん夏帯を合わせます。ただし織り目が粗い紗や羅の帯は避けます。

染織研究家・木村孝さんが、著書のなかで次のように述べています。

<木村孝さんのアドバイス>

「単衣に合わせる帯で迷うことのないように言っておきましょう。6月から9月中は夏衣の単衣仕立てですから、帯はすべて夏帯を取り合わせます。『9月下旬になれば帯だけでも冬物を合わせて季節の先取りをしましょう』と言う呉服店もあるそうですが、残暑の中ではかえって暑苦しいようです。」

『伝えておきたい嗜みごと 美しい着物、美しいひと』木村孝著 淡交社 2008年
より

③長襦袢・衿も夏物

私は、長襦袢は麻、絽、絹や綿のレースを着用します。

そして衿は絽。帯揚は絽か絽縮緬を使用しています。

④色は濃いめ

夏物には秋草が描かれていることが多いので、柄についてははそれほどこだわりませんが、少し色の濃い着物の方が初秋らしいと思います。

白っぽくて涼感たっぷりのきものは、9月には避けたほうが気持ちも落ち着くようです。

 

2.若い頃の絽のきものをリメイク

染め直した絽のきものをご紹介します。

全体に柄のある小紋なので、上から全体に色をかけ、少し渋い色にすることにしました。盛夏は避け、6月・9月の気温が高い日に着ています。

①駒絽の小紋

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染め直す前。朱色の派手な小紋です。

 

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駒絽*の生地で、石摺り(いしずり)*が施されています。

*駒絽…駒撚糸(こまよりいと)という撚りを強くかけた糸で織り上げた絽で、撚りをかけない糸を使う平絽よりシャリ感があって涼しいです。

*石摺り…無地染めの技法のひとつです。染めた布地を石の石肌を利用したり、木目の立った板、文様を彫ったものの上に置いてブラシでこすり、ところどころ色がはげて、濃淡の色むらを出すものです。

とても着心地が良く、大好きなきものでしたが、夏物ゆえにあまり着ることなく派手になってしまいました。

もう一度袖を通すことが出来たら…と、目引き染めによるリメイクをしました。

②目引き染め

目引き染めとは、染め直しのやり方の一つで、派手なきものに色を加えて地味にする方法です。(以下の記事参照)

柄の白い部分も同じように色がかかるので、あまり濃い色にすると柄が無くなってしまいます。

きものの赤みを抑え、なおかつ模様も薄く残したいという希望があるので、色選びは結構難しかったです。

袖丈を詰める予定なので、余った切れ端に色を掛けてもらい、確認しました。

a.紺色を掛ける

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柄の白さが消えません。大きい柄なので、もう少し目立たなくしたいのです。

b.檜皮色(ひわだいろ・黒っぽい赤褐色)を掛ける

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白は残るのに、全体は汚い感じに…

c.鼠色を掛ける

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これが一番イメージに近かったので、この色でお願いしました。

 

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これに鼠色を掛けて…

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このように出来上がりました。

 

3.着用例

①袋帯で

<紗の袋帯>

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茶系の渋い袋帯を合わせました。

 

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色合いは秋を感じさせます。

<帯留め>

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きものも帯も文様が目立たず無地に近い印象なので、ワンポイントにブローチの帯留めを使いました。ブローチの使用法は以下の記事を参照)

<草履>

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クリーム色の草履は帯締めの色と合わせました。

足元の色に迷ったら、帯や小物、髪留めなどの中から一色選んで合わせると無難にまとまります。

<リメイクの効果>

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実際は若い人向きの大きな柄の小紋ですが、

 

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目引き染めによって全体に落ち着いた秋のコーデイネートができるようになりました。

②名古屋帯で

<絽の名古屋帯>

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黒地の絽塩瀬・名古屋帯を合わせました。

 

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祖母から母、そして私に引き継がれた戦前の古い帯ですが、まだまだ存在感があります。
(傷むのを防ぐためと、関西巻きで締めにくいので二部式に作り直しました。詳細は以下の記事参照)

<お太鼓の柄>

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青い波を強調し躍動感を出したい時は、柄を上にもっていきますが、

 

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今回は黒地部分をを多くして、落ち着いた雰囲気にしました。

お太鼓の形を決めないで二部式の作り帯*にしておくと、お太鼓柄の出し方に余裕ができ、着付けが楽になります。

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*△お太鼓の形を決めない二部式の作り帯

<帯揚・帯締>

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絽縮緬の帯揚に同色の帯締を合わせて涼感を残しています。

③長襦袢

絽や紗の薄物の透け感をおさえるために、長襦袢で工夫することもあります。

 

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今回はベージュのレース(絹)の長襦袢を着ました。白を着るより透け感が抑えられました。

 

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白の絽の長襦袢を合わせた場合

 

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ベージュを合わせた場合

 

今年の猛暑で、きものを着る機会が少なかった人もいると思います。9月に薄物を着てみてはいかがでしょうか?

その際は、色や小物などで、少し秋らしく見える工夫を楽しんでみてください。

 

 

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