浴衣

中高年でも大柄の浴衣を楽しむ

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中高年の浴衣はどのようなものを選べばよいのでしょうか。もう若くはないからと、地味な柄を選ぶのは面白くないですよね。

今回は若い頃着ていた大きな模様の浴衣に挑戦しました。中高年向けの帯結びや着付けの工夫も考えます。

1.中高年が浴衣を着ても大丈夫?

①浴衣は誰でも

浴衣は子供や若い人だけのものではないので、もちろん中高年でも自由に着られます。

若い女子向きの多色のものではなく、落ち着いた色合いのものを選べば良いと思います。

反物から選んでオーダーするのがベストですが、既製品でもサイズが合っていて気に入ったものがあればそれで十分だと思います。

②柄の大きさなど

私が若い頃の浴衣は、普通の着物と同じように「子供は多色の可愛らしい柄」「若い女性は大きな柄」「年配になると柄は小さめに」というのが一般的でした。

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△ 母が着ていた柄の小さい浴衣

また、多色の浴衣は子供っぽいものしかなかったので、大人の女性は白地に藍の柄、もしくは藍地に白の柄が定番で、そこに少しだけ色を足したものがあるくらいでした。

現代は、以前にはなかった落ち着いた色合いの多色浴衣や渋い地色の浴衣など、色デザイン共に豊富なので、柄の大きさは関係ないようです。

中高年にとっては上身頃に大きな柄がある方が顔映りが良く、上手く着こなせるのではないでしょうか?

③浴衣の生地

「上質素材の綿絽(めんろ)や綿紅梅(めんこうばい)などでなければ中高年はおかしい」と言われることがあるようですが、そんなことはありません。

浴衣の定番は綿コーマ*ですから、それで十分です。

*綿コーマ…平織りの木綿生地で、コーマ糸で織られたものです。毛羽立ちがなく、つるっとしていて艶があるのが特徴です。

コーマは綿や毛の紡績工程で使用する、櫛(コーム)状のものを取り付けた「コーマ機」または「コーマ機で行う作業」のことを言います。(参考:成田典子(2014)『テキスタイル用語辞典』テキスタイル・ツリー

ただし、綿コーマは、綿絽やちぢみの浴衣よりは目が詰まっているので暑く感じることもあります。(まあ、夏は何を着ても暑いので、あまり関係ないと思います)

 

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△綿コーマの浴衣

 

2.浴衣に合わせる帯について

①帯の素材

浴衣の帯は木綿、絹、ポリエステルなどいろいろありますが、何でも良いと思います。

注意点は紬や博多織など、絹の帯は自宅で洗えないことです。袷仕立になっている木綿の帯も同じです。

帯は肌に触れるものではないので、基本的に洗う必要がないのです。洗いたい場合はポリエステルの帯(手洗いで)をおすすめします。

 

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△浴衣にポリエステルの帯で

この帯についてはこちらで紹介しています。

帯の洗濯についてはこちらで取り上げています。

②結び方

文庫結び(蝶結び)がNGというわけではありませんが、中高年になるとちょっと気恥ずかしさはありますね。

 

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△文庫結び

おすすめは、お太鼓風か貝の口系です。

昔は中高年になると、貝の口結びか矢の字結びが定番でしたが、現代は長い半幅帯が作られるようになったので、お太鼓風にアレンジすることが出来るようになりました。

お太鼓風は気になるお尻が隠せるので、安心感があるかもしれません。

帯の結び方についてはこちらで取り上げています。




 

3.着付けの注意点

私の子供時代、夏になると着崩れ寸前?のような浴衣姿の年配女性が普通に外を歩いていましたが、今はいないですね……。

浴衣はもともと家で過ごすときのものなので、ゆったり、グズグズな着付けで良かったのですが、今は外出着になっているので、少し注意が必要です。

①着丈

浴衣はきものより短く着ますが、少女のように短く着るのはおかしいです。

特に半衿や足袋を使用して着物風に着るときは、足が出すぎるとバランスが悪くなるので注意しましょう。

②帯の位置

帯を少し低めにすると落ち着いた感じになります。

 

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△低めに結んだ半幅帯

 

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若い女性の帯は高めが可愛いです。

③衿元や背中をすっきり

衿を詰めすぎず、また抜きすぎないように気をつけます。着物のときより衣紋は控えめに抜くのがよいと思います。

また、背中にたるみがないようにすっきり着ると、それだけで涼しげに見えます。

家で家事をするなら背中や脇にたるみがある方が動きやすいですが、お出かけの際は背中部分はたるませず下に引き、脇も横・下に引いて、すっきりおさめましょう。

注意点についてはこちらでも取り上げています。

浴衣の背中

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△ 娘の文庫結び

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△ 矢の字結び

 

4.大きな模様の絞り浴衣を着る

①若い頃の有松絞り

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若い頃着ていた有松絞りを半衿なしでそのまま着ています。

30年以上着なかったのは、模様が大きくて派手すぎると思い込んでいたからです。

でも、娘に2~3回着せただけで終わりにするのはもったいなくて、再び袖を通しました。

 

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現代ならこんな大きな花柄でも年齢に関係なく着られるように思います。袖も一尺四寸(約53cm)ありますが、気にせずに着ました。

何度も水を通しているので絞りは少し伸びていますが、その代わり藍が落ち着き生地も柔らかくなり、着心地が良くなっています。

②お太鼓結びにチェコガラスボタンの帯留めで

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帯は木綿の竪絽(たてろ)の名古屋帯です。

出来たての浴衣の頃にはこのような薄い色の帯は合わせられませんでした。なぜなら、帯に藍が移ってしまうからです。

この浴衣を着はじめた頃、指先も青くなっていた事を思い出します。

 

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浴衣の模様を以前はユリの花だと思って着ていましたが、大人になってから「宝相華(ほうそうげ)文」だということがわかりました。

帯留めはエーデルワイス模様のチェコガラスのボタン帯留です。

③ヘチマの帯枕

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実はお太鼓の山が曲がっています。これはヘチマの帯枕のせいです。

 

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元はヘチマのタワシです

 

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タワシをガーゼでくるんで枕にしています。

短くて形もいびつですが、夏のお太鼓結びは背中の帯枕が暑いので普段はこれを使用しています。

よそ行き用のヘチマの帯枕はこれを使用しています。

④浴衣に足袋?

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私は20代から浴衣でも足袋を履いています。(足袋は通常より薄い夏足袋)
理由は以下の5つです。

  • 好きな白木の下駄に指の跡が付かないように
  • お祭りの縁日など、人混みの中では足を踏まれることもあり危険
  • 出先で室内に上がることもあるので
  • 冷房の屋内での冷え防止
  • 素足は鼻緒擦れになりやすいので

浴衣には素足が似合うのは分かっていますが、このような理由で塗下駄を履くときも足袋を着用しています。

次回はレースの足袋を取り上げます。

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