今日は紅型染め体験の続きをご紹介します。
4.色を挿す
②2回目の色付け
前回同様、先生が顔料を用意してくださっています。
これは「くず茶」と呼んでいる色だそうです。
前回の色付け後、乾かすとこのようになっていました。
ここに同じ顔料で2度目の色を挿します。重ねて塗ることで色がしっかり付くだけでなく、色のバランスが整うようです。
2度目の色挿しのあとは――
このようになりました。
はみ出した顔料は裏には浸透しないので、裏返すと仕上がりがイメージできます。
③隈取り
いよいよ紅型の大きな特徴である「隈取り」の作業です。中心からぼかして図案全体を引きしめ、柄に立体感を付けていきます。
色挿しのときよりも少し濃い目の顔料をつけ、中心からぼかしていきます。
藤の花の隈取りは一本のラインを引いて下さい、と言われました。
中心からぼかしたり、葉や花の縁取りをしたりして隈取りの作業は進みました。隈取りは出来上がりのイメージがわきにくく、難しい作業でした。
隈取りは2日目で終わらず最終日まで持ち越して、ようやくすべて終わりました。
④ミョウバン液を塗る
色を定着させるミョウバン液を塗布する作業です。
生地の裏に伸子(しんし)*を張り、布をピンとさせます。
*伸子…布・反物を染織したり洗い張りする際、布幅を一定に保つ道具です。両端を尖らせた、または両端に針を植え込んだ竹棒で布をピンと張って固定します。
棒の端に針が入っている伸子を布に刺して固定していくのですが、伸子を扱うのは初めてなので緊張しました。
伸子の交差部分を紐で結びました。ここを手で持ち液を塗布します。
生地全体に手早く均等に液を塗るのですが、この作業がとても難しく…
先生にもう一度塗っていただきました。
ミョウバン液を塗ると、色がくっきり鮮やかに見えます。
このあと、5日ほど乾かします。
5.水元
色を乾かしてから5日目に、糊を水で落とす「水元」を行いました。
少しつけ置きします。
すると、ベージュの糊が浮き出てきます。
水に色が付きました。これがきれいになるまで数回水をかえると
きれいな紅型染めが現れました。
とても嬉しい瞬間でした。
6.乾かす
水から引き上げたら絞らずにタオルで水気を取ってから乾かします。
先日ご紹介した<100福むすび アクアドロップふろしき>(2017.6.4の記事参照)の風呂敷を広げた上にバスタオルを置きました。
その上に水から引き上げた紅型の布を置き、くるくる巻いて水気をタオルに吸わせます。
部屋で陰干し。あっという間に乾きました。
あて布をして軽くアイロンを掛けて完成です。
出来栄えはよくわかりませんが(色がはみ出たところもあります)、自分で手がけたものには、とても愛着が湧きます。
7.型絵染のきもので
3回目の作業には、以前ご紹介した型絵染の紬の単衣を着ました。(2015.7.4の記事参照)
帯は麻の無地名古屋帯。以前母の箪笥から発見した麻の反物を自分で帯に仕立てたものです。(2015.6.28の記事参照)
紅型のお手本を常に見ながら顔料を挿していく紅型染め体験は、難しいながらもとても幸せなひとときでした。
お手本の美しさ、顔料の鮮やかさ、染められていく布の華やかさ。
これらは紅型だからこそ感じられる喜びなのではないかと思っています。
そして、この大きさの布でもこれだけ難しかったので、今まで知らずに身につけていた紅型のきものや帯がいかに大変な作業によってできていたのかがよくわかりました。
先生、ありがとうございました!