きものを一人で着られるようになりたいと思ったら、着付け教室がまず頭に浮かびますね。そんなときに思い浮かぶのが、レッスン料が無料とされている着付けの体験教室の存在です。
そこで今回は、実際に「日本和装」と「きものレディ着付け学院」の2教室に参加した際のレビューをご紹介します。全3回の第1回である今回は、日本和装の前編です。
「無料なのにちゃんと教えてくれるの?」「少ない回数のレッスンで本当に皆が着られるようになるの?」「高い教材や着物を買わされるの?」「なんで無料なの?」といった疑問に迫りたいと思います。
1.なぜ着付け教室に行くのか?
①着物は非日常の民族衣装?
きもの離れという言葉は昭和40~50年代でもよく耳にしました。
けれどもその頃は「お出かけにはきもの」という愛用者が結構いたので、外では和服姿をしばしばみかけることができました。
平成~現代は着物が特別な日の装いになり、普通の和装の人を見る機会が少なくなりました。
着物は七五三や成人の日、卒業式などのおめでたい日に着る民族衣装になりつつあるようです。
②現代はきちんと着ることが求められる?
私の子供の頃は日常的に着物を着ている中高年世代がいたので、ラフで個性的な着方を目にすることも多かったです。
彼女たちはゆったりしているけど着崩れてはいない…そんな自然な着こなしでした。
一方、きものがハレの日の衣装になった現代。目にするのは雑誌やテレビの中の、人にピシッと着付けられた美しい姿ばかりです。
それゆえ「きちんとした着付けをしないとだめ!」という理想の壁ができ、教室に通うお稽古事として「着付け」が確立したのだと思います。
③「いつか」はなかなか来ない
最近は20代の若い女性で、着付けを習う人が多いと聞いています。
「いつか、着られるようになりたい」と思っていても、その「いつか」は行動を起こさないとなかなか来ないことを彼女たちは知っているのでしょう。
すぐにインターネットで情報入手し手続きしているようです。
若い時に着付けに挑戦するのはとてもお得だと思います。色柄ともに似合う着物の幅が広く、満足感も大きいからです。
けれども、中年以降でも始めることの意義は大きいです。姿勢がよくなり気分も高揚し、肩や腕の柔らかさを保つことにもつながります。
2.着付け教室 私の場合
①私と着物の関係
母が普段も和装だったために、私は赤ちゃんの頃からきものを着せられ、自然に好きになりました。
でも小さい頃の写真を見ると、現代とは違って3歳のお祝い着以前は母の長襦袢を直したものや古い生地のリメイク着物だったようです。
いずれも地紋だけで柄の無い着物を着ています。晴れ着という感じではないですね。
小学校高学年にはひとりでおはしょりをして着るようになり、帯は文庫結びをしていました。15歳頃から家でお太鼓結びに挑戦していましたが、当時は母と同じ「結んで作るお太鼓」でした。
それ以降は着付けの本を買って真似したり、学校から帰宅したあとは普段用の着物で過ごしてみたり……と模索の日々(?)が続きました。
そしていつの間にか着られるようになりましたが、着付け教室に通った経験がないため何となく不安があり、また教室にはとても興味がありました。
②着付け教室への疑問
周りのきもの友達はみな着付け教室経験者なので、「一度は行ってみたい!」という思いから、2年ほど前、無料着付け教室に入会することにしました。
でも、少し心配もありました。
- 少ない回数のレッスンで本当に皆が着られるようになるのか
- きものを売りつけられるのではないか
- 着付けの道具を買わされるのではないか
- 無料レッスンの秘密はどこに?
これらの疑問をいだきつつ、「日本和装」無料レッスンに申し込みました。
3.日本和装の無料レッスン
私が入ったのは秋のコースでした。
この年のイメージキャラクターは篠原涼子さんでした。
①日本和装を選んだ理由
- 長年きものを上手く着こなしている友人が以前ここで学んだ
- 派手なCMで興味が湧いた
- 教室が近所にあった
- 「6回で着られる」を確かめたかった
②受講ガイダンス
6回のレッスンの前には「受講ガイダンス」がありました。
私が入った教室はオフィスビルの中にある貸し会議室。先生は50代でスラッと背の高い綺麗な人でした。
参加生徒それぞれが、なぜ着付けを習いたいかを簡単に話す自己紹介コーナーもありました。私は「自己流できものを着ているが、一度先生に教えてもらいたいと思ったので」と話しました。
私の他には30~40代の女性が2人参加していました。先生自身も、講師になるきっかけやそれ以前の職業など、経歴を詳しく話してくれました。
参加者の中には「以前通っていたが忘れたので再び学びたい」という人もいました。
受講ガイダンスでは、日本和装の会社概要、教室の目的、カリキュラム内容や継続コースについての話があり、その中には販売会に関しての説明もありました。
- 日本和装は無料で着付けを教えることで、きもの市場の活性化をはかる。
- 販売の仲介という形で生徒とメーカー、生産者を引き合わせる機会を作る。
この二つが日本和装の無料きもの着付け教室の基本理念のようで、6回のカリキュラム以降も、無料で5回の継続コースが2つ用意されていました。
つまり、着付けは無料で教える代わりに、着物を購入する場に参加してもらう、というシステムです。
受講ガイダンスの最後に持ち物についての話があり、必要なものはそこで購入申込みをし、自宅で代引きで受け取る事になりました。
③用意するよう言われたもの
- 着物・長襦袢・袋帯・帯揚げ・帯締め
- 着付け小物(すべて教室を通して購入が可能)
足袋・和装スリップ・和装ブラ・補正用品(腰パッドなど)・衿芯・前板・クリップ・ガーゼ付き帯枕・仮紐・小袖ベルト・小袖腰ひも - 他に必要な物
レッスン時に広げて使う衣裳敷き
着物一式を入れるカバン
当時は着物のレンタルはなかったようで、教室に通うためのきものや道具一式が入る和装カバン(6,000円)もすすめられました。
私は持っていたキャリーバッグを使うことにしたので、購入はしませんでした。
*現在、日本和装は着物や帯のレンタルがあるようです。
やはりこうして見ると用意する小物類は多いですね。これらはどこの着付け教室でも大体同じかもしれません。
④購入したものと手持ちの下着
ほとんどが手持ちのもので間に合いそうでしたが、小袖ベルトがなく、日本和装の必須アイテムということで購入することになりました。
△小袖ベルト 2本、着物と長襦袢両方に必要(1400円×2)
*小袖ベルトは「コーリン和装じめ」と同じものです。
小袖腰ひもは普段愛用している「コーリンこしひも」*(ゴムタイプ腰紐)と同じとのことで購入不要でした。
*コーリンこしひもについてはこちらの記事で取り上げています。
また、私は和装ブラは使わず<あしべ織り汗取り肌着*>+<和装スリップ*>を使用していること、補正用品も販売品とは違うものを使っていることを先生に話したところ、「どうぞお持ちのものを使ってください」と言われ、ホッとしました。
*あしべ織り肌着については、こちらで取り上げています。
*和装スリップについては何点かレビューしています。
翌週からはいよいよレッスンが始まりました。続きはまた次回に……