今日は、真っ直ぐですっきりしたおはしょりを作るための方法を考えます。
前回、おはしょりの問題点としてあげたのは以下の3点でした。
①斜めになる
②長さの調節が難しい
③ぼってりする
これらの問題を解決する方法の一例を説明します。
1.おはしょりを真っ直ぐにしたいとき
おはしょりは斜めになるのが自然ですが、現代は真っ直ぐにするのが主流のようです。簡単に真っ直ぐになる方法を説明します。
①コーリン腰紐を使う
普通の腰紐ではなく、ベルトタイプのコーリン腰紐を使用します。
私が使っているコーリン腰紐です。
全体
滑らないようになっています(詳細は以下の記事で紹介しています)
②腰紐の締め方
ストッパーを中央ではなく、三分の一あたりまでずらしておきます。
上前横の位置にストッパーをあてます。
そのまま回して(後ろは下げずに高めの位置で交差させて)前で止めます。
○部分がベルトを留めた箇所です。
そうすると自然に下ろしただけでおはしょりは真っ直ぐになります。
*普通の布の腰紐の場合は、斜めにすると滑ってずれてしまう場合があるので、この方法はおすすめできません。
2.おはしょりの長さ調節のしかた
おはしょりの長さは腰紐の位置で調節できます。きものが長いときは腰紐を高めのウエスト付近に、短いときは腰骨ギリギリの低い位置で締めます。
おはしょりの長さは好みや身長とのバランスによりますが(7~8cmが平均)、着るきものの丈に合わせて腰紐の位置を調整すればよいのです。
私と同じ身長のトルソーで試してみましょう。通常は腰骨の少し上あたりで締めている腰紐を移動させてみます。
①きものが長い場合
<腰紐を高い位置で締めるとおはしょりの出方が少なくなります>
普通より高め、ウエストあたりで締めます。
伊達締めだけではちょうど良い感じですが……
帯を締めてみました。(帯の位置は高めで、若い女性の浴衣帯の感じです)
おはしょりは5cmで、私が着る場合はもう少し帯を下げ気味に着用するので2~3cmになりそうです。
②きものが短い場合
<腰紐を低い位置で締めるとおはしょりの出方が多くなります>
腰骨のすぐ上あたりで締めます。
おはしょりはたっぷり出ます。
12cmになりました。
このように、おはしょりは腰紐の位置によって出方が変わるので、いろいろなサイズの着物にに対応できて便利です。
3.おはしょりを薄くしたいとき
不自然とも思えますが、今はすっかり定着した、おはしょりを一重にする方法です。
①腰紐を締める
腰紐は斜めに締めています。
②下前の処理をする
*身八つ口から手を入れて、二枚のおはしょりをきれいに下ろしてからおこないます。
下前を斜めに折り上げます。(上前をはずして撮影しています)
コーリンベルトを留めて折り上げた上前を抑えるようにしながら……
前に回して上前をはさみます。(きものの生地が薄い場合、私は折り上げた下前ごとクリップで挟む場合もあります。)
これでおはしょり部分は重ならず、一重になりました。
出来上がり
生地の厚い縮緬のきものですが、おはしょりはすっきりしています。
実際におはしょりが薄いほうが良いのかは少し疑問ですが、参考になれば幸いです。
次回は自然な厚みのおはしょりを試してみたいと思います。