前回に続いて「日本和装」無料着付け教室の体験レポートです。
いよいよレッスンが始まりました。参加してみての感想、良かった点/気になった点、強引な営業を受けなかったか、などをご紹介します。
1.日本和装の無料着付け教室
教室は土足OKの貸し会議室なので、持参した衣裳敷を敷き、その上で着ます。(私は使い古しの衣裳敷を持っていきました。)
正座して両手をついて挨拶してからレッスン開始です。
①長襦袢
初回のテーマは長襦袢。
生徒は私を含め2人になっていました。彼女は再受講らしいです。
二人とも和装スリップや補正は慣れているので自分で付けました。
衣裳敷の上に長襦袢を袖だたみにして置き、紐類も取りやすいようにセットするなど、細かいことを学びました。
長襦袢に衿芯を入れ、小袖ベルトを使って着用しました。
②着物を着る
2回目のレッスンは、前回習った通りに下着と長襦袢を自分で着てから開始です。忘れたところは先生が教えてくれます。
現代はカジュアル着物でも、上前の裾は上げずに真っ直ぐ着付けるのだそうです。伊達締めや胸の紐は使わずに小袖ベルトで留めて終わりです。
小袖ベルトについて
小袖ベルトは左右の掛け衿の下にピンチをとめて後ろでクロスさせ、前でカチッと留めます。
これを長襦袢、着物それぞれに使います。
「コーリン和装じめ」と同じもので、一般的なコーリンベルトとの違いは、ぐるっと一周して前の部分も押さえることができる点です。(以下、写真はコーリン和装じめの説明書から転載。)
それぞれの衿の同じ高さにクリップを留めます。
後ろで交差させます。
前に回して留め具を留めます。
*「このとき、ゴムをぐっと前に伸ばしてから留めるときれいに仕上がります」と先生が教えてくれました。
早くて便利なのはわかりましたが、私は紐や伊達締めを使ったときより着物にシワが付くように感じました。
③いきなり袋帯
3回目と4回目は袋帯のレッスンを受けました。この回から生徒は私一人になりました。(もうひとりは別の教室に変更したようです)
日本和装の特徴はいきなり袋帯の締め方を教える点です。着物は小紋や紬を用意するよう言われましたが、帯は袋帯……これが謎でした。
クリップと仮紐を使った結び方で、クリップをとめる位置や仮紐の使い方など、少し戸惑いました。
お太鼓の仕組みや完成形がわかっている人なら簡単に取り入れられますが、全くの初心者では、家で復習しないと難しいと感じました。
4回目の前半では袋帯の復習。
後半は懇親会が予定されていて、お菓子代が必要なところでしたが、私一人なので先生が家から持参してくださり、着物雑誌を見ながら、雑談をして終わりました。
通常はこのときに、販売会に向けて生徒の着物の好みや何をほしいと思っているかのリサーチをするようです。
2.コーディネート体験会&販売会
いよいよ5回目は体験会&販売会でした。
教室合同の会で、知らない人ばかり10人位の生徒だったと思います。全員洋服で参加。講師陣はみなピシッとした着物姿で、講義をする男性も着流しの和服でした。
講習会→昼食→コーディネート体験と販売会という流れで、昼食以外は生徒同士で会話をすることはほとんどありませんでした。
①体験会&販売会の良かった点
- 生産者、織元などの専門家(日本和装の加盟店)が現物を見せながら説明をしてくれた。
- 方眼紙に描かれた織物の図案や糸など、普段は見られないものを間近に見られた。
- たくさんの着物や帯、小物類をみることができた。また、当時米倉涼子がドラマで着用した豪華な帯を見た。
- 気に入った着物に合わせて、現代風のコーデイネートを教えてもらえた。
- 先生との昼食会(昼食代1000円)は会話が弾んで楽しかった。
②体験会&販売会の気になった点
- 新しい着物への購買意欲を刺激するためか、講義をする若い織元の人が、昭和の着物雑誌を見せながら古い着物や帯の否定をあからさまにしていて不愉快だった。
- この織元では袋帯しか作らないようで、販売している帯はすべて袋帯だった。
「現代ではカジュアルでも洒落袋帯が主流で、名古屋帯は流行らない」と、不可思議な説明をしていた。(レッスンでいきなり袋帯の結び方を教える理由がここにあった) - 各教室の先生たちが熱心に生徒に着物をすすめており、さながら呉服店の展示会状態になっていた。
- 販売品の質は悪くなくデザインも新鮮で種類も豊富だったが、現代品ゆえか帯も着物も薄くて軽い感じがした。
- 購入したいと思うものは見つからなかった。
③販売会……私の場合
展示されている販売品を一通り見て、すすめられた小紋を鏡の前で掛けてもらい、帯や着物のコーデイネートをしてもらいました。
私がふだん選ばないような組み合わせは新鮮に感じましたが、心が動かされることはありませんでした。
しばらくすると、担当の先生が「あまり興味がなかったら帰っていいですよ、終了までには時間がかかりそうだから……」と私に声をかけてくださり、会場出口まで見送ってくださいました。
買う見込みがない生徒は残っていても仕方ない、ということだと思いますが、先生はいつものように丁寧に接してくれて、私も時間を無駄にすることなく助かりました。
3.日本和装の無料着付け教室の感想
日本和装の無料着付け教室を体験して気付いたことをまとめてみます。
①良かった点
- 講師がキビキビとした教え方でわかりやすく、知識も豊富そうだった。
- 講師は毎回すっきりと着物を着こなしているので、お手本が間近に見られて良いと思った。
- 足袋の履き方や着る前の準備(仮たたみ、小物の置き方)など、細かい点も教えていた。
- 体験会の講義は勉強になり、着物の知識を増やしたい人にはよいと思った。
②気になった点
- 着物に帯、衣裳敷など、毎回持ち物が多く大変だった。
- 着付け小物(小袖こしひも、小袖ベルト、補正下着)は、持っていない場合は買うことになる。
- 初心者はかなり復習しないと難しいと感じた。
- 着物や帯を持つ手の位置、持ち方、クリップの使い方などが細かく決められているので、実質5回のレッスンだけでは着られないと思った。
- ほとんどの人が継続コース(無料)に進むのだと思うが、そこではまた販売会に参加せざるを得ない。
- 「今持っている着物を着られるようになりたいだけで、新しい着物には全く興味がない」という人には向かないと思った。
③体験会&販売会への承諾書と心構え
体験会&販売会に参加する前、承諾書のようなものに署名をして提出しました。
△書面の表
「日本和装の各種教室で開催されるコーディネート体験会&販売会についてのお知らせ」
となっています。先生から内容についての説明を受けてから署名しました。
△書面の裏
細かい記載ですが、ポイントは以下4点だと思います。
- 自主的な無条件解約期間(8日間)の実施
- 一方的な判断で商品をすすめたり、消費者の誤解を招くような説明は行わない
- 購入の強要と誤解されるような行為は行わない
- 「コーディネート体験会&販売会」の終了後は、参加者の退室を引き止めない
最後に「お問い合わせ相談窓口」として、お客様サポートセンターのフリーダイヤルが記されていました。
この販売会は以前ネットで悪評が多かったことから、会社側はかなり慎重になったのだと思います。
しかし、「これにサインをしたからには、商品のオススメ活動は認めてね!」という意味でもあります。当日は覚悟して出かけました。
結果的に強いオススメと感じることはなく、すぐに帰ることができました。購入しなかったことでその後の先生の態度が変わる、といったこともありませんでした。
「今回は買いません」とか、「あまり気に入ったものがないので帰ります」と言えれば問題はなく、たとえ勢いで買ってしまっても解約できる、ということを念頭に置いて参加すれば良いと思いました。
そうは言っても販売会で着物や帯の購入をすすめられることは間違いありません。
断ることが苦手だったり、先生に申し訳なくて自分は断れない……と思う人には日本和装は向かないかもしれません。
着付け教室については次回も続きます――。