イベント訪問

紬の着物に合わせる帯

2017年4月9日

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紬のきものには染め帯が合うといわれています。先日、郡上紬のきものを帯を変えて着てみましたのでご紹介します。

1.郡上紬に染め帯  ー郡上八幡物産展へー

春のお彼岸に、東京都港区青山にある梅窓院で郡上八幡物産展が開かれました。
郡上紬に染帯で出かけました。

① 郡上八幡物産展とは

郡上八幡物産展は港区青山のお寺「梅窓院」で行われました。

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△梅窓院

「青山」の地名は、岐阜県郡上八幡城主・青山家の江戸屋敷があったことに由来します。青山家は徳川の歴代将軍に仕え、幕府を支えた江戸時代を代表する大名でした。

そして その青山家の菩提寺が梅窓院である由縁から、毎年郡上八幡の物産展が行われているのだそうです。

当日は郡上八幡で織られている郡上紬が展示された他、郡上八幡のお酒、菓子、味噌、などの食品が販売されました。

 

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好天に恵まれたお彼岸でした。

 

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梅窓院1階・観音堂が会場です。

② 郡上紬の店「たにざわ」

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郡上紬*の特約店である「たにざわ」が郡上紬の作品や小物、藍染の製品などを展示していました。
「たにざわ」の社長、谷澤周作さんともお会いすることができました。

*郡上紬…岐阜県郡上市八幡町で織られる紬織物。
郡上紬については2016年12月11日の記事を御覧ください。

<宗廣力三(むねひろ・りきぞう)の作品>

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谷澤社長と。

展示されているきものは、郡上紬を研究し独自の作品を生み出した人間国宝・宗廣力三(1914年~1989年)が昭和53年に製作したきものです。

縦のぼかしに斜めのぼかしが美しい曲線を描いています。「このきものは大変複雑な技法で作られているため、どのように織られたのか解明できず、復元することはできないのです。」と谷澤さんは話されました。

 

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現在郡上紬の織り手は2人。作品はなかなか仕上がって来ないそうです。

会場で販売用に展示されていた郡上紬の一枚は新しいものではなく、「蔵出しの作品です。」と谷澤さんの説明でした。

郡上紬の技術は継承されていることとは思いますが、きものを着る人が減れば後継者育成も厳しくなり、いつか幻の紬になってしまうのではないかと心配になりました。

<ネクタイや小物類>

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郡上紬のシックなネクタイやポーチ、名刺入れなど。渋いですが味わい深いものです。

 

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藍染の製品もあります。

③塩瀬羽二重の帯

お寺内での物産展ということで、よそゆき感のない塩瀬羽二重の帯を合わせました。

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水色の塩瀬の帯。おとなしい取り合わせですが少し冷たい感じも。

 

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そこで絞りの帯揚とピンクの帯締めで温かみを出しました。

 

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あまり個性のない白い花なので、季節を考えずに着用しています。

紬のふっくらした風合いに対して、塩瀬はつるりとしています。その組み合わせが軽くすっきりした着心地を生んでいるのだと思いました。

 

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紫の道行きコートを着ると、お寺に行くのにふさわしい雰囲気になりました。

④お土産を購入

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岐阜県郡上市八幡町の「たにざわ」でのみ販売している小物を、この日は東京で購入することができました。

<ポーチ>

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シルクの生地に郡上紬の裂を合わせたものです。

 

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淡い地色と郡上紬が良く合っています。

<名刺入れ>

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渋い色ですが

 

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ぼかしと紬の風合いが気に入りました。

⑤ 郡上おどり

<郡上おどり>

郡上八幡と言えば有名なのが「郡上おどり」です。

8/13~8/16のお盆の時期に徹夜で行われる盆踊りで、毎年全国から観光客が集まって、大勢の人々が熱狂的に踊りあかします。

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△今年の郡上おどり案内パンフレット
http://www.gujohachiman.com/kanko/odori_schedule.html

<郡上おどりin青山 >

東京・青山での郡上おどりも今ではすっかり有名になりました。今年で24回目となる「郡上おどりin青山 」は以下の通りです。

開催日 平成29年 6月23日(金)  24日(土)
主催: 青山外苑前商店街振興組合
共催: 南北青山二丁目町会
協賛: 港区  岐阜県郡上市  郡上八幡観光協会
http://www.aoyama-gaienmae.or.jp/event/indexodori.html

両日とも郡上八幡の物産品が販売され、「たにざわ」では藍染め商品が展示されるそうです。

 

2.郡上紬に金糸入りの織帯 ー日本橋高島屋 東西名匠老舗の会へー

関西と東京の老舗の逸品が展示される「東西名匠老舗の会」に行きました。

デパートに行く時のきものは紬で十分ですが、「東西名匠老舗の会」の会場はいつも華やかなので、白地の織り名古屋帯を着用しました。

①古さが助けに?

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普段着・街着である紬のきものには金糸や銀糸の入った帯を締めることは珍しいかもしれません。けれども若い頃から愛用しているこの帯は名古屋帯で締めやすく、前の柄の金糸もあまり派手ではないので軽く装えます。

 

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着用日は4月1日。立涌に蝶の帯は春を演出できます。(お太鼓とたれの柄が少しずれてしまいました。)

 

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経年により白地も金も少しぼやけて穏やかになっているからでしょうか。

郡上紬に合わせても違和感がないようです。古いからこそ気楽に合わせられたのかも……。

 

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郡上紬の様々な青色に合わせ、長襦袢や帯締めの色で楽しみました。

②能織帯地「若松」

この帯は「能織帯地『若松』」のものです。

社長の若松華瑶さんと娘のいつみさんが「締めて来て下さったのですね~」と喜んでくださいました。

 

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△二代目若松華瑶さんと

若松華瑶さんは93歳になられましたがとてもお若いです。

 

3.他の織帯との取り合わせ

過去に織りの帯を合わせた例です。

①綴れの帯

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秋に着た時の帯合わせです。

 

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染色作家小合友之助(おごう・とものすけ)の帯です。濃い色なのでカジュアルにも見えますが、綴れ帯は質感的には少しあらたまった感じになります。

②すくい織の帯

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春の音楽会での取り合わせです。

 

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すくい織*もよそゆき感が出るようです。

*すくい織…綴れ織りに似た技法で、多くは紬糸を使って織ります。木製の杼(ひ)という織機用具によこ糸を通して、たて糸をすくいながら織っていきます。

一枚の郡上紬で帯合わせを考えてみましたが、カジュアルな紬のきものでも、格の高い袋帯以外なら何でも合わせることができるようです。

場所や目的、相手に合わせて自由に帯合わせを楽しめることが紬のきものの醍醐味かもしれません。

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