皆さんは「布袋戯(ポテヒ)」を知っていますか?
台湾の人形劇で、伝統的な民間芸能の一つです。先日布袋戯の展覧会に絣の着物で行ってきました。
1.「布袋戯(ポテヒ)」とは
①台湾の伝統人形劇
200年以上の歴史を持つ人形劇で、台湾の街かどで愛され続けてきた大衆娯楽の一つです。
その起源は17世紀中国福建省(ふっけんしょう)泉州(せんしゅう)或いは漳州(しょうしゅう)とされ、福建泉州、漳州、広東潮州(かんとんちょうしゅう)及び台湾、インドネシア等で一種の人形劇として現代に伝わっています。
ポテヒの頭部と手足は木製で、人差し指を頭の中に、その他の指は人形の右手と左手になります。
手全体を布で覆い、それが服をまとった身体になります。
人形の大きさは30cmほどで、精巧な指人形といえます。
(参考 ウィキペディア・展覧会チラシ)
△布袋戯(ポテヒ)(台北木偶劇団(タイペイ・パペット・シアター)の紹介ビデオより)
②台北(タイペイ)駐日経済文化代表処台湾文化センターとは
台日文化交流のプラットフォームとして台湾の芸術や文化関連の団体およびその内容を紹介して国際的な文化交流への参加を図り、芸術・文化の各団体、美術館、博物館などによる台日交流に協力する活動を行っています。(所在地は東京都港区虎ノ門1丁目)
(台北駐日経済文化代表処台湾文化センターウェブサイトより抜粋引用)
今回は企画展として「指先に宿る命 台湾布袋戯(ポテヒ)の原点」が2022年8月29日(月)~10月13日(木)に開催されています。
台北駐日経済文化代表処(だいひょうしょ)台湾文化センターは虎ノ門のオフィスビルの二階にあります。
③企画展「指先に宿る命 台湾布袋戯(ポテヒ)の原点」
△企画展のパンフレット
展示テーマは以下の通りです。
- 台湾の伝統人形劇「布袋戯(ポテヒ)」とは
- 南管(なんかん)*布袋戯
- 北管(ほっかん)*布袋戯
- 内台布袋戯(室内劇布袋戯)
- テレビ布袋戯
- 新生布袋戯、こども向け布袋戯
展示では、伝統人形劇「布袋戯(ポテヒ)」の説明のあと、2から6へと、時代に合わせて布袋戯が進化してきたことが人形と共に説明されていました。
*南管は中国の福建省・泉州に生まれた室内楽で、北管は、漳州(しょうしゅう)を起源とする音楽です。
南管は優しく、悠然としていて、北管は賑やかでテンポも軽快です。
(参考:企画展のパンフレット)
2.展示紹介
今回の展覧会は撮影OKでしたので、展示品の人形を中心にご紹介します。説明は展示解説を参考にしています。
①伝統的な人形
南管のポテヒ
梅の刺繍が白地に映えます。扇にも細かく絵や文字が描かれ、気品が漂う人形でした。
華やかなピンクの生地は遠くからでもヒロインということがわかると思います。
この衣裳が一番手が込んでいました。
北管のポテヒ
30㎝ほどの人形がまとう小さな衣裳なのに、刺繍や細工が精巧で美しいことに驚きました。
指人形としての動きがなくても、並んでいるだけで存在感たっぷり!充分鑑賞に値する人形たちでした。
②進化した布袋戯の人形
布袋戯は街角で行われていた公演ですが、戒厳令によって野外上演に規制がかかり、室内劇へと移行しました。
人形は大きくなり、アクション人形劇へと変化しました。
音楽も洋楽や台湾ポップスを取り入れてテレビで放映されたり、1980年代からは人形劇によるアクション映画(ハイパーマリオネーション)が大ヒットし、世界で広く知れ渡るようになりました。
室内劇のポテヒ
テレビポテヒ
アニメから抜け出たような人形です。
伝統的なものより、かなり大きいです。
子ども向けポテヒ
③布袋戯(ポテヒ)映像上映会
会期中の2日間、台北木偶劇団(タイペイ・パペット・シアター)という2010年に結成された若手劇団の公演ビデオが上映されました。
私も上映の日に合わせて行き、90分間、初めての布袋戯(ポテヒ)公演を味わいました。
『神の威を借るウソつき灯猴(とうこう)*(原題:白賊燈猴天借膽)』ビデオのチラシより
*灯猴(とうこう)は猿の化身?で、嘘をついて蓬莱(ほうらい、台湾の美称)島に住む人々を困らせます…。
次回は生の公演を鑑賞したくなりました。
④体験コーナー
台湾文化センター内の図書室には、布袋戯の人形操作を体験できるコーナーがありました。
人形の動きが、指をどのように使ってできているかが解説されていました。
人差し指をピンと立て続けて人形を操作することは大変だと思いました。
私も挑戦してみましたが難しく……
人形との記念撮影で終わりました。
3.当日のきもの
①松竹梅の弓浜絣(ゆみはまがすり)
松竹梅模様の弓浜絣です。
松皮菱(まつかわびし)と梅の花の文様、竹を縞柄で表しているようです。
弓浜絣は厚手木綿なので10月にぴったりの単衣といえます。布袋戯は台湾の民間芸能なので、着物も日本民芸の代表とも言える弓浜絣を選びました。
②処分を免れた紬帯で
この帯は母が遺した紬の帯ですが、シミがあって普通の締め方ができない状態でした。
廃棄処分はもったいないので、変色部分を隠して作り帯にリメイクしました。
帯の一巻目だった部分を外側にすることできれいな状態になりました。
リメイクについてはこちらで取り上げています。
↓
https://kimono-kitai.info/15011.html
③こけしの帯留め
日本を代表する人形玩具として、帯留めのこけしを連れていきました。
こけしの顔はどこか台湾布袋戯の人形に似ています。
今日は台湾の伝統人形劇、布袋戯(ポテヒ)をご紹介しました。
台湾文化センター開館以来初めての台湾布袋戯に関する展示で、意義深いものだそうです。
私にとっても初めての布袋戯、目にする人形たちも大変魅力的でした。
会期はあと僅かですが、興味のある方はお出かけになってみては如何でしょうか。(入場は無料です)