カジュアルな藍の紬はどんな帯でも合いますが、いざ選ぶとなると結構難しいものです。
帯によってどんな着こなしができるでしょうか……?
1.藍に合う色は赤系?
①昭和の定番・赤い帯
昭和50年代の雑誌では、藍に赤を合わせています。
△館林織物の紬と名古屋帯(出典:主婦の友デラックスシリーズ『美しい着つけと帯結び』主婦の友社・昭和54年発行 より)
「つむぎは高価ですから地味なものを選び、帯と小物で年齢にふさわしい装いを…」と説明されていました。
この着物は現代の感覚では大柄で結構派手だと思いますが、当時の若い人のカジュアル着物は赤や朱が多く、驚くほど派手な色合いだったので、藍地というだけで落ち着いた着物に思われていました。
△久留米絣に博多帯(前掲書より)
「ふだん着の美しい調和」というタイトルで載っていた組み合わせです。
「きものが濃いので、帯は思い切って明るい色を使い、はなやかにしました。」とあります。
このように昭和時代の帯と着物は、鮮やかなコントラストの取り合わせが多かったようです。
②今でも私は赤系です
昭和の帯合わせから抜けきれない私は、今でも藍の着物に赤系の帯を合わせることが多いです。
③問題点
藍の着物に対照的な色を合わせてしまう私ですが、問題点も自覚しています。
- カジュアルになりすぎて、お洒落感がなくなる
- 民芸調になるので外出先で浮いてしまう
- 昭和っぽくて野暮ったい
といった点です。
これらはどれも同じ意味…つまり「かっこよくない」ということですね。
2.帯を主役にする着方
一方で、藍の着物は個性的な色や柄の帯と合わせやすいのが特徴です。
中でもイカット(インドネシアの絣)帯との相性が抜群です。
帯は太子間道(たいしかんどう)にも見える絣です。
イカットの帯だと野暮ったい感じにならないばかりか、きものの藍色が大胆なイカット柄を落ち着かせるので、気兼ねなく着ることができます。
3.藍の結城紬の帯合わせ
今回は藍の結城紬と3本の帯の組み合わせをご紹介します。
①茜絞りの帯
昔ながらの「藍染め」+「茜染め」の草木染めコンビで、私としては一番安心するコーディネートです。
ただし、カジュアルすぎて気分の高揚はないです。
②紅型の帯
ピンクの縮緬地に紅型で椿が染められた名古屋帯です。
私はこの組み合わせが好きでよく着ていますが、家族(男性)からは不評でした。
帯の柄が個性的だからでしょうか?
ガチャガチャした感じがする、と言われてしまいました。
あえて関係のないグリーン系にした小物が合わなかったかな?…
ピンク地の椿の帯で若々しく装ったつもりでしたが、かえって地味な印象を与えたようです。
意外にも、次にご紹介する取り合わせが一番評判がよく、若々しい印象になると言われました。
③朧(おぼろ)型染めの帯
朧(おぼろ)型染めの帯を合わせています。
朧型染めは型紙を二枚又は三枚重ねて染める紅型で、「うぶるーがた」ともいいます。
とても細かい型染めです。
こちらで取り上げています。
↓
大柄の唐草文のきものと、細かい梅柄の帯はバランスの良い組み合わせと言えます。
帯揚げと帯締めは、帯の中のクリーム色を拾って揃えました。
- 藍色に同じ青系の帯
- 大きな柄に細かい文様を合わせる
- 帯の色を拾って小物を同じ色にする
というシンプルで洋服的感覚の組み合わせが、大人っぽくスッキリと見せてくれたようです。
藍の着物の場合、自分の(昭和の)好みにとらわれず、洋服を選ぶ感覚で抑えめに合わせていくと、現代的な着こなしになることがわかりました。