家にいるとき、木綿のきものはいかがでしょうか?
外に出ないのならどんな大胆な取り合わせでもOKです。
一日だけでも、きもので気分を上げて過ごしてみましょう!
1.木綿のきものの魅力
①丈夫で扱いやすい
木綿の着物は厚手で丈夫なものが多く、家で洗濯もできます。
浴衣と同じように手洗いし、陰干しして畳んでおけば元通りになります。
浴衣の洗い方については、こちらで取り上げています。
アイロンが必要な場合は、あて布を使用するのがおすすめです。
木綿は絹と違って、霧吹きも使えます。
②着心地が良い
汗をよく吸収し、通気性に優れています。
絹はしっとりと肌にそう感じですが、木綿はまとわりつかず、さらっとしているのが特徴です。
木綿は下着にも最適な繊維。肌触りと着心地では一番だと思います。
木綿の絣は、子供の着物としても昔から使われてきました。
大正生まれの親戚が子供の頃着ていた物を譲り受け、昭和生まれの息子と平成生まれの娘がそれぞれ着ました。男女どちらが着ても可愛い柄です。
③絣や縞など柄が大胆で味わいがある
日常着として作られたので、大胆で親しみやすい柄の絣や、はっきりとした縞柄などが多く、楽しみながら着用できます。
弓浜絣については、こちらで取り上げています。
2.藍の絣に赤い帯
今回は久留米絣(単衣)に赤い帯を合わせました。
①松枝玉記の絣
福岡県久留米市の伝統工芸品である久留米絣。三代目松枝玉記 (1905~1989)の作品です。
松枝玉記は、庶民の日常着だった久留米絣を芸術の域にまで高めた人といわれています。
詳しくは、こちらで取り上げています。↓
②若い頃の博多帯
20歳頃使用していた博多帯です。
福岡県福岡市の特産です。
絹鳴りにびっくり
当時、自分で苦労してかがり、仕立てた帯ですが、歌舞伎を見に行った時、呼吸と共に キュッキュッと鳴る「絹鳴り*」を体験し、驚きました。若い頃は帯をきつく締めていたせいなのだと思います。
それで、その後はあまり使わずにしまい込んでいました。
*絹鳴り…博多帯は打ち込みが細かく丈夫なうえにしなやかさがあるため、締める時に絹が擦れて「キュッキュッ」と独特の音がします。博多帯の特徴で、魅力の一つと言われています。
取り出して身につけることなど、もうないと思っていた博多帯を今回家で締めてみました。
③家なら真っ赤な帯でも大丈夫
外出時には使わない赤い帯ですが、家にいるなら何でもOKです。
お太鼓は真っ直ぐではなく、少し変化を付けました。
今まであまり出番のなかった笹波組の道明の帯締めをしました。
帯揚げは着物の残布です。
元のきものです。
帯だけでなく小物もふだんあまり使わないものを取り出し、それぞれ風を通しました。
④羽織を着ると……
もし外出できるようになったら、後ろの真っ赤なお太鼓を隠せば何とかなるでしょうか……。
紺の紗の羽織を着てみました。
帯の赤は透けていますが、目立たなくなったようです。
羽織紐は渋めで個性的なものをチョイスし、「藍の絣に赤い帯」という、民芸調の単純さをカバーしています。
3.今だからゆっくりできること
家で木綿のきものを着るほか、気分転換に次のことをやってみてはいかがでしょうか。
①帯結びの練習
袋帯の着付けが苦手な人は、この際、木綿の普段着(浴衣でもOK!)の上に袋帯を締めてみましょう。
外出しなくてよいのですから、どんな組み合わせでも大丈夫。
木綿の着物は滑らず着崩れしにくいので、着付けや帯結びの練習にはぴったりです。
②絹のよそゆきを着てみる
着たいのに、あまり出番がないよそゆきのきものを着てみましょう。
素敵なきものを着ないまま何年もタンスに入れておくのはもったいないです。
自分にとって今日が一番若い日なのですから、思い切って袖を通し、帯も締めてみましょう。(自撮りしておくのも良いですね)
きものは着ることで良い虫干しになります。
③取り合わせを楽しみながら、写真で保存
着る予定に関わらず、きものと帯、帯揚げと帯締めの取り合わせを考えておくと、あとで役に立ちます。
衣裳敷やたとう紙の上に畳んだままの着物と帯、小物類を置き、撮影して保存しておきます。
同じ着物でも、いろいろなシーンを想像して何パターンか決めておくと、いざ着るときに一から考えなくて済むので楽ですよ。