手入れ 浴衣

絞りの浴衣を手洗いする

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夏に活躍した浴衣ですが、そろそろ手入れをして仕舞う時期になりました。

先日、絞りの浴衣を洗ったのでご紹介します

1.絞りの浴衣

①有松・鳴海絞り(ありまつ・なるみしぼり)

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これらは私が大好きな有松鳴海絞りの浴衣です。

有松・鳴海絞りは愛知県名古屋市の有松・鳴海地域を中心に生産される伝統工芸品です。

すべての工程がほぼ手作業で手間と時間をかけて作られるため、高級な浴衣とされています。

②有松・鳴海絞りの特徴

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  • 生地表面に絞りの凸凹「シボ」があるため、肌に張り付かず清涼感があります。
  • 絞りの立体的な華やかさや高級感があります。
  • シボによって生地に伸縮性が出るため着用しやすいです。
  • 藍と白のシンプルな色合わせが多く、どんな帯でも良く合います。
  • シボがあるために洗濯後のシワを気にする必要がなく、アイロン不要です。

絞り浴衣の欠点を強いて挙げるとすると……

  • 絞りがかさばり、たたむと厚みが出る。
  • 洗濯後にそのまま干してしまうと少し縮んだ状態になることがある。

③リユース浴衣

今年、リユース浴衣を初めて購入してみました。

 

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花菱文に唐草をあしらったようなモダンな柄が気に入りました。

藍だけでなく、赤とブルーの染めが入っていますが、年齢を問わず着用できると思いました。

昔は藍と白が大人の絞り浴衣でしたが、現代はカラフルで華やかな浴衣も人気のようです。

 

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着用前に一度洗うことにしました。

浴衣は着物と違って直接肌に触れる部分が多いので、手入れ済みだとしてもリユースの場合は洗濯したくなります。(たたみジワもあったので)

 

2.洗い→すすぎ→脱水

①浴衣を袖畳みにする

特にシミ汚れがなければ簡単に袖畳みにします。

そして畳んだ状態のまま洗濯から脱水まで行います。

②水に洗剤を入れる

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おしゃれ着洗い用洗剤を水に溶かします。
(通常の汗汚れ程度なら、洗剤はごく少なめで大丈夫です。今回は泡立つ程度に入れてみました)

③押し洗い

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畳んだ状態で浴衣を入れ、軽く押し洗いします。

 

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洗濯水はこのようになりました。泡はほとんど消え、ほんの少し色が出ているようです。

④すすぎ

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△すすいだ状態

すすぎは手早くおこないます。

仕上げの洗濯のり又は柔軟剤などは不要ですが、少量ならば使ってもよいと思います。

⑤脱水

洗濯機にもよりますが、脱水は3分程度。畳んだ状態のまま脱水します。

コーマ浴衣の場合は少し濡れているくらいの状態(1~2分)で干すほうがシワが少なく仕上がりますが、絞りの浴衣はシワが気にならないのであまり神経質にならなくて大丈夫です。

 

3.干す→たたむ

①畳んだ状態の確認

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脱水後、畳まれた浴衣は少しズレたりしているので、もう一度整えて手で軽くパンパンと叩きます。

絞りの浴衣は洗ったままだとシボが戻って全体が少し縮んだように感じることがあります。(新しいものに多いかもしれません)

そのような場合、生地そのものが縮んでいるわけではないので、手で叩いたり伸ばしたりしながら畳み直すとよいと思います。

②きものハンガーにかける

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私の場合、きものハンガーにかけて室内用物干しに吊るします。エアコンとサーキュレーターを併用するとすぐ乾きます。

屋外の物干しの場合はくれぐれも日焼けに注意してください。

きものハンガーは長く伸びるものがおすすめです

 

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△三段伸縮式のハンガー

この状態の長さは58cm、帯掛幅は42cmです。

 

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二段目でも結構長い102cm。

 

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141cmまで伸びます。
このハンガーは日常あまり使いませんが、虫干しと洗濯のときに活躍します。

↑改良製品もあるようです。

③タテ方向に伸ばす

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木綿は縦方向に縮む可能性があるので、背縫いや衿、袖などをやさしく伸ばしながら干すのがポイントです。

④乾いたらたたむ

乾いたら衣裳敷(いしょうじき)*に広げ、手でアイロンを掛けるイメージでシワを伸ばしながら本畳みにします。

*衣裳敷…きものを着る時やたたむ時などに広げて使う、紙製のシートで、大きさはたたみ一畳位です。
こちらで取り上げています。

 

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手入れ完了。

二つ折りの状態でたとう紙に収納します。

コーマ浴衣は箪笥の引き出しの一番下に入れても大丈夫ですが、絞りの浴衣は潰れないようになるべく上に収納してください。

 

4.浴衣の手入れで注意すること

①手縫いの浴衣は手洗いで

洗濯機で浴衣を洗う方も多いと思いますが、手縫いの浴衣は糸が弱ったり、折り込んで縫われている部分がヨレたりすることがあるので、手洗いをおすすめします。

②1枚ずつ素早く洗う

水に浸けている時間を短くするために、なるべく1枚ずつ洗うほうがよいと思います。

③長期保管する浴衣には洗濯のりは使わない

薄めた洗濯のりでパリッと仕上げるのも良いですが、何年も着ない可能性がある場合はカビなどのトラブルを避けるために使わないほうが無難です。

④クリーニングに出すときは注意

もちろん浴衣をクリーニングに出しても構いませんが、着物に理解のないお店に頼むと、がっかりする結果になることがよくあるので、以下のような点に注意してください。

  • 絞りの浴衣はアイロンなしの仕上げをお願いする(プレスで絞りの凹凸がなくなってしまうので)
  • 糊付けと強いプレスで着心地がわるくなる場合がある
  • 間違ったたたみ方でシワが付くことがある

 

楽しい時間をともに過ごした浴衣。

夏の終わりのイベントとして、浴衣のお手入れも一つの楽しみとして行えると良いですね。

<浴衣の手洗い><洗濯機洗い><半幅帯の手入れ>については、こちらでも紹介しています。

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