今年は各地で夏祭りが復活し、賑わっているようです。
2歳の孫たちも昨年購入した浴衣でお祭りに参加しました。
1年前のものが着られるのは、着物に上げ(揚げ)という工夫があるおかげです。
1.肩上げ、腰上げとは
①肩上げ(肩揚げ)
肩上げとは、着物の肩部分の生地を前と後ろにかけてつまみ上げて縫い、裄(ゆき)の長さを調節すること、またはその縫った部分のことです。
肩上げは子供の着物ならではのしるしで、可愛らしさが強調されます。
はじめは上げの幅をたっぷり取り、成長するにつれて上げの幅を狭くして裄丈を伸ばしていきます。着物を長く着るための工夫のひとつです。
また、大きい衣服が次第にちょうど良く着られるようになる……という「子どもの健やかな成長を願う」意味が込められています。
②腰上げ(腰揚げ)
腰上げとは、着物の腰辺りの生地をつまみ上げて縫い、着物の丈を身長に合わせること、またはその縫った部分のことです。
大人の女性は「おはしょり」をして着丈調節を行いますが、子供は気崩れて難しいため、腰の部分に上げをすることで着やすくします。
たっぷりと肩上げ、腰上げがされています。
③上げはいつまで?
肩上げ
肩上げをいつまでするかについては諸説あるようです。
最近はネットなどで「十三参りまで」と説明しているところが多いようですが、私の子供の頃、東京で十三参りをする人はほとんどいませんでした。
関西、主に京都の風習である十三参りは、言葉自体も知られていなかったように思います。
私自身は驚かれるかもしれませんが、高校生まで肩上げをしていました。
私は特に小柄だったわけではなく、この頃はすでに現在の身長でしたが、肩上げの幅が少しだけの着物を着ています。
昔は「少女なのに肩上げのない着物を着るのはおかしい」という考え方があったようで、母も肩上げにこだわっていました。
家に残る古い写真にもこのようなものがあります。
今は七五三の着物も大人びた色柄が好まれ、小学校の卒業式に袴をつけるなど、着物の世界でも以前は考えられなかった子供の大人化(?)が見られますが、昔は子供(特に少女)はそれらしい身なりでいることが重要だったのかもしれません。
現代は子供の身長も高くなり肩上げをすると裄丈が足りなくなるということもあるので、「幼児~小学生の間は肩上げをすると可愛い」というくらいの考え方で良いのだと思います。
腰上げ
晴れ着の場合、七歳のお祝いのときには腰上げをせずにおはしょりにすることが多いようです。
腰上げでもよいのですが、おはしょりのほうが裾のラインがきれいに出ます。
ただし浴衣など普段着の場合は、小学校高学年くらいまでは腰上げをして着るほうが動きやすく着崩れないと思います。
腰上げではなくおはしょりで着ています。
男の子も
男の子には肩上げや腰上げがないと思っている人がいるようですが、肩上げ、腰上げに関しては男女児共通ですので、男の子にも上げをして着せます。
2.昨年の浴衣でお祭りに
昨年のお祭りには、当時1歳3ヶ月と1歳10ヶ月の孫に浴衣を着せました。(女児はツーピース浴衣)
こちらで取り上げています↓
まだブカブカで少し動きにくそうでした。
今年もまだ着られそうなので、直して着せることにしました。
①ツーピース浴衣のお直し
△サイズ90の2way浴衣サンドレス 3点セット(購入時のもの)
上衣はそのままでは大きかったので、昨年は肩上げを二重にして着せました。
ほどいて元の肩上げにもどしました。
小柄な2歳3ヶ月の孫にはちょうど良いサイズになりました。
スカート部分はサンドレスとしても着られます。
紐が3段階に調節できるので、直す必要はありませんでした。
②男児の浴衣のお直し
購入時のもの(肩上げと腰上げはない状態で販売されていました)
2歳10ヶ月の男児には1~2歳用の浴衣は少し小さいかもしれませんが、そこが着物の良い点です。
身幅や裄丈にはゆとりがあるので、なんとかなると思います。
肩上げの幅は昨年の半分ほど(1.7cm)にして、裄丈をのばしました。
腰上げも5cmおろしました。
腰上げはわずかですが、1.5cmつまんでいます。
③浴衣を直す時はもう一箇所
腰上げをなおしたら腰紐(付け紐)の位置も変わってきます。
元のままだと高すぎて帯から出てしまうので注意してください。
3.今年の二人
週末に近所のお祭りに二人を連れて出かけました。
昨年は少し嫌がっていた浴衣への着替えも、2歳の今年は2人で順番を争うように早く着たいとせがんでいました。
①肩上げ
今年は落ち着いてポーズもとれるようになりました。
肩上げは子供を愛らしく見せてくれます。
②兵児帯
兵児帯は長いので、たてに二つ折りにしてから後ろで固結びに結びました。
5~6歳になれば後ろでリボン結びにしますが、まだ小さいので垂らさずにコンパクトにまとめるほうが引っ掛けたり緩んだりせずに安心です。
昨年は兵児帯では大きすぎるので私の帯揚げで代用しました。
③浴衣でお祭り!
今年は二人とも「みんなで浴衣を着てお祭りに行く!」という意志がはっきりしていて、この日を楽しみにしていたようです。
2人のママたち(両端)も、今年は浴衣を着る余裕ができたので、女性三人で着てみました。
浴衣の上げを直すのは少し面倒かもしれませんが、子供の成長に喜びを感じることができる時間だと思いました。