今日は、浴衣をきもの風に着るときの襦袢について取り上げます。
1.浴衣と半衿
①半衿は決まりごと?
先日、友人から「浴衣の下に着る半衿付きの襦袢は、どんなものが良いのか?」という質問を受けました。
浴衣は本来、半衿無しの下着(肌襦袢やスリップ)を付けて着るものです。
しかし、若い人たちが浴衣でおしゃれをするようになってから、半衿を付けて着物のように着ることが流行ってきたようです。
それ以前、私が子供の頃は、足袋を履いて名古屋帯を締めても、<浴衣に半衿>という組み合わせはあまり無かったように思います。
今は「白足袋を履くなら半衿を」とか、「帯締めをするなら半衿を」とか、決まりごとのように言われていますが、あくまでも、「そうするとバランスが良くおすすめです」程度のことだと思います。
浴衣は自由な普段着なので、決まりごとはないはずです。
今日はそれを踏まえて、現代風浴衣の着こなしに合わせる襦袢を取り上げたいと思います。
②どんな襦袢?
私が今まで着ていたものは2通り
- 筒袖の半襦袢
- うそつき襦袢
です。
<筒袖の半襦袢>
麻のちぢみ半衿を付けた筒袖の半襦袢。これは以前、日舞の稽古用にきていたもので、元は袷用の半衿が付いていました。
身頃と袖は綿絽。袖口にはレースが付いています。
(2016.7.31の記事参照)
<うそつき襦袢>
うそつき襦袢とは、長襦袢を着ているようにみせながら、実は半襦袢と裾よけの二部式になっている襦袢のことで、きものの袖丈に合わせた袖を付けます。
身頃は綿や麻。袖は、昔は絹で作りましたが、最近の市販のものは、洗えるポリエステルが多いようです。
絽
古くなった絽の長襦袢を切って上だけ残したもの。下は裾よけ、またはステテコを合わせています。
うそつき襦袢は本来は身頃が綿や麻なので、身頃も絹のこの半襦袢はうそつきではないのかもしれませんが、単衣のきものや夏のきものに着用しています。
先日、浴衣の下にはこれを着ました。
麻
身頃は薄手の麻、袖も別布ですが麻を付けています。
今ご紹介した2点は、いずれも身頃が綿や麻で吸湿性はよいものの、肌着の上に着ていますので、重なっている分暑いです。
そこで今回、半衿付きの浴衣スリップを購入してみました。
2.半襦袢スリップレビュー
①届く
注文して2日後に届きました。
スリップなので包みは軽くて薄いです。
②高島クレープ
「高島クレープ 半襦袢スリップ」タケハナ株式会社(日本製)」です。
高島クレープ……「細かい凹凸の縮みじわが特徴で、通気性が高く、吸汗性・速乾性があり、肌触りがよい。」
などと説明されています。
高島は地名で、琵琶湖に面した滋賀県西部のエリアが高島市です。古くから「高島縮(ちぢみ)」として有名です。
③素材とサイズ展開
<素材>
- 身頃・袖:綿100%
- 半衿:ポリエステル100%(絽)
- 日本製
<サイズ>
- Sサイズ 身丈(肩から採寸):約115cm、袖丈:約20cm、袖巾:18cm、くりこし:約10cm、裾まわり:約135cm
- Mサイズ 身丈(肩から採寸):約120cm、袖丈:約20cm、袖巾:18cm、くりこし:約10cm、裾まわり:約135cm
- Lサイズ 身丈(肩から採寸):約125cm、袖丈:約20.5cm、袖巾:18cm、くりこし:約10cm、裾まわり:約145cm
私はSサイズを注文しました。(身長154.5cm)
Mサイズでもよいのですが、浴衣用なので短めを選びました。
袖は肌襦袢の長さほどの短いものです。(20cm弱)
紐付け部分
3.トルソーに着せてみる
①衿芯を入れる
衿は薄く柔らかです。
衿芯*を入れてみました。
*コーリン衿芯を使用しました。
ピンとしました。現代風の浴衣の着付けができそうです。
前で紐を結びます。
衿元はすっきりしています。
横から見る
後ろから見る
②浴衣に合わせる
一般的な木綿の浴衣ですが、半衿があると着物風に見えます。
衿芯を入れると、衣紋が抜きやすいです。
実際に着る場合、ここまで衣紋を抜くかどうかは、体格や年齢、好みに合わせて考えたほうがよいと思います。
後ろ姿はキリッとしています。
4.洗濯してみる
洗濯によって、型崩れや縮みがないか試してみました。
①洗いと脱水
洗面ボウルで手洗いし、脱水は1分しました。
②たたむ
脱水後はいったん畳みます。
簡単に袖畳みします。
紐をのばしておくと、あとが楽です。
畳んだら両手に挟んで、手のひらで上からたたきます。ハンガーに干す前にこの作業をおこなうと、シワが伸び、乾いたときの仕上がりが違います。
③干す
薄くてすぐ乾くので、部屋干しでも大丈夫です。
④元通り
洗濯による型くずれや縮みはありませんでした。
早く乾き、すぐに元通りになりました。
紐は伸ばして干したのでピンとしています。袖も身頃もアイロンを当てずにそのまま着られそうです。
このように洗濯後のアイロンは必要がないことがわかりました。洗濯ネットに入れれば洗濯機を使用しても大丈夫だと思います。
5.感想
<「高島クレープ 半襦袢スリップ」の良い点>
- 軽くて涼しい素材なので着心地が良さそうです。
- 衿元がきれいに仕上がります。(衣紋が上手く抜けます)
- 簡単に洗濯でき、アイロンもいりません。
<注意点>
- 衣紋が抜けるように繰越*をたっぷり取っているので、衣紋を抜きたくない人には向かないかもしれません。
*繰越(くりこし)…女物の着物や襦袢で、衿を後ろに抜きやすくするために、衿肩明きを肩山から後身頃にずらすこと。またはその寸法を指します。
- パッケージから出したときには、衿に折りジワが付いています。
衿芯を入れれば問題はありませんが、入れない場合は気になるかもしれません。
軽くアイロンを当てるか、一度洗濯することで折りジワは取れます。
洗濯後はほとんど取れています
「高島クレープ 半襦袢スリップ」は浴衣だけでなく、夏のカジュアルなきものに合わせることができる、重宝な襦袢だと思いました。
また、袖の上に別袖を付けて、長襦袢のような利用の仕方も可能だと思いまし
た。
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