7月、箱根美術館に越後上布(えちごじょうふ)を着ていきました。
苔の庭が素敵なところですが、着物の選択ミスで写真の色合いが微妙に……。
でも更紗の日傘で救われました。
1.箱根美術館
①箱根美術館とは
神奈川県足柄下郡箱根町にある、箱根で最も古い美術館です。
世界救世教の教祖・岡田茂吉(1882-1955)が生前に蒐集した東洋・日本美術のうち、古陶磁器を公開しています。
1952年(昭和27年)に開館しました。
約700坪の苔庭はいつも季節ごとの美しい景色で出迎えてくれます。
苔庭の緑と紅葉が美しいミニクリアファイル。(売店「光琳堂」で購入)
春夏と秋にこの景色が体験できます。
美術を鑑賞するだけでなく、茶室や趣のある建物を見ながらのんびりと散策を楽しむことが出来るのが箱根美術館の魅力だと思います。
また、常設展示は撮影可能です。
②当日の展示品から
今回印象に残った展示品をご紹介します。
△橋本雅邦(1835-1908) 「豊干禅師(ぶかんぜんじ)」*
*豊干禅師……「中国・唐代の禅僧。寒山と拾得と共に三聖と呼ばれる。
豊干は虎に乗って道歌を口ずさみながら門を入ってきたことがあり、虎に乗る豊干の姿は絵にも描かれた。」(ウィキペディア(Wikipedia)より抜粋)
△ 竹内栖鳳(1864-1942) 「海幸(うみのさち)」昭和11年頃
△ 色絵唐子遊文平鉢(いろえ からこあそびもん ひらばち)伊万里 江戸時代 17世紀
△ 色絵唐子花籠車置物(いろえ からこはなかごぐるま おきもの)京焼 江戸時代 17世紀
ここは訪れる度に違う展示品が見られるので、四季の景色と合わせて楽しむことができます。
2.越後上布に紗の帯で
①溶け込みすぎ?
あまり考えずに越後上布*と紗の作り帯を選んだのですが、箱根美術館の庭を見て気付きました。
*越後上布についてはこちらでも取り上げています。
↓
色が景色に溶け込んでいました。
このスポットが大好きです。
2019年11月初旬に訪れたときは……
紅葉し始めた庭が美しかったです。
私は桜の季節にはピンク系を避けて緑や青色の着物を選ぶことが多いですが、今回は着やすさ重視で選んでしまったため、圧倒的な木々の緑と苔の緑に同化してしまったのでした(T_T)
②旅行には軽装の作り帯で
一泊の箱根旅行(車で)だったので、行きは着物、帰りは洋服にしました。車とはいえ、持ち帰り荷物が重くならないように軽い着物と帯を選びました。
上布(麻)の着物は袖と腰から下が特にシワになりやすいですが、涼しさと軽さの点では旅行に向いています。
長襦袢は省略し、着物の下は汗取り肌着(あしべ織り*)と半衿付き半襦袢に裾除けです。
*あしべ織り肌着についてはこちらで取り上げています。
↓
帯は自分で二部式にリメイクした紗の帯です。
二部式にすると余分な布がカットできるので、さらに軽く着用しやすくなります。
3.合わせた小物類
①帯揚げと帯留め
絽の絞り帯揚げと真田紐(さなだひも)の三分紐+肥後象嵌(ひごぞうがん)*の帯留めを合わせました。
*肥後象嵌…熊本の伝統工芸品で、鉄の地金に金や銀を打ち込んで文様を描き出すものです。江戸時代、鉄砲や刀の鍔(つば)の装飾として発達しました。
武士が使用するものの装飾品だったからか、肥後象嵌の帯留めをするとキリッと引き締まる感じがして、私は夏帯に使うことが多いです。
②その他
その他の小物は百合柄の布バッグに鎌倉彫の下駄、日傘です。(「富士見亭」の前で)
カレンブロッソなどの歩きやすい草履も旅行向きですが、軽さの点ではこの下駄が一番です。
鎌倉彫は足の当たりも心地よいです。
今回は景色に馴染みすぎた着物でしたが、更紗の日傘が挿し色になりました。この更紗は典型的なインド更紗の模様で、私が大切にしている昭和時代の傘です。
続きは次回に……