生地

8月末から9月初めのきもの・後編

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今日は少しずつ秋らしくなる9月上旬のきものを考えます。

前編はこちら

4.絽紬

着た日<9月3日(最高気温32℃)>

③派手な小紋

この絽紬は、以前はもっと派手な色でした。

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△10代後半~30代に着ていたもの

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△20歳の頃(6月12日)

30代後半からは、さすがに明るい朱色が気になり始め、着なくなってしまいました。

着心地の良さが気に入っていたきものなのに、着られないのはとても残念……。

そこで染め直しをしてもらいました。

 

5.染め直し

①染め直しの方法

きものを染め直す方法として代表的なものに
「色抜き染め」
「目引き染め」
の2種類があります。

◇色抜き染め…きものを解いてから洗い張りをし、色柄を抜いて白生地の状態に戻します。
その後、色無地や小紋などに作り変えます。

◇目引き染め…きものを解いてから洗い張りをし、その上から色をかけます。
派手なきものを地味にしたり、変色したシミを隠すことができます。

つまり、目引き染めは色を抜かずにそのまま上から色をかけるので、工程が1つ少なくて済みます。(そのかわり色の選択肢は限られます)

②目引き染め

今回は「目引き染め」で、上からグレーの色をかけてもらいました。

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↓ ↓ ↓

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模様が消えることなく、うまく染まりました。

③お店と相談

このような染め方は加減が難しく、要望通りにならないこともあるため、目引き染めをやらないお店もあります。

実際、前述の絽紬を「きものサロンながしま*」に見てもらったところ、断られてしまいました。
「上手く仕上がるかどうかわからない」という理由でした。

*きものサロンながしま…Webと実店舗(本店は京都)両方で広く展開し、自社工場で加工を行う呉服店。この店では丸洗い、丸染め(現在は行っていないそうです)、八掛交換をしてもらいました。対応もよく、仕上がりも満足しています。

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△丸染め(2014年)

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△八掛交換(2015年)

これらはいずれも東京の支店に直接持って行き、注文しました。

しかし、目引き染めは引き受けてくれなかったので、個人営業のお店にお願いしました。

そこは躊躇なく、すぐに引き受けてくれました。そして染めの職人さんと私の間を往復して途中経過を見せてくれたので、私も納得のいく仕上がりとなりました。

「色抜き染め」の場合でも、色見本だけでは出来上がりイメージはよくわかりません。ですから染め直しの場合は、細かい相談にのってくれる個人営業の呉服店や、布の端で試し染めをしたり途中経過を確認させてくれるような染物店にお願いするのがよいと思います。

 

6.南部絞り・茜染

<着た日・9月11日(最高気温25℃)>

①木綿

9月も10日を過ぎると、「夏物では何だか楽しくないなぁ」と感じることがあります。カジュアルなら涼しい夏物の方が単衣よりずっと楽なのに…気持ちが秋に向かっているからでしょうか。

そこで、気楽に着られる木綿の南部絞り・茜染の登場です。

 

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「二代目喜多村緑郎 襲名披露 九月新派特別公演」昼の部に行きました。

襲名披露という特別な公演なのに木綿のきものでごめんなさい(>_<)、と思いつつ、くつろいだ気分で久しぶりの新派を楽しみました。

②40年

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着始めてから40年近くたち、茜の色は経年変化で少し落ち着いて来ました。

 

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柄は琴柱(ことじ)紋です。琴柱とは、琴の弦を支え音階を調節する道具。家紋にも使われています。

私の中では、茜は秋のイメージ。初夏よりも9月に着ることが多いです。

③南部しぼり 紫根染・茜染展

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△ご案内のハガキ

2016年9月14日から9月20日まで、日本橋高島屋7階呉服サロンで、盛岡 草紫堂の南部絞りの展示・販売会が開催されます。

茜や紫の草木染めは見ているだけで癒され、手仕事の精巧な絞りからはパワーを感じることができます。

④木綿の帯

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帯は刺し子が施された生地を自分で作り帯に仕立てたものです。(2015年11月15日の記事参照)

 

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赤系のきものなので、一番地味な柄を出して締めました。作り帯にすることで色々な柄の刺し子が楽しめます。

 

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久留米絣には赤い麻の葉柄を強調して……

 

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前の柄も少し華やかです。

比較的薄い木綿生地に帯芯を入れて作ったものなので、軽く柔らかな帯になっています。

夏帯の次に締めるにはちょうど良い感じです。

 

7.生紬(なまつむぎ)

〈着た日・9月14日(最高気温26.6℃)〉

①生紬とは

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△昨年もご紹介した秋限定の単衣の生紬

絹糸は光沢としなやかさを出し発色を良くするために、表面のセリシンというタンパク質を取る精練という加工をします。その精練を途中で終えて、セリシンを完全にとりきらずに織ったものが生紬です。

 

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訪問着ではありますが、紬なので街着として、又食事会や観劇、コンサートなどに毎年着ています。
(2015年10月10日の記事参照)

②櫛織(くしおり)の帯

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これも以前ご紹介しましたが、色合いが秋らしい櫛織の帯です。

 

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櫛織とは機織りの際、櫛を使って織られたものです。

通常はカマチ筬(おさ)という道具でトントンと押し詰めてきっちり織り目を整えますが、その縦糸を寄せる時に櫛を使うことで、緩やかな織り目になるのです。

袋帯なので厚みがあるように見えますが、とても軽いです。このきものと帯の組み合わせは、夕方からのクラシックのコンサートで着用しました。

③綴れ織りの帯

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△数年前の9月23日の写真

9月の下旬なので、帯は重さのある綴れ織りにしています。お彼岸を境にまた少し秋の装いに向かうのです。

きものの場合、季節の変わり目に何を着ればよいか悩むことが多いです。

けれどもそんな瞬間こそがきものの楽しみだと思っています。

移りゆく季節を、身にまとう着物で味わいましょう♪

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