今日はリユース着物を取り上げます。
今回実際に、百貨店の中にある委託販売の店でリユース着物を購入してみました。リユース着物の注意点やクリーニングの結果も含めご紹介します。
1.リユース着物
①リユース着物とは
ここでは人から譲られたものではなく、販売されている中古の着物をリユース着物ということにします。
「リサイクル着物」のほうが一般的に使われていますが、本来リユース(Reuse)は再使用、リサイクル(Recycle)は再生利用の意なので、リユースのほうが合っているようですね。
現代のSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも、リユース着物を購入して楽しむことは意義あることだと思います。
②購入のきっかけ
今回のお店は、以前友人が購入する際一緒に選んだことがあり、友人がその後も素敵に着こなしているのを見て、安心できるお店だと思っていました。
そして目に止まったお買い得価格の着物を、私も試してみたくなりました。
お店は新宿京王百貨店内の「ながもち屋」です。
ゆっくり試着し、シミ部分の説明などもじっくり聞いて考えることができたので、納得して購入しました。
(袖に少しシミがあるので、5,000円(税抜)でした。ながもち屋の着物としては低価格です)
https://www.nagamochiya.com/
↑ ながもち屋サイト
ご覧の通りピンク系の若向きの着物です。カジュアルとよそ行きの中間といった雰囲気です。
娘にも似合いそうな色合いで私もちょっと袖を通してみたくなったので、試着した上で購入しました。
③委託販売の仕組み
「ながもち屋」の場合
着物の委託販売「ながもち屋」は、持ち込まれた着物をチェックして値札や寸法表のタグを付けた後、そのまま店頭に並べます。
店頭価格は5000円くらいからで、着物が売れたら金額の3~5割ほどの手数料を差し引き、持ち込んだ人に支払う仕組みです。
ながもち屋の商品は丸洗いやプレス加工はされていないので、気になる場合は自分で購入後に行う必要があります。
今はコロナ禍で買い取り価格は安いそうですが、その分買う方は得になっているとのことでした。
「たんす屋」の場合
たんす屋は委託販売の他に買取りを行っています。(買い取ったものを販売する)
ただし、現在は規模を大幅に縮小したため、委託販売は少ないようです。
たんす屋は商品の抗菌、消臭、丸洗い加工を行うため、価格は1万円くらいからになっています。
(いずれもお店の方にお話を聞きました)
2.リユース着物を購入する際の注意点
リユース着物を購入する際は次のことに注意したいです。
①サイズが合っているか
身丈、裄丈、袖丈がポイントです。
着物には寸法のタグが付いているので、自分のサイズを把握してからお店に行くと早く選ぶことが出来ます。
わからないときはお店の人に聞けば大丈夫です。
②長い袖丈に注意
現代のものより袖丈の長い着物があるので、裄丈が合っていても注意が必要です。
一般に戦前のアンティーク着物は袖丈が長いことが多いのですが、昭和中期以降のリユース着物でも袖丈がやや長めのものがあるので、長襦袢が必要な着物*は注意が必要です。
*カジュアルな着物でしたら長襦袢ではなく筒袖半襦袢で着るのも良いと思います。
袖丈が合わない長襦袢を無理して着るよりすっきり着こなせるはずです。
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③裄丈(ゆきたけ)が短いことがある
現代では着物の裄丈(首の付け根から手首までの長さ)の長いものが流行っている*ので、全体の寸法は合っていても裄が短いことが多いと思います。
けれども、手首のくるぶしが出るくらいなら昔は普通でしたので、長襦袢さえ合わせられれば着ることが出来ます。
*裄丈についてはこちらで取り上げています。
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④汚れの確認
シミがある場合は、着る際に目立つシミかどうかをチェックします。
⑤生地や縫い目に傷みがないか
店頭に出す際にチェック済みだと思いますが、自分でも擦れやほつれがないか見ます。
⑥におい
少しぐらいなら干しておけば取れますが、臭いの強いものはクリーニングが必要になります。
⑦色やけ
部分的に退職している場合があるので注意が必要です。
⑧試着して顔映りを確認する
着物は手に取ったときと実際掛けてみたときとでは、印象がかなり違うことがあります。
好みと似合うものが違う場合もあるので、できれば家族や友人に付き合ってもらい、感想を聞くのが良いと思います。
(その点、リユース着物は反物の状態ではないので簡単に羽織ることができ、わかりやすいです)
3.クリーニングしてから着ることに
①再確認
付下げを購入後、着物を広げてもう一度確認しました。
三越のタグが付いています。シワが目立ちます。
袖にシミがあります。(購入の際、説明がありました)
ちょうど着物クリーニングの無料券があったので、クリーニング(丸洗い)をすることにしました。
シミは取れなくても、きちんとプレスしてもらうことでさっぱりして新しい感じになると思ったからです。
②クリーニング後
クリーニング後はさっぱりした感じで生地にハリが出て、手触りも変わりました。
プレスによって生まれ変わったようです。
袖のシミはなくなってはいませんが、あまり気になりません。
4.着てみる
①黒繻子帯で
黒繻子(くろじゅす)地に刺繍が施された名古屋帯を合わせました。
裾のグラデーションがきれいに出ています。
重い雰囲気の帯で着物の明るさ(派手さ)を抑えている感じです。
②織の帯で
同じく黒地ですが、織りの帯を合わせました。
着てみるとピンク色はそれほど派手ではないようです。
絞りの帯揚げと金糸入りの帯締めを合わせました。
③感想
- 今回の着物を娘(20代)が着る場合は、黒以外の少し華やかな帯を合わせると良いと思いました。
- 新しく作る着物は「この先長く着られること」を考えますが、「もう派手だけれど着てみたい!」とか、「自分に似合うかわからないがちょっと冒険してみたい!」いうような場合は、リユース着物が良いかもしれません。
- リユース着物はサイズが合えば十分着られるものですが、シワなどは自分でアイロンを当てる※か、手頃な着物クリーニング店にお願いしてさっぱりさせてから着るのが良いと思います。
- リユース着物として出回っているものは、時代的に絹の質が現代よりも良く、生地もしっかりしたものがあるように思いました。
- 着物が日常的だった時代のアンティーク着物と違い、リユース着物は着用回数が少ないためか、状態が良いものが多いと感じました。
※ アイロンの当て方についてはこちらで取り上げています。
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