前回に続き、肩や腕が痛い時のきものの着方についてです。今日は半幅帯を利用して簡単にきものを着ることを提案します。
また、私が実践している肩のストレッチもご紹介します。
1.半幅帯を活用しよう
現代は紬の価値が高まり、おしゃれ着として広まっています。
それならば紬に良く合う半幅帯もおしゃれ着として活用してみてはどうでしょうか。
また、半幅帯はやわらかものの小紋にも合わせられます。歴史的にも昔の帯幅は細かったようです。
①昔は細帯
安土桃山時代から江戸初期の女性は、身幅が広いきものに細い帯を締めていました。
△江戸初期の小袖姿(『新訂国語総覧』京都書房2010年 より)
△洛中洛外図屏風 狩野孝信筆 江戸時代 17世紀(出典:『特別展 きもの』図録)
帯は5cmほどの細帯で、慶長期(1596~1615年)半ばの様子とのことです。
△見返り美人図 菱川師宣筆 江戸時代 17世紀(出典:『特別展 きもの』図録)
紅綸子の振袖に七宝模様の半幅帯を締めています。
帯幅は江戸時代中期以降に少しずつ広くなったようです。
②白洲正子の半幅帯
昭和の随筆家、白洲正子(1910-1998)も半幅帯、細帯の愛用者でした。
△白洲正子が使用した半幅帯と細帯(白洲正子(2000)『衣匠美』世界文化出版より)
△半幅帯着用の白洲正子(白洲正子、青柳恵介ら(2012)『白洲正子のきもの』新潮社より)
白洲正子は著書『きもの美 』(1962年)の中で次のように述べています。
「近頃は、細い帯が盛んに着られるようになりました。これもいい傾向で、きものの歴史からいっても、太い帯というのは、せいぜいここ二百年ぐらいの、近世の産物なのです。徳川中期までは、ずっと細い帯を用いており、その方がきもの全体をひき立てますし、互いに殺し合うという危険もありません。第一、どんなに楽なことでしょう。昔はやった丸帯みたいなものは、一種奇形的趣味で、二度としめたいとは思いません。」
(『白洲正子のきもの』新潮社より)
白洲正子が生きた昭和と同じく、現代の私達も幅の広い帯を標準としています。
私自身も大人になってから半幅帯を締めることがほとんどありませんでしたが、最近は挑戦するようになりました。
特に腕が痛い時は、前で結んでくるっと回せば着付けが終わる半幅帯はとても助かります。また、半幅帯なら、前結び用の特別な帯板を使わなくても簡単に後ろに回すことができます。
2.リバーシブルの半幅帯を購入
①おりびと半幅帯
このようにポップなボタン柄の帯を購入してみました。
以前にもご紹介した織物の産地、群馬県桐生のブランド「おりびと」の半幅帯です。
こちらで取り上げました。
↓
今回選んだのは前のデザインなので、フリマサイトで新品を購入しました。
裏は紫の細かい矢羽根模様です。
長さ:約3m90cm
幅:約16cm
ポリエステル100%
このような袷仕立ての半幅帯(小袋帯)は、浴衣に限らず小紋や紬に合わせることができます。
②紬の着物に着用
結城紬に合わせました。
細かい矢羽根模様はどんな着物にも合いそうです。
お太鼓結びより寂しい感じですが、帯枕がない分、背中はスッキリして楽に感じます。
縮緬の帯揚げに堆漆(ついしつ)*の帯留めを合わせました。
*堆漆…漆を長い時間をかけて何層も重ねていき、最後に削って模様を出すものです。
草履ではなく、津軽塗の下駄を履きました。
可愛いボタン柄の方は次回挑戦してみようと思います。
③前結びで帯締めはどうする?
前結びは手を後ろに回さずにできますが、帯締めを当てるときは後ろで結べないので困ります。
そこで、帯締めは前横で結んでいます。
横ならしっかり結べるのでお太鼓も崩れません。帯揚げは後ろの下の位置でゆるく結んでいます。
いずれも帯をくるっと回してから、きちんと整えます。
この帯結びのやり方はこちらで紹介しています。
3.エクササイズポールで肩ほぐし
五十肩対策として友人に薦められた肩をほぐすためのポールを試してみることにしました。
①GronG(グロング) ストレッチ用ポール
エクササイズポールは各メーカーからたくさん出ているようですが、<長くて軽い>もので<買いやすい価格>のものを選びました。
長さは約98cm(直径15cm)、重さは約650gです。上に寝てストレッチするので長いもののほうが安定すると思います。
材質:芯はEVA、カバーはPUレザー
色は10色から選べます。
ファスナー部分はカバーされています。
△取扱説明書
基本姿勢だけでも気持ちがよく、リラックス効果があるので、お風呂上がりにやっています。
エクササイズポールの使い方は動画がたくさんあるので、そちらも参考にしています。
②マグカップを使った肩ほぐし
偶然見つけた動画ですが、こちらも簡単なので毎日行っています。
↓
マグカップを軽く持って1分間ブラブラ振るだけの単純な動作です。手首の向きを3通りに変えて合計3分間やるだけですが、肩の血流が良くなります。
無理なく続けられそうな運動です。
①②の肩ほぐし運動は、肩の痛みがない人でも肩こり改善などに効果があるようです。