コーディネート/着方

肩や腕が痛くても着物は着られる? その1

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昨年の夏、ワクチン接種をきっかけに五十肩の症状が出てしまいました。

きものを着る時には左腕が後ろに回しにくいので辛いですが、何とか工夫して着ています。

腕が痛い時の帯結びに役立つ大きいクリップも探しました。今日は四十肩、五十肩のときの着付けについて考えます。

1.四十肩、五十肩と着物

①五十肩とは

五十肩とは(ごじゅうかた、英: frozen shoulder)は、肩の痛みと運動制限をきたす疾患。

四十肩とも。正式には肩関節周囲炎という疾患群のことで、肩関節の周囲に起こる炎症のこと。

痛みのために、腕を直角以上に上げられなくなったり、後ろへはほとんど動かせないなどの運動障害が起こる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E5%8D%81%E8%82%A9
(ウィキペディアより抜粋)

私の場合は、左腕をまっすぐ上にあげられず、真横にも伸ばせません。

後ろはウエストの下あたりでエプロンの紐を結べる程度で、それ以上の高さには上がりません。

幸い右手は今のところ無事です*
(*五十肩は時間差で両方に発症することが多いそうですが、今回は片方だけが痛い場合の工夫についてお話します。)

痛くなってからすでに半年ですが、動かさずにいると固まってしまいそうなので、私は気にせず発症直後から着物を着ています。

②昭和時代でも

明治、大正時代の女性はわかりませんが、昭和一ケタ生まれの私の母も五十代はじめに肩を痛めました。

それでも、洋服を持たなかった母は、毎日着物で過ごしていました。

普段は柔らかめの八寸名古屋帯に割烹着やうわっぱり、または二部式作り帯の胴部分だけにうわっぱりを着たりしていました。そしてよそ行きの帯を締めるときは私が手伝っていたことを思い出します。

着物で過ごす昔の人は五十肩になったからといって洋装に切り替えることはできないので、皆何とか工夫してやり過ごしていたのではないかと思います。

③五十肩になると困ること

私の場合、五十肩になって以下の点が困っています。

  1. 紐や伊達締めを真後ろで交差できない
  2. 今までのように帯を引き締められない
  3. 背中心が真っ直ぐになっているかを手で触って確認できない
  4. 背中心から左右に着物を伸ばして背中をすっきりさせることができない
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    手を後ろにして両脇を左右に引くと背中心がまっすぐになるのですが、この動作が難しいです。
  5. お太鼓の帯枕を両手で背中に当てられない
  6. 袋帯の二重太鼓を止めていたクリップ*が着用後に外せない

*二重太鼓のクリップ…着用の前に二重太鼓の山をあらかじめ固定しておく着物用クリップのことで、二枚の帯がずれることなく締められます。

 

2.解決策

腕が痛くてもきものは着たいので、自分なりに工夫してみました。

①紐や帯を締めることに関して

a.紐や伊達締めを真後ろで交差できない

真後ろではなく、少し横で交差することで、腰紐(腰ベルト)や伊達締めは問題なく締められました。

b.帯を引き締められない

帯は痛くない方の手を使って引き締め、緩みそうならクリップで止めています。

仮紐を使うときも緩まないようにクリップで止めると良いようです。あまり無理をせず「そこそこ締まっていればよし」と思っています。

②背中心をまっすぐに着ることに関して

c.背中心が真っ直ぐになっているかを手で触って確認できない

  • きものを羽織ったら袖口を持ち、痛くない角度で左右均等に伸ばします。
  • 左右の掛衿の位置が同じになるように前で合わせます。

いずれも背縫いを中心に定めるための動作で、痛みを感じずにできます。

d.背中心から左右に着物を伸ばして背中をすっきりさせることができない

両手を後ろに回して脇を引くことはできないので、片方ずつ、痛い腕の方は前から手を回して引く

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腕が痛い方の脇は反対の手を前から回して伸ばします

③お太鼓に関して

e.お太鼓の帯枕を両手で背中に当てられない

帯枕は片手でのせています。帯枕をしっかりつかめば、片手でも大丈夫です。

f.袋帯の二重太鼓を止めていたクリップが着用後に外せない

お太鼓のクリップは前から手を回して取れるような長いものを使うことにしました。

次にご紹介します。

 

3.着付け用の長いクリップ

①二重太鼓をとめるクリップ

まず、二重太鼓をとめるクリップの使い方です。

私は以前からよそ行きの袋帯を締める時、お太鼓の二重部分をピッタリ重ねるためにあらかじめクリップで止めていました。

もちろん使わなくても良いのですが、ずれたお太鼓は腕が痛い時は直せなくなるので、なるべく固定しておきたいのです。

クリップの使い方

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△右側がたれ

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△三角に折り上げ

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△約3cm上のところにクリップをつける

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△お太鼓になる部分を上から重ねて

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△ 出したい柄を決める

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△帯の一番下についていたクリップをはずして……

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△あとから重ねた二枚に留め直す

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△左右が真っ直ぐになるように留め直したところ
(ここで見えているたれは、本来は見えないようにぴったり合わせます)

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△完成形はこのようなイメージ

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△着用例

このやり方はこちらでも紹介しました。

 

ところが今は着終わってクリップを取ろうとすると、左腕が後ろに回せず、外せないのです。

そこで、反対の手を前から回しても取れるようなロングサイズのクリップを購入してみました。

②ロングサイズの着物クリップ

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△特大クリップ
(日本製)

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裏は9cmの目盛付きで、実寸は約10cmです。(帯のたれ部分の長さを計ったりするのに使うらしいです)

 

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今まで使用していたクリップと比較してみました。

 

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他のものと同じように、クリップの内側はゴムになっていて帯や着物を傷めない仕様になっています。

ハンディクリップ 特大 10cm 目盛付き 赤 単品 1個

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③使用してみてた

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△クリップを付けた状態の二重太鼓

右の水色クリップは今までの7cm、左が10cmです。

クリップは外しやすいように浅めに止めています。

 

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7cmのクリップではどうしても前から外せず家族に頼んでいましたが、特大サイズにしたことで外せるようになりました。

 

次回も腕が痛いときの着物を考えます。

 

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