6月半ばになると夏の着物(薄物)を着たくなります。
今日は夏着物の種類と、私が愛用している竪絽(たてろ)の着物を取り上げます。
絽の一種ですが透け感が少ないので単衣の季節にもちょうど良い着物だからです。
1.夏の着物の種類
夏の薄物は種類がよくわからない、という声をよく聞きます。
どんなものがあるのか、代表的な夏の着物について簡単に説明します。
①絽
夏物の中でもっともポピュラーなのが絽です。
よこ糸何本かおきに透き目を作りながら織られたもので、三本絽、五本絽、七本絽などがあります。
長襦袢、帯揚げ、帯地にも使われています。
訪問着や無地などのフォーマルな着物のほとんどは、絽が使われます。
②紗
絽よりも透き目が粗く網のようになっているのが紗です。
透け感が強いので盛夏のものとされています。
着ていてもサラッとして涼しいです。おしゃれ着や街着の着物に使われています。
コートだと中の帯が見えて紗の透け具合がよくわかります。ただし紗のコートの場合、4月から10月頃までの長い期間着ることができます。
③麻
絽と紗は絹で織られたもの(ポリエステルもあり)ですが、植物の麻から作られた着物もあります。
その中でも、上布(じょうふ)といわれ、作るのに手間と時間がかかる高級な麻織物*は、夏の着物の中でもっとも涼しく着心地がよいものです。
*手績(う)みの苧麻(ちょま)糸を使って織られる越後上布や宮古上布など
詳しくはこちらで取り上げています。
しかしどんなに高級といわれても、絹の後染めの絽や紗と違い、カジュアルな場に着るものとされています。
涼しく着心地の良い麻ですが、着用中シワができやすいのが弱点です。
白く光って見えるのが絣部分です。
2.紫陽花(あじさい)柄の竪絽(たてろ)の着物
昨日(6月22日)クラシックコンサートに出かける際に着用したのは、紫陽花柄の竪絽の着物です。
①竪絽とは
一般的な絽は生地の横方向に絽目がありますが、縦方向に透き目を織りだしているものを竪絽といいます。
横に透けるものより透け感が目立たないので、単衣の時期の6,9月にも着られるものとされています。
②絽綴れの帯を合わせて
染め直して紫色にした着物です。紫陽花が織りだされています。
夏帯の絽綴れを合わせました。
絽綴れは絽の帯より透け感があり、着用すると軽く、印象も涼しげになります。
こちらは前回取り上げた絽の帯です。遠目では夏帯だとは分からないかもしれません。
葦と舟の文様です。波も描かれ、横に透ける織り目が水を思わせる夏らしいデザインです。
当日は晴れて東京の最高気温は30℃でしたので、夏帯を選んで良かったと思いました。
③帯留めなど
紫陽花模様の七宝ブローチを帯留め代わりにしました。
草履は馬の尾毛を使って織られたホースヘアー、鼻緒は布製です。
梅雨時に履くことはめったにない草履ですが、雨の心配がなかったので選びました。
皆さんは、これから真夏に向かってどんな着物を楽しみますか?