11月は袷のきものを着るのに快適な気候です。
上旬と下旬の気温差が大きいですが、それも季節が移りゆく楽しみとなります。
11月にはどんな着物や帯を着用したら良いのでしょうか?
1.11月のきもの
私は今まで「11月になったらコレとコレを着る!」という明確なルールは作っておらず、その時に着たいと思うものを選んできたのですが、振り返ると毎年同じような着物と帯を登場させていました。
①10月がメインの紅葉模様
紅葉柄は10月がメインですが、11月中旬頃までは紅葉模様が新鮮に映り、着ていても気分が良いものです。
だからといってそれ以降に着てはNG、というわけではありません。
東京は例年12月の第2週頃が紅葉の盛りなので、「着物は先取り」を気にせずに紅葉柄を楽しめば良いと思います。
それは「お花見に桜柄を着てはいけない、という決まりなんかない」のと同じです。
②菊模様
11月のパーティーなどに着用している訪問着です。
菊唐草文(きくからくさもん)の絞り小紋です。
絞りは表生地の裏に1枚薄い絹が重なっているので(裏打ちという)暖かい着物です。
ですから、11月中旬以降、少し寒くなってから着ています。(この写真は12月の着用)
菊文様はおめでたい吉祥文(きっしょうもん)ですので、写実的でない菊唐草文はお正月も着ています。
菊文様の色大島です。大島は真冬は少し寒く感じるので、10月と11月に着用しています。(羽織を合わせれば真冬でもOK)
季節を問わない菊模様ですが、春はあまり着ていません。
③蔦模様
蔦(つた)文様は子孫繁栄の意味を持つおめでたい文様なので春も着られますが、濃い色のものは11月がぴったりです。
こちらは明るい色の蔦文様です。白っぽい帯に変えると春にも着用できます。
2.11月の帯
11月になると暑い日はなくなるので、綴れや博多帯など薄手の物から厚手の唐織まで、どんなタイプの帯でも締められるようになります。
それほど季節を気にせずに何を選んでもよいと思いますが、11月の帯をあえて挙げるなら…
①赤、茶、黃色の帯
小紋や紬などのカジュアルな着物に、黄色や赤系の帯を合わせると、秋を連想させる装いになります。
11月の行楽にぴったりで、紅葉にも映えます。
②吹き寄せ模様
これは11月の季節限定でしょうか……
気分的にも冬を迎える心持ちで少し寂しくなるので、着用回数が少ない帯です。
③秋草模様
秋草模様は夏ものも多く、秋の初めのイメージですが、この帯は唐織で厚みがあるので、10月下旬から11月に着用しています。
④蔦模様
色合いが晩秋を思わせるので、いつも11月に着用しています。
白地なので、秋以外でも着用しています。
3.11月の小物とコート
①バッグや草履
バッグ
10月と同じく紅葉をイメージする赤系や、葡萄柄のバッグを選んでいます。
草履
11月のカジュアルな装いには、こっくりした色の台や、引き締まる色の鼻緒の草履が合わせやすいと思います。
②帯揚げと帯締め
帯揚げ
帯揚げの色はその時の取り合わせで変わりますが、11月になると縮緬の帯揚げを使いたくなります。
帯締め
もう派手かな?と思う赤や朱色の帯締めも、秋の演出としてなら使えるような気がします。
③コート
11月はコートも薄手から暖かいものへと変化するので、着物とのコーディネートが面白い季節です。
11月上旬に絽の袴地のコートを着用しました。
袴地のコートについてはこちらで
11月上旬の暖かい日は、白っぽいものでなければレース地の塵除けコートでも良いと思います。
11月下旬からは紬などの暖かいコートが活躍します。
関東地方でいえば、私は11月が一年でもっとも着物を楽しめる季節だと思っています。
(春も良いのですが雨の心配が多い気がします)
暑さ寒さの心配がなく、お天気も比較的安定する11月、みなさんも着物をおおいに楽しみましょう!