前回の記事で、恩師を訪ねた時に着ていたもののご紹介です。
◇蔦葛(つたかずら)*の季節は?
*つたかずら……つる草の総称
この日は淡いグリーン系の地に蔦葛模様の訪問着
部分的に蔦の実が刺繍で表現されています
蔦葛は秋のきものと思いがちですが、季節は問いません。
他の植物や建物につたわって伸びてゆく生命力の強さから縁起の良い植物とされるからです。
葡萄が子孫繁栄の象徴であるように、
同じブドウ科のツタもおめでたい席に向く柄として、
訪問着に使用されることも多いようです。
帯は鹿が描かれた すくい*の袋帯。
*すくいの帯……綴れ織りに似た織り方で紬糸などを用いたおしゃれ帯
鹿は一般的には秋の柄。(有栖川鹿文という名物裂文様は除く)
地色も秋らしいですね。
草履はきものと同系色にしてしまいましたが、
もう少し濃い色でも良かった気がします。
◇蔦葛のきものを春に着るには
今回の組み合わせは秋らしさを強調したものでした。
新年~春に着るには、帯を少し華やかなものにすれば良いでしょう。
きもの姿の中心に位置する帯。
帯を変えるだけできものの雰囲気まで明るくなるものです。
たとえば、以前ご紹介したこの帯
同じ蔦ですが、白地に金で華やかさがあります。
3月、学校の卒業式にこの帯を締めて出たことがあります。
蔦尽くしになりましたが、全体が春の色調になり、うまくまとまりました。
この他には、柄の主張が少ない金や白系の織の帯が合いそうです。
蔦葛のきものに又挑戦したいと思います。