今日は前回取り上げた半幅帯より幅がせまく、現代ではあまり見かけなくなった細帯をご紹介します。
1.半幅帯と細帯
①半幅帯とは
普通の帯幅の半分、約15cmの幅の帯のことです。長さは3.5m位のものが以前は一般的でした。
現代では幅が17cm位、長さも4m前後のものが多くなったようです。
半幅帯には単衣仕立てのものや、袋帯のようにあわせて縫われている厚手のものがあります。(小袋帯といいます)
半幅帯の素材は木綿、絹、麻、ウール、ポリエステルなどさまざまで、季節に合わせて楽しめますが、ほぼすべてが浴衣に合わせられます。
前回ご紹介した浴衣用の単衣半幅帯。
②細帯とは
幅が11~13センチで、半幅帯よりも細い帯のことです。
卒業袴の袴下帯として使用しました。
娘が小さいときによく使用しました。子供用踊り帯だと思います。
③日常着として
半幅帯や細帯は普段着に合わせやすく楽なので、昔は一年中愛好者が多かったようです。
随筆家・白洲正子も愛用していました。
△白洲正子が使用した半幅帯と細帯(『衣匠美』白洲正子著 世界文化出版 2000年より)
箪笥にはこの数倍あったそうです。
△細帯を着用している白洲正子(白洲正子、牧山桂子、青柳惠介、八木健司(2012)『白洲正子のきもの』新潮社より)
綿薩摩に木綿の羽織を着ているそうです。
2.紬の細帯
①紬の小袋帯
幅13.3cmの細帯です。長さは368cm。
赤系の子持縞ですが、紬特有のふしが味になっていて、子供っぽさはありません。
袋状に縫われていて、中に帯芯が入っています。
②郡上紬に
単衣の郡上紬に締めました。
郡上紬を見出して、世間に広めた白洲正子を思い、この細帯を合わせました。
郡上紬についてはこちらでも取り上げています。
(白洲正子と郡上紬の関わりについては、『衣匠美』白洲正子著 世界文化出版 2000年、白洲正子、牧山桂子、青柳惠介、八木健司(2012)『白洲正子のきもの』新潮社などで紹介されています。興味のある方は読んでみてください)
後ろは少し華やかに「リボン返し結び」にしました。
堆漆(ついしつ)の根付を合わせ、民芸風にまとめました。
堆漆は、長い時間をかけて漆を何層も重ねていき、最後に削って模様を出すものです。
大変手間のかかる郡上紬に通じるものがあると思いました。
この根付は以下の記事でも紹介しています。
3.羽織の下に細帯
①細帯といえば
昭和時代、細帯と相性抜群だったのは羽織です。
カジュアルきものに簡単に結んだ半幅帯や細帯、その上から羽織を着れば、街着としてもOK。
そんな装いが懐かしく、羽織を着てみました。
縞の紬に細帯だけだと、いかにも「家着」ですが、
羽織を着ればさまになります。
②羽織紐の役割
羽織紐は着物の色に合わせました。帯締めの代わりもしているように見えます。
普通の帯の場合、帯締めと羽織紐が重なったり色合わせが気になったりしますが、こうするとシンプルです。
津軽塗の下駄を履きました。
こうして昭和の装いの完成ですが、羽織を着ると私はなぜか下駄を履きたくなります……。