イベント訪問

紅花紬のきものと茜絞りの帯で薪能へ

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桜の花吹雪が美しい週末、紅花紬を着てみました。その他帯とバッグも東北地方の名産品です。

1.グリーン系紅花紬

①桜の季節に着たくなる色

日本中が桜色に染まる頃、洋装ではピンクのセーターやストールなど桜をイメージする色の物を身につけたくなりますが、きものでは少しためらってしまいます。

「きものは季節を先取りする」ということもありますが、桜の下でピンク系のきものを着ていると、吸収されてしまいそうだからです。

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△上野不忍池の桜(2019.4.1撮影)

この写真からも、桜色は緑やブルーなど他の色が入ると美しさが増すことがわかります。

そんな時私が着たくなるのは緑色です。

昨年の春も緑色のきものを取り上げました。(以下の記事参照)

②紅花紬『春庭』

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米沢の故・新田秀次氏による紅花紬『春庭』です。

全体のイメージは薄い緑色ですが……

 

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ピンクと緑の段ぼかしになっています。

 

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屋外での撮影だと色が薄いですが、実際はもう少し緑がかっています。

 

2.茜絞りの帯

①名古屋帯

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帯は盛岡の南部茜絞り*の名古屋帯を合わせました。

*南部茜絞りについては、以下の記事で取り上げています

 

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茜染は周囲をパッと明るくしてくれるようで、身につけた時の気分も晴れやかです。

②帯周り

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帯揚げはオレンジがかったピンク、帯締めは黄緑色にしました。

ピンクと緑はきものに使われている色ですが、*あえて同じ色ではなく、少し外したもの*を選んでいます。

同じ系統にすると面白味がなく、また茜の色が馴染まなくなるからです。こういう点は洋服とは違う取り合わせ方かもしれません。

 

3.白石紙子のバッグ

山形県の紅花紬、岩手県の南部茜絞りに合わせたバッグは、やはり東北、宮城県白石市で作られた白石和紙の紙子バッグです。

 

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桜柄の拓本染紙で作られたバッグです。

白石和紙については、以下の記事で取り上げています。

通年使用できるバッグですが、やはり桜の時期には必ず持ちたいものです。

 

4.GINZA SIX 薪能

①薪能特別公演

この日は、2年前(2017年4月)GINZA SIXに開場した「二十五世観世左近記念 観世能楽堂」の特別公演として、GINZA SIXガーデン(屋上)で薪能が行われました。

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△薪能プログラム表紙より

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△GINZA SIXガーデンにて

②桜の能「吉野天人」

最初の演目は狂言「仏師」でした。

薪能というと夜のイメージですが、開始直後はまだ明るい空のもと。仏師を名乗るすっぱ(詐欺師)と田舎者との愉快なやり取りが展開され、客席は笑いに包まれました。

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△ 開演前の会場

向こうの高層ビルは汐留シティセンター(港区東新橋)です。

火入れ式のあと能が始まりました。

舞台上に桜の作り物が登場する、この時期にピッタリの能「吉野天人」*です。

*「吉野天人」

吉野の桜を見ようとやって来た都人たちが満開の桜の山に分け入ると、美しい里女が現れます。花を友としてこの山に暮らしているというその女性と楽しく花見をする一行。やがて女性は、じつは天人であることを明かし、「今宵はここで信心し夜を明かすならば、真の姿で現れ天人の舞を見せましょう」と約束して姿を消します。(中入)
月明かりのもと、舞い降りた天人は、袖を翻して美しい舞(中之舞)を舞います。

出典『観世流初心読本・上』二十四世観世左近著 昭和41年 檜書店発行より

美しい天女の登場に合わせるかのように、舞台の背景に茜色の夕焼けが広がり、やがて夜の景色になりました。

ビルの屋上とはいえ自然の空間で鑑賞する薪能は能楽堂とは違う趣があり、ゆったり楽しむことが出来ました。

風は強かったのですが、紅花紬の上に結城の長コート、ショールに手袋の完全装備でしたので、寒さは感じませんでした。

薪能鑑賞では、やはりきものが快適だと思いました。

 

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終演後にはライトアップされた東京タワーも見えていました。

 

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