イベント訪問

萩と鶏頭(けいとう)の生紬訪問着で「近代日本画の華」展へ

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前回は大倉集古館の展示イベントであるオークラウロ・コンサートをご紹介しましたが、今日は展示会の内容と、着用したきものを取り上げます。

1.企画展示

企画展示のタイトルは「近代日本画の華ーローマ開催日本美術展覧会を中心にー」でした。

①日本美術展覧会

ローマで開催された「日本美術展覧会」は、昭和5年(1930)、大倉喜七郎の援助により、横山大観を団長として日本画家80名が参加した大規模な美術展でした。ローマ展とも言われています。

今回はその「日本美術展覧会」開催90年を記念した展示会で、横山大観、菱田春草、下村観山、川合玉堂など、日本の近代を彩った画家たちの作品、特にローマ展に出品されたものを中心に展示されていました。

また、当時のローマ展会場の写真もパネルになって展示されていました。

会場はイタリア開催とは思えない日本的な雰囲気で、床の間がいくつも設けられ、そこには表装された絵画と生け花が……。

白黒ながら、会場の華やかさが伝わってくるようでした。奥には団長・横山大観の大きな屏風「夜桜」が飾られていました。

昭和初期、このように大きな展覧会を、現在の金額で総額100億ともいわれる私財を投じて実現させた大倉喜七郎。

彼の日本文化や芸術に対する理解と信念には驚くばかりです。

②「夜桜」(横山大観)

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△「夜桜」横山大観(昭和4年)(絵葉書より)

この屏風は「六曲一双」(6枚に折りたたむことのできる屏風2組)の大きな作品で、写真は屏風1組(1隻)分です。

横山大観は、ローマ展のために上野公園に写生に出向き描き上げたそうで、花も枝も堂々と力強く描かれ、花はすべて正面を向いています。

 

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△「夜桜」の拡大

花のすべてが誇らしげにこちらを向いています。

六曲一双の大きな屏風の前に立ってみて、これは日本人が鑑賞するのではなく、明らかに海外の人に向けて描かれたものだという印象を受けました。

横山大観は合計26点もローマ展に出品したそうです。

③その他

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△「淀の水車」宇田荻邨(うだてきそん)(大正15年)(絵葉書より)

白鷺と群青色の水のコントラストが鮮やかで、水辺の葉にも勢いを感じます。着物の柄でも素敵だろうと思いました。

 

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△「蹴合(けあい)」竹内栖鳳(たけうちせいほう)(昭和4年)(展示会チラシより)

闘鶏の描写はリアルで緊迫感があります。でも睨み合う軍鶏が少し怖かったため、絵葉書の購入はやめました。

 

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△「暖日」橋本関雪(はしもとかんせつ)(昭和4年)(展示会チラシより)

威厳に満ちた白猫の表情が印象的で、会場でも目を引く存在でした。

ローマ展でもきっと人気があったことでしょう。

 

2.当日のきもの

①単衣の生紬

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当日(9月19日)は単衣の生紬*を着用しました。

*生紬(なまつむぎ)…絹糸は光沢としなやかさを出し発色を良くするために、表面のセリシンというたんぱく質を取る精練という加工をします。その精練を途中で終えて、セリシンを完全にとりきらずに織ったものが生紬です。糸の太さが均一でなく、節があるのが特徴です。
手触りはさらりとして張りがあり、シワになりにくいので、単衣のきものにも向いています。

このきものは紬ですが、訪問着のような絵羽模様になっています。

生地全体に縦の絞りがあり、その凹凸で肌触りがさらに良くなっています。

 

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△ 萩の花と

 

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鶏頭(けいとう)のようです。

秋のはじめの季節限定の単衣です。

この日の最高気温は26.6℃でしたが、風が爽やかで暑さは感じませんでした。

この着物については、こちらでも取り上げています。

②綴れの帯

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綴れの八寸名古屋帯を合わせました。

いつもは茶系の櫛織りの帯を合わせて秋を演出することが多いのですが、今回は着物の柄から色を取り、明るく統一感のある組み合わせにしました。

オークラウロの音色と美しいハーモニーをイメージして選んだのですが、この時点からすでに演奏会を楽しんでいたのだと思います。

 

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大倉集古館近くの坂道には萩の花が咲いていました。

 

 

 

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