今日はいろいろな作り帯と、お太鼓作り帯をきれいに装着する方法を考えます。
1.いろいろな作り帯
①作り帯とは
結ばずに着用できるように仕立てた帯のことで、軽装帯ともいいます。
私の場合は子供の頃から「付け帯」という言い方に慣れていますが、当ブログでは「作り帯」という言い方で説明します。
作り帯にはお太鼓だけでなくいろいろな結び方のものが作れます。
<文庫結び>
浴衣の帯でお馴染みですが、それ以外のときに着用していた若い時のものをご紹介します。
お太鼓結びにはまだ早い子供時代の作り帯ですが、木製の枕の足が背中にあたるので、付け心地はよくありませんでした。
文庫部分が大きく作られていて、20代はじめ頃まで無地の紋付きなどに着用していました。
<貝の口>
帯締めで留めます。これだと「前で結んで後ろに回す」作業がいりません。
<だらりの帯>
これが後ろに下がる部分
胴の部分
歌舞伎などの舞台衣装もこのような作り帯になっているようです。
②お太鼓作り帯の種類
作り帯でも、「帯を切らない作り帯」もあるようです。私は着用経験がないので、ここでは切るタイプ、「二部式」を取り上げます。
二部式作り帯にも2種類あります。お太鼓が出来上がった状態のもの(完成型)と、そのたびにお太鼓を作るもの(未完成型)です。
<完成型>
*お太鼓が固定しているので簡単に装着できます。
<未完成型>
きものによって柄の出し方や大きさを変えたい時に便利です。また収納の際、重なりが少ないのでかさばりません。
※ 作り帯の作り方は以下の記事参照
③作り帯のメリット
作り帯の良い点をまとめてみました。
- 時間をかけずに簡単に着用できる
- 短くて締められない帯でも、作り帯にする事で締められる場合が多い
- 古い引き抜き帯など、特殊な締め方を必要とするものでも簡単になる
詳細は2015年5月2日の記事を参照ください。
- 帯地を傷めずに装着できる
- 巻き方が違う帯でも簡単に締められる
(記事参照) 2016年7月24日 - 重い帯がカットすることで軽くなる(部分的に芯を外すこともできます)
(記事参照) 2016年8月28日
④作り帯のデメリット
- 切ってしまうと戻せない
- 収納時にかさばる
その他、着用する上での問題点を次に取り上げます。
2.お太鼓作り帯 着用時の問題点
先日、読者の方からいただいた質問は
「作り帯のお太鼓を背負うとき、不安定で思うように決まらない。留め金のようなものを使用したほうが良いか?」という内容でした。
作り帯の問題としては次の3点が考えられます。
- お太鼓が不安定な気がする。
- お太鼓が薄くなる
- 人が見たら作り帯だとわかるのでは?
私の場合は、以上の3点を少し気にしつつも、今まではそのまま着用してきました。ただし帯が重く、ずれそうに感じるときだけ、<手ぬぐい>を利用しています。
以下、二部式にリメイクした名古屋帯を例に挙げて説明していきます。
結城紬の名古屋帯です。長さが足りず締めにくかったので二部式に直しました。
3.何もせずにそのまま背負う場合の手順
④お太鼓を背負います。このとき背中に密着させるように枕の紐を前方向に引っ張ります。
結び方は、きつくしなくても大丈夫です。結んだ紐はしっかりと中に押し込んでください。これで安定します。
帯枕の紐と帯締めで留めているので、落ちてくる感じはありません。
4.手ぬぐいを使用する場合の手順
少し重い帯の時は、手ぬぐいを使っています。
①手ぬぐいは四つ折りにしたものを
④背中に手ぬぐいをはさむ。(前板にバンドがなく帯に挟むタイプでしたら、伊達締めをしたらはさみます)
【コツ】帯を巻いてからでは手ぬぐいがはさみにくいので、先にはさむのです。前板のバンドで手ぬぐいはしっかり止まります。
⑤帯の胴部分を巻きます。(手ぬぐいが上に出ているか確認します)
手ぬぐいによってお太鼓が安定します。
次回は市販の「まくら受け」を紹介します。初めて購入したものですが、初心者や袋帯の作り帯にはおすすめのものです。