夏帯を軽くする ~ICHIROYAの帯で~

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前回の記事で、上布のきものに合わせた帯はICHIROYAというお店の帯でした。今日は詳しくご紹介します。

 

1.ICHIROYA(イチローヤ)とは

① もとは海外向け

ICHIROYAは、はじめ海外向け専業のアンティーク着物販売サイトでした。

その後人気が出て、日本国内向けにもネットショップをオープンし、現在の在庫は1万点におよぶそうです。

とにかく品数が多く、又商品説明が丁寧なので、目的がなくても見ているだけで面白いです。

② 過去の購入

ICHIROYAでは昨年紗の夏帯を購入したことがあります。

 

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△ICHIROYAで購入した正絹、紗の帯(5640円)

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△初回購入者にはきものの生地サンプルが付いています。

初めての購入で少し心配でしたが、写真と説明通りの商品で安心しました。

 

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△紗の帯・着用例
(この帯はこちら「2015年8月15日・2016年7月6日の記事」に写真があります)

③2回目にトライ♪

1回試してOKだったので、2回目はもう少し値の張るもの、絽綴れの帯を購入しようと思いました。

新しい絽綴れの帯でそこそこの物となると、かなり高価で気安く購入することはできませんが、リサイクルなら昭和時代の信頼できる品がありそうです。

気軽に使えそうなものを探してみました。

 

2.白地、絽綴れの帯

白い絽綴れの帯はポピュラーなので品数も豊富でした。その中から選んだ帯は、ごく一般的な夏帯らしい柄の物です。

お店の商品説明をもとに特徴などをあげてみます。

① 色と素材

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アイボリーを基調とした涼しげな印象の正絹絽綴れの袋帯です。

② 柄

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芍薬に芝と萩の意匠です。

 

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前部分は芍薬と萩/桔梗と萩 の柄違いになっています。

③ 未着用品

パリッとした新しい感触です。ただ経年による全体的な変色は感じられます。(はじめはもっと白かったのでしょう)

④ いつ頃のもの?

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昭和中頃以降とのこと。金糸や銀糸は当時のものなので良質と思われます。

⑤ 長さ

440cm
たっぷりしていて、私には少し長いです。

⑥ 重さ

665g!
夏帯としては重いです。

⑦ 価格

13,860円(税込)
送料無料(10,000円以上の場合)

 

3.帯の欠点を改善するために

唯一の欠点、帯の重さを解消するために次のことを考えました。

① 作り帯にして長い分をカットする

夏帯の余分な生地は暑いだけなので、作り帯にして布を少なくします。

② 帯芯を取る

帯の重さはほとんど芯によるものといってもよいです。可能な限り外したいと思います。

 

4.帯の減量作戦!

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夏帯は透けているため、芯をすべて外すと縫い目が見えてしまいます。そこで、着用した時に見えない部分の芯を外すことにしました。

① 手になる部分をカット

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端から45cmのところで切りました。

 

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芯の半分を切って外します。

② お太鼓と胴を切り離す

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左側がお太鼓。右側が胴部分。

③ 胴周りの芯を取る

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芯を残すのは赤い糸の内側です。赤い糸で示したところを縫い、芯と帯地を留めます。

 

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芯をカットします。前の柄部分を中心に両側同じように芯をカットします。

 

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芯を外した胴周り。外したところは透けています。

④ お太鼓部分の芯を取る

お太鼓で芯を残すのは……

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柄部分と

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たれ部分です

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お太鼓の上部(隠れる部分)の芯を外します。

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お太鼓のすぐ下(赤い糸部分)を切り離し……

 

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袋帯のお太鼓を二分割。こうすれば画面下の中間部分の芯を外せます。
(たれの芯は残しておきます)

 

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お太鼓(柄部分)と、芯を外した部分をつなぎます。

 

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右側はお太鼓の柄
左側は芯を外した内側になる部分

⑤ ふつうの作り帯に

あとはいつものように二部式作り帯にします。
(2015年5月16日の記事参照)

絽綴れの帯は二重太鼓がかさ張るので、お太鼓は固定式でなく、その都度作るタイプにしました。

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出来上がり

 

5.減量の結果

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カットした帯地と帯芯です。

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↓  ↓  ↓

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665gの帯は475gになりました。

190gの減量に成功したのです。

 

6.着用例

①絽の付け下げに

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②絽紬に

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③上布に

前回ご紹介した組み合わせです。

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帯の柄は着用例①②の芍薬ではなく、裏側の桔梗にしました。

わかりにくいので、もう少し拡大して比較すると……

 

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芍薬の花は雄しべがピンクで柔らかい雰囲気

 

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桔梗は芝の柄(縦のライン)が強調されてシャープな感じがします。

作り帯にしておけば、巻く方向を気にせずに両面の柄を楽しむことができます。

汗をかきながら重い夏帯を締めるのは辛いですが、減量に成功した作り帯は、簡単に装着できて気持ちも軽くなりました。

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