1.短くて締めにくい帯
結城の名古屋帯です。お太鼓の裏と、胴の一巻き目は無地になっています。この帯は短めで、ウエスト補正してから締めるとお太鼓を綺麗に作れません。そこで二部式作り帯にすることに……。
以前ご紹介した作り帯はお太鼓を固定式にしました*が、今回はそのつどお太鼓を作るタイプにします。
2.リメイクの方法
①お太鼓部分と胴を切り離す
胴は半幅に縫ってあるので、お太鼓との境目は三角になります。
その先の切りやすいところでカットしました。
左がお太鼓側の切り口。
帯芯は縫う時に硬いので、1cmカットしておきます。
②お太鼓の端の始末をする
帯芯を包む感じで布の表裏を合わせ、きわを縫っていきます。
締めれば見えない部分ですが、表側は糸がほんの少し見える程度に縫いました。
③手になる部分を切り離す
端から約45cmのところでカットしました。
ここも帯芯を少しカットしておきます。
④手をお太鼓に縫い付ける
お太鼓の裏、下から9cmのところに手を縫い付けます。
手を中に通した時に両端から3センチずつ出るように合わせてから縫いました。
縫い始めと終わりは返し縫いでしっかり付けます。ここも締めれば隠れる部分です。
⑤胴部分の両端に紐を付ける
まず帯芯を斜めにカットしてから紐を中に入れて端を縫っていきます。端はまっすぐでもよいのですが、私は斜めにした方が体に巻きやすいと思っています。
紐は60~70cmがよいです。この紐は、古い子供服の後ろについていたレースのリボンです。
服を処分する時、リボンだけ外しておきました。布製の紐を捨てずにとっておく習慣が今回役に立ちました。
※作り帯の紐は、腰紐を半分に切ったもので構いません。ただし、ウールの紐は長期保存の場合、虫食いに注意してください。
⑥出来上がり
2.作り帯にした結果楽しめるようになった柄の出し方
帯の胴部分はこのように出来上がりました。以前は胴の一巻き目になって隠れていた無地の部分を、回し方を変えれば二巻き目、つまり外側にできるようになりました。それで、以下のように、数通りの組み合わせで帯を締めることができます。
元の締め方。手以外は柄の面がでます。
すべて無地です。
たれだけに柄があります。
前とたれが柄です。
お太鼓だけが柄です。
前が無地だと、多色の帯締めを楽しむことができます。
前に柄を少しだけ出しました。お太鼓は、たれだけを柄にしてみました。このように、以前とは違う柄の楽しみ方ができるようになりました。ただし、これは全ての帯にあてはまるわけではありません。帯の柄が上下の区別がつきにくい幾何学模様だったからできたことです。
4.着用してみる
結城紬に合わせました。
大島紬に2通りの前柄の出し方で締めてみました。
5.古い袋帯をリメイク
二度の作り帯製作が意外に簡単だったので、こんな古い帯もリメイクしてみました。
いずれも譲り受けたもので、帯芯がないために薄くて柔らかいです。
普通の締め方で二重太鼓を作るには長さが足りませんでした。リメイクでお太鼓が二枚重ねになり安定感が出ました。
これは戦前のものかもしれません。帯を傷めない為には芯を入れて仕立て直すのがベストですが、お太鼓は二重、胴も二つ折りで固定。これで帯地に負担を掛けずに着用できるようになりました。
いずれも軽く、400g以下の帯です。初夏や初秋に着る袷や、単衣のきものに楽に締められるようになりました。
6.感想
そのままでは締められないような”問題のある帯”を作り帯にして”締めやすい帯”に変えることは、とても効果的で楽しい♪♪ということを実感しました。
初めはドキドキしますが、縫い目は表に出ず、縫う部分も直線で短いので、皆さんも挑戦してほしいと思います。