譲り受けたきものや帯を、すぐ使用せずにそのまま長期間保管していると、カビやシミが出てしまうことがあります。
今日はそんな帯の話題です。
1.イカット風紬の帯
①紬の袋帯
紬地の袋帯です。
すでに何回かご紹介していますが、最近は気に入ってよく着用しているものです。しかし若い頃は「まだまだ地味」と思い見向きもしなかったため、使用しないまま時がたち……
締めようと思って出した時にはカビらしきものが出ていました。
②手入れ
丸洗いをしてもらい、かなりさっぱりしました。
でもシミは取りきれません。無地の裏を見るとよくわかります。
表も場所によってシミがわかる部分があります。
2.リメイク
①カジュアルな袋帯
この帯は紬でカジュアル向きにもかかわらず、名古屋帯より締めにくい袋帯です。そこで、シミの目立たないところがお太鼓になるように固定することにしました。
②固定式作り帯に
お太鼓の柄はこれで決まってしまいますがいちいち二重太鼓を作らなくてすみます。
前は位置をずらせば柄の雰囲気が変わります。
③着用例
派手になった山繭紬のきものに
(2016年9月24日の記事参照)
久留米絣に
(前柄の位置を変えています)
黄八丈に
(先週取り上げました)
3.がま口バッグ
作り帯にした際、40cmほど布が余りました。
シミのある部分ですが、処分するのはもったいないので、ポーチやミニバッグ作りが得意な友人に「がま口バッグ」を作ってもらいました。
素朴な味わいの小さなバッグです。
盛夏のきもの(宮古上布)にも合いました。
持ち手をはずしてバッグインバッグにも使えるので便利です。友人に感謝しながら使っています♪
4.型絵染めの帯
①紬の名古屋帯
型絵染め・紬の帯です。
柄が細かいのを地味に感じて、締めるのはもう少しあとにしよう、と思っていたらいつの間にか……
帯裏、無地の部分のシミが目立ちます。
これは表側、たれの部分です。シミ汚れがたくさんあります。この汚れは古いのでもう落ちないと言われましたが、とにかく丸洗いをしてもらいました。
②手入れ
全体的にはさっぱりしましたが、たれのシミは取れなかったので、この形で締めるのは無理そうです。
5.リメイク
たれをカットして全体が同じ柄の帯として使用することにします。たれを切るとお太鼓部分の長さが短くなり、締めにくくなりそうなので、これも作り帯にしました。
①三分割に
まず、手先部分をカット(上)。次に胴周りを自分のサイズに合わせて切りました(中)。
残りがお太鼓ですが(下)、もともと名古屋帯に仕立ててあるので、お太鼓の山の部分の位置はあまり変えずに使用したいと思います。
②お太鼓のたれを切る
シミがついたたれ先をカットし、切ったところをくけました
③固定式作り帯に
芯が薄いので、軽くて締めやすい作り帯になりました。シミは肉眼ではわからない状態です。
6.被せ型ハンドバッグも
①残布
胴周りの部分で30cmの余りが出ました。
②染匠きもの展示館
ハンドバッグを作ってもらうため「染匠きもの展示館」に残布を送りました。わずかな余り裂ですが、どうしても生かしたかったのです。
裂の大きさによって出来るバッグの形は違います。ここは以前にも2度お願いしたことがあり、安心して頼みました。
③バッグができるまでの流れ
- デザインを選び、注文フォームから申し込みをして布を送ります
- その布でバッグができるかどうかの返事が来ます。メールが来たら代金を振り込みます
- 約20日で出来上がり
④残布のバッグ
「一本手被せ型バッグ」ができました。本体と手は合皮ですが、沢山の色見本から選べるので楽しいです。
このバッグには炭色を選びました。
この帯の着用例と生地の詳細については、来週ご紹介します。