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生紬(なまつむぎ)のきものに櫛織(くしおり)の帯

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毎年秋になると袖を通したくなる着物があります。生紬の訪問着です。
今日はその着物と、それに合わせた帯をご紹介します。

1.生紬とは

絹糸は光沢としなやかさを出し発色を良くするために、表面のセリシンというたんぱく質を取る精練という加工をします。その精練を途中で終えて、セリシンを完全にとりきらずに織ったものが生紬です。糸の太さが均一でなく、節があるのが特徴です。

手触りはさらりとして張りがあり、シワになりにくいです。6月や9月に着る単衣のきものに向いています。

 

2.生紬の訪問着

生紬の単衣をよく見てみましょう。

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萩の模様です。

 

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生地のアップです。

 

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衿と肩部分です。

 

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裾の模様です。

 

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絞り部分です。

 

3.櫛織の帯

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訪問着に合わせた帯は櫛織(くしおり)*の袋帯です。

*櫛織…機織(はたお)りの際、櫛を使って織られたもの。

通常は機(はた)に緯(よこ)糸を通してカマチ筬(おさ)という道具でトントンと押し詰めてきっちり織り目を整えますが、その縦糸を寄せる時にカマチ筬ではなく櫛を使います。そうすることで緩やかで波打つような織り目ができます。透け感があり軽くてしなやか、そして締めやすい帯になるのです。

帯をアップで見てみます。

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透けていますが夏物ではなく、単衣と袷の季節の帯です。(盛夏と真冬には向きませんが、それ以外はOKというわけです)

 

4.初秋の音楽鑑賞に

この日はオペラ界の人気テノール歌手のコンサートでした。リサイタルなのでお祝いの気持ちを込めて、この訪問着を着ました。

訪問着といっても紬はカジュアルです。少し思い入れのある場面に着る小紋……という感覚でしょうか。

本所吾妻橋にある〈トライアール〉というワインサロンでのコンサートでした。
http://www.tri-r.jp/concept/


▲ ピアノの前で

歌手は後ろの階段を歌いながら降りて登場しました♪

 

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オーナーの自宅の一階に作られたサロンで和室もあります。

 

5.思い出

記事を書いていて思い出したことがあります。

この生紬の訪問着を母が購入した時(40代後半)の様子です。普段は喜んではしゃぐことなどない母が、「このきもの素敵でしょ?」と、とても嬉しそうに私に自慢していました。よほど気に入っていたのでしょう。

絹の美しい光沢とは無縁のその着物が、そんなにも魅力的なものだとは当時の私にはわかりませんでしたが、母から何度も聞かされた「ナマツムギ」という言葉はその時に覚えたのです。

そして母は70代までこの生紬の訪問着を大切に着ていました。

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50回目の結婚記念日に私が送った花と共に。(母は当時72歳)

 



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