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黄八丈の帯合わせ

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今日は黄八丈にどのような帯を合わせたらよいかを考えます。

1.黄八丈の色

黄八丈は三色の植物染の糸を使い手織りによって作られたものです。

黄色を主とする黄八丈、鳶(茶)色を主とする鳶八丈、黒の多い黒八丈の三種類に分けられます。(また、これらを総称して単に黄八丈とだけ表記することもあります。)

染色に用いる植物はそれぞれ違います。

  • 黄八丈……苅安(カリヤス)
  • 鳶八丈……マダミ(タブノキ)の樹皮
  • 黒八丈……シイの樹皮

 

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母から譲り受けたものは黄色地に茶色の格子のポピュラーな黄八丈で袷のきものです。

帯によって黄八丈の表情がどう変わるのでしょうか?

 

2.薄い色の帯を合わせる

①塩瀬の帯

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薄い水色の塩瀬羽二重です。帯揚げと帯締めはクリーム系でおとなしくまとめました。

 

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少し寂しげ?な組み合わせですが、よそ行きな雰囲気もあるようです。

普段のもの、と決めつけていた黄八丈ですが、春のお出かけにも合いそうです。(実際の着用も3月下旬でした)

②絞りの帯

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黄色の絞りの帯を合わせてみました。

 

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このような同系色の組み合わせは昔では考えられなかったものですが、①と同様クールな雰囲気で少しよそ行きになるかもしれません。

また、どちらかと言えば冷たい感触の黄八丈に暖かな絞りを合わせると、柔らかい雰囲気が出るような気がします。

 

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△帯のアップ

 

3.民芸調の帯合わせ

①紫根染の帯

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これは好きな組み合わせです。この帯は紬(絹)ですが、母はよく木綿の紫根染を締めていました。

 

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帯締めは帯と同系色にしましたが、別の色を合わせたほうがカジュアルで自然な装いになると思います。

 

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古い物ではありますが、このきものと帯を身に付けると、当時の作り手の真心が伝わってくるようです。

②イカット風紬の帯

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これも着ていて安心するような組み合わせです。

 

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この取り合わせにはやはり下駄が合います。

 

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△津軽塗の下駄

 

4.茶色の帯で秋を演出

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茶系で統一感を持たせました。

 

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渋いですが秋を強調しています。

 

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辻ヶ花風の帯です。

 

5.感想

しっとりした手触りとハリが共存し、艶があるのにテカらない黄八丈。植物から作られた自然の色と風合いは、さまざまな帯を受け入れることができるようです。

そして帯によって全体の印象は変わり、不思議なことに着ている時の気分も変わりました。

きものと帯の取り合わせ、難しいと思っても着てしまえば意外にしっくり合うものです。

同系色でまとめるか、又は違う色でくっきりさせるかはその日の気分や会う人、場所のイメージなどで決めれば良いのだと思います。

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