丸屋さんで鼻緒をすげ替えてもらった草履や下駄のご紹介の続きです。また、草履を仕舞う上でのコツもご紹介します。
過去記事のリンク
丸屋履物店で鼻緒(花緒)のすげ替え その1
丸屋履物店で鼻緒のすげ替え その2
蘇った履物たち4:その他のもの
年代不明のものや、義母が頂いて未使用だったものなどです。
うるし加工の草履
布に漆加工されたもの。分かりにくいですがアイヌ文様のようです。
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更紗の鼻緒を合わせました。
きものも同じく更紗模様の紬です。昔は草履の厚み(「巻き」の部分)がこのように薄い物は普段用として履いていましたが、最近の草履は普段用でもかなり高さがあるものが多いですね。この薄さは懐かしく、また履きやすいものです。
パナマの草履
パナマの草履。未使用ですが革の鼻緒はひび割れています。
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前つぼの赤が気に入っています。
コルク台の草履
コルク台の草履。普段履きの地味な印象です。
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華やかな印象になりました。
この日は遠くまでの外出でしたが、コルクの草履+布製鼻緒は軽くて歩きやすいので楽でした。
鎌倉彫の下駄
鎌倉彫り右近(うこん)下駄。本天(ビロード)の鼻緒が古くなり足袋に色がつくようになってしまいました。
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薄い藤色ですっきりした印象になりました。
この下駄は鼻緒の主張が強くないので、紬や木綿のどんなきものにも合いそうです。(27年10月17日の記事)
胡麻竹の下駄
胡麻竹の下駄。鼻緒がゆるんでしまいました。
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一度は娘にあげたものですが、この鼻緒なら私もいけるかも♪
ホースヘアーの草履
ホースヘアーの草履。何となくシャープな印象です。
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やわらかな印象に変わりました。名物裂・福林(ふくりん)仕立て*の鼻緒です。
*福林仕立て…鼻緒の裏生地が表の両側にまで回り込む仕立て方で、足あたりが良く履きやすいのが特徴です。「福林」は「覆輪」と同じ。甲冑や鞍などの縁を赤銅や金でくるんだものを「覆輪」と呼ぶことから、そのような仕立てをいうのだと思います。
少しぽってり厚く見えますが、足袋を履くと裏生地の白が同化し目立たなくなり、すっきりした印象になります。
紫根絞りの訪問着に合わせました。
感想
昭和40~50年代、普段用草履の鼻緒はほとんどが細い革製で、長時間歩くと痛くなることがよくありました。それがいやなので、私は若い頃、本天の鼻緒の桐下駄を草履のかわりによく履いていました。ですから最近の布製鼻緒の流行は大変助かります。
丸屋さんですげてもらった鼻緒は特にぴったり足にフィットするので、足元の心配がなくなりました。安定した足元は、きものを楽しむ上ではとても重要なポイントだということを実感しました。
草履の保管にひと工夫
草履を大切に使う為私が実行していることをご紹介します。
①外出から帰ったらすぐに乾かす
このように横にすると裏が乾きやすいです。
②表だけでなく、草履の裏の汚れも落とす
乾いたら表面を柔らかい布で拭きますが、草履の裏もきれいにしましょう。
ブラシを使ってもよいのですが、面倒なので私はティッシュペーパーで汚れを払います。その時に底の状態などをチェックします。
③草履の箱の中はきれいに
草履の裏をきれいにすれば箱の中はそれほど汚れません。
汚れたら取り替えられるように紙を敷き、その上に割り箸を置きます。
③草履の裏と箱の間に空間を
少しだけ草履の底が浮いています。これは湿気から守る工夫です。
割り箸を置いたために箱の厚みが足りなくなったら、箱の四隅に綿棒などを立てて蓋が鼻緒を潰さないようにしてください。草履もきものと同じで密閉されたり湿気があると傷みます。
④柔らかい紙か布で覆う
私は頻繁に履く草履にはティッシュペーパーをかけています。これで草履の裏を拭き、次にしまう時はまた新しいものをかけます。
ただし……
長期保管にはティッシュペーパーではなく木綿の布がおすすめです。これは古いハンカチです。
草履にとって湿気は大敵。履く予定がなくても、たまには出して空気に触れさせてあげましょう。
きものの虫干しよりはずっと楽ですよね。きものほどの寿命はなくても、草履も大切にすれば親子二代で履くことができます。