古い草履や履き心地の悪い草履も、鼻緒をすげ替えればお気に入りの一足になります!
今日は私が利用している履物店のご紹介です。
1.丸屋履物店
北品川、旧東海道の宿場町にある丸屋履物店は今から150年前の慶應元年(1865年)創業の履物専門店です。お店は京浜急行・新馬場駅北口より徒歩3分のところにあります。JR品川駅からは徒歩15分くらいです。
今のご主人は5代目で、跡継ぎの息子さんや御家族と共に伝統のお店を守っています。
さまざまな下駄の台があります。
ガラスケースの中には珍しい形の庭下駄や桐下駄、畳表の下駄や雪駄(せった)などが並んでいます。
女性用の下駄と草履。完成品の他、台だけの草履や下駄が並んでいるところが専門店ならではの光景です。
七五三用のぽっくりや草履が華やかです。
中央にあるのは「花魁(おいらん)道中下駄」です。もちろん売り物です。
鼻緒のすげ替えを上手にしてくれるお店が今ではほとんどなくなった為、丸屋さんには毎日全国から修理や鼻緒のすげ替え依頼の履物が届けられます。私も近所の履物店がなくなってからはこちらでお世話になっていますが、お店に行くといつも宅配便が届いています。
日本中の履物愛好家から頼りにされている貴重なお店なのです。
2.丸屋の特長
①足にぴったり合うようにすげてくれる
直接お店に行くことができる人はラッキーです。下駄や草履の購入、又は鼻緒のすげ替えの場合、洋装ならば必ず足袋を持参して下さい。選んだ鼻緒を自分の足に合うように試し履きしながらすげてもらえます。
「最初は少しきつめの方がいいかしら?」と素人は考えがちですが、上手い職人さんがすげた鼻緒は緩みませんから、はじめからぴったりで大丈夫だそうです。
②鼻緒の種類が多い
男物、女物共に、とにかく種類が豊富です。この点も他のお店と違うところ。
以前は箱から出してもらって選びましたが、最近は店頭に鼻緒が綺麗に並べられていて、眺めるだけでも楽しいです。
③インターネットで事前に鼻緒を選べる
丸屋さんのウェブサイト・鼻緒のページ(http://www.getaya.org/hanao/)を見れば、探していた鼻緒が必ず見つかります。
私はいつも複数のすげ替えをお願いするので、事前に候補を何種類か選び、メモしてお店に行きます。掲載されている写真もほぼ実物通りなので、あとは生地の質感と台にのせた感じを確認すればOKです。
丸屋のホームページを担当している息子さん。私が持参した下駄の鼻緒をすげ替えてくれています。
④出来上がりが早い!
お店にはたいていご主人と息子さん二人がいるので、すげ替えもスピーディー。流れ作業で、ご主人が仕上げを担当しています。「これでどうですか?」と差し出された完成前の草履は足にぴったりで、1回でOKでした。
とにかく、鼻緒さえ決まればすぐに出来上がります。(5分くらい)
3.下駄愛好家の男性に出会う
この日はシルバーウィーク中の営業日でした。
Tシャツとジーンズ姿、ごく自然に下駄を履きこなしていらっしゃる男性が、新しい下駄を購入しにご夫婦で来店されました。平日はスーツでお仕事なので、休みは下駄履きでラフなスタイルを楽しんでいらっしゃるとか。
すでに数足の下駄をお持ちの彼が、奥様と一緒に選んだのはこれです。許可を頂き撮影しました。
綺麗な朱塗りの下駄です。少し迷ってから選んだ鼻緒をすげると……
出来上がり♪
すげられたのは印伝のパッチワークの鼻緒です。このまま飾っておきたいくらい美しいですね。
早速丸屋さんの6代目がカメラでパチリ。ホームページに「今日の一足」として掲載するためです。
この下駄の詳しい説明はこちらをご覧下さい→http://www.getaya.org/kyo1/150922.html
新しい下駄に満足そうな男性は、「まだ和服で下駄を履いたことがないので、これからは着物に挑戦したいと思います!」と話して下さいました。
痛い草履は苦痛ですが、鼻緒を足に合うものに替えれば、どこまでも歩ける魔法の履物に変身します。(ここが靴と違うところです)
次回は私が履けなくなっていた草履や下駄を丸屋さんの職人技によって、魔法の履物に変えた例をご紹介します。