履き物

鼻緒の挿げ替え ~昭和レトロの革草履を新しい雰囲気で~

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今日は昭和時代のちょっと変わった草履を取り上げます。

履けなかった革草履が鼻緒の交換でよみがえりました。

1.丸屋履物店

①老舗履物店

先日、久しぶりに丸屋履物店に行き、鼻緒のすげ替えをしてもらいました。

丸屋は東京都品川区北品川にある1865年創業の履物専門店です。

今までたびたび草履の修理や鼻緒の交換をお願いしています。

自分の好みの鼻緒を足に合わせてすげ替えてもらえるので助かります。

こちらの記事で詳しく取り上げています。(以下の記事参照)

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△丸屋履物店(2015年撮影)

②今までのお気に入り

以前ブログで取り上げたものですが、いくつか例をご紹介します。

もう履けないと思っていた草履や下駄が、足にフィットするお気に入りの履物に生まれ変わりました。

 

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細い革鼻緒が付いたホースヘアーの草履です。

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華やかで柔らかい雰囲気になりました。

 

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ピンク系の鼻緒が少し汚れた感じになった下駄です。

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紺地の鼻緒で落ち着いた雰囲気になり、袷の着物でも履いています。

 

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昭和時代の細い革鼻緒は時間が経つと硬くなり履きにくくなります。

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本天(ビロード)や、わな天(毛を切る前のループ状の生地)の鼻緒にすることで、足へのあたりが柔らかくなりました。

 

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新しい鼻緒は装いのアクセントにもなり、ストレスを感じずに歩けるようになりました。

 

2.今回お願いした草履

今回丸屋さんに持ち込んだのは、履くことはないだろうと思っていた母の古い草履と、新品の戴き物で鼻緒がきつい草履の2足です。

①佐賀錦の鼻緒草履

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友人のお母様がご自分で織った佐賀錦*を鼻緒に使い、草履に仕立てたものです。
一見すると普通の喪服用草履ですが、

 

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近くで見ると緻密な手織り佐賀錦の重厚感が分かります。

*佐賀錦(さがにしき)…「佐賀市に伝承されている織物。金箔・銀箔・漆を貼った和紙を細く裁断したものを経(たて)糸とし、絹糸を緯(よこ)糸にして織り上げる。
気品ある美しさと和紙の温もりが魅力。手織りの場合、熟練者でも一日わずかしか織れず、忍耐と繊細さが要求される。」(木村孝監修(2002)『染め織りめぐり』JTBキャンブックス より抜粋引用)

 

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足に合うように鼻緒を緩めてもらいました。

 

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外見ではわかりませんが、前ツボが少し立ち上がり、足入れが楽になりました。

②穿山甲(センザンコウ)の草履

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△センザンコウの革の草履です。

センザンコウは、アフリカとアジアに生息する、哺乳類なのに唯一ウロコを持つ変わった動物です。
現在ではワシントン条約で取引が禁じられている絶滅危惧動物です。

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△ミミセンザンコウ(Wikipedia.orgより)

 

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ワニやトカゲのような爬虫類ではなく、哺乳類というのは驚きです。

母が愛用していて見慣れているとはいえ、ウロコには少し抵抗を感じます。昭和時代はこのような希少革が流行したようです。

 

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お揃いのバッグもあるので、草履も履いてみようかという気持ちになりました。

丸屋のご主人と相談して鼻緒を選び、早速すげ替えてもらうことに……

 

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右が丸屋5代目の榎本準一さん。センザンコウの鼻緒を外しているところ。息子さんが新しい鼻緒の準備をしています。

丸屋さんはいつもこのように二人がかりでスピーディーに鼻緒をすげてくれます。もう少しお話を聞きたいのに、草履はあっという間に出来上がってしまいます。

 

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出来上がりました。(お店の台と色が同じでわかりにくいですが)

 

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細い縞柄の鼻緒です。

遠目では無地に見える細い縞はカジュアルになり過ぎず、着物に合わせやすいと思いました。
 

3.爬虫類の草履が流行った時代

①友人のワニ革草履

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これは一緒に行った友人が持参したワニ革の草履です。

譲り受けたものだそうですが、革の鼻緒が痛くて履けなかったとのこと。柔らかい生地のものに替えました。

はっきりした縞柄が草履の縁の色に合っています。

丸屋の榎本さんの話では、これは小ぶりのワニの背の部分だそうです。(背ワニという)

つるっとした腹ワニに比べて不揃いでゴツゴツしていますが、それが面白味になっています。

4~50年前はワニ革草履は人気があり、革がたくさん輸入されていたそうです。

鎌倉彫などの彫り物のように、細かい凹凸がある台は、足袋が滑らず履きやすいのではないでしょうか。とてもお洒落な草履になったと思います。

 

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友人は鼻緒を緩めてもらったこちらのエナメル草履も愛用しています。

色合いがワニ革と似ていますが、こちらは改まった装いに、ワニ革はカジュアルな装いに合わせる予定だそうです。

②合皮がなかった昭和時代

ワシントン条約*による輸入規制もあり、今ではあまり見かけなくなった爬虫類などの希少革草履ですが、なぜ昭和時代には流行ったのでしょうか。

*ワシントン条約……「正式には「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」といい、1973年、ワシントンで採択されたことから通称「ワシントン条約」といわれています。この条約は、国際取引によって生存を脅かされている又は絶滅してしまう恐れのある野生動植物を保護することを目的とした条約で、日本をはじめ世界の約170カ国が加盟しています。(日本は1980年批准)」(税関ホームページより)

丸屋の榎本さんによると「今のような合皮の草履がなかった時代は、高級な牛革の代わりになる手頃なものが希少革だったから」だそうです。

道路の舗装が進み、下駄の代わりにいつでも草履を履けるようになった昭和時代は、カジュアルに履けるバラエティ豊かな草履の需要が増えたようです。

そこでたくさんの希少革が輸入され、おしゃれな(変わった?)草履に生まれ変わったのだと思われます。

前述のセンザンコウの草履、母は旅行にもよく履いていていました。汚れが目立たなく、足のあたりも心地よく、歩きやすかったのだと思います。

見かけの面白さだけではない実用性もそこにはあったのでしょう。

今回履けるようになった草履の着用例は改めてご紹介するつもりです。

 

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