浴衣

浴衣・長板中形(ながいたちゅうがた)

2015年8月23日

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今日は江戸時代から続く型染めで、白と藍が清々しい「長板中形」の浴衣を取り上げます。

1.長板中形(ながいたちゅうがた)とは

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江戸時代から続く染色技法で、「江戸中形」、「長板本染中形」ともいいます。約6mの樅(もみ)でできた長い板に木綿の白生地を張り付け、表と裏の両面に型を合わせて糊を入れ、藍一色で染め上げます。藍と白の粋な美しさが特徴です。

中形とは、本来は小紋(小形)より大きく、大紋(大形)より小さい文様の意味で、特定の染物を指してはいませんでした。しかし、浴衣にもっとも多く利用されてきたところから、「中形」といえばほとんど木綿型染の浴衣生地を意味しています。

表と裏の柄合わせがきちんとできていることを「裏が返る」といい、長板中形の真骨頂といわれているそうです。

 

2.娘が着た私の古い浴衣

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これは昨年着た浴衣です。

 

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裏が見えていますが、柄は表と全く同じです。「すずめ浴衣」と名付けていました。

 

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今年着用したのは「花見名所浴衣」と名付けていたものです。先日久しぶりに出したら衿が擦れて汚れていました。ここは両面染めの強み!掛け衿(共衿)を裏返しに付け替え、事なきをえました。

両面染めは地と文様(白と藍)のコントラストがはっきりするのが魅力ですが、裏返して縫い直し長く着られるという利点もあります。これら2枚の浴衣の素材は綿縮緬(めんちりめん)です。

綿縮緬はシボがあるため肌に密着しないことと伸縮性が出るので大変着やすいのが特徴です。昔、日舞の稽古着として重宝していました。

 

3.少し地味な長板中形浴衣

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秋草の細かい柄です。

 

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菊と蝶の細かい柄です。

 

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裏の背縫い部分です。

これらは母が愛用していた浴衣です。素材はシボのない木綿です。

 

4.祇園祭の思い出写真

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昭和59年の祇園祭・山鉾巡行の様子です。長板中形浴衣を着た母の写真を撮ったのは父でした。

 

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朝食の朝粥を楽しみました。(「瓢亭(ひょうてい)」にて・母と私)

母は旅先なので足袋と草履をはいていますが、浴衣の下は半衿無しの肌襦袢だけのようです。この年の京都も大変暑かったのを覚えています。

 

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前夜の宵山は小雨でした。(「役行者山(えんのぎょうじゃやま)」の前で)

※ 母の着物と帯は以前紹介しました。→2014年8月9日

母愛用の浴衣、私が大切に着れば、いずれ娘が着ることになるでしょう。染めがしっかりしている長板中形の浴衣は、きものと同じように三代着られるのだと思います。

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