前回ご紹介した袖丈の直し方は、切らずに折り上げて縫い留めるだけの方法でした。
実際着用するとどう見えるのでしょうか。
また、短くすることで印象は変わるのか、実際に着てみました。
1.約57cmの袖丈で着ていた頃
①20~40代
20代
お茶の稽古などに着ていましたが写真は残っていません。
晴れ着の時しか着物の写真を取らない時代でした(-_-;)
30代
娘の初節句で着用。
3人の色を考えてこのきものを着たのだと思います。
40代
40代前半はまだ赤系の帯を合わせていました。
②最近
紬はハリがあるので、柔らかものよりも袖が大きさが目立ってしまい、重たい感じがします。
2.一尺三寸(49cm)の袖丈で着用
①全体
袖が目立たなくなりました。
横から
②袖に注目すると
このようにすると袖に丸みが無いのがわかります。
振りには長襦袢がおさまっていて、違和感はありません。
③孫の初節句ランチ会で
前掲の写真の時、娘は生後7ヶ月で初節句を迎えました。
その27年後……
私は初節句のランチ会で、袖丈を直した同じ着物を着用しました。
帯は舞楽の鳥兜(とりかぶと)にしました。
「お節句→兜」の連想です。
そろそろ娘に譲るつもりだった着物ですが、せっかく袖丈を直したので、あと1,2回は着ようと思っています…。
3.簡単な袖丈直しの感想
①良かった点
- 着ていると普通の袖と変わらないように見えた
- 袖を切ったり解いたりせずに簡単にできた
- 袖が短くなった分、着姿が軽快になった
前回も述べたように、私は『昔きもののレッスン十二ヶ月』別冊太陽(2003年)を参考にしています。
以前にも同じ方法で羽織の袖丈を詰め、着ることができました。
↓
こちらで取り上げています。
②気になった点
- 袖の丸みがないので、人前で茶道のお点前などする場合には気がひけるかもしれない
- 詰める部分が多いと袖が重く感じる
- この方法は単衣の着物でも可能だが、折り上げた部分を表に響かないように留めるには注意が必要
実は、私はこの方法で単衣の袖を直したことはありません。
単衣の場合は比較的簡単に袖を詰めることができるからです。
③別の方法–単衣の場合は縫い直しも
私は単衣の場合は今回ご紹介した方法ではなく、袖を切って縫い直しています。(切ると袖が軽くなるので着やすくなります)
型染めの単衣小紋です。
55cmの袖を6cm切って
丸みを付けて縫い直しました。(直す過程を写真に残していないのですが…)
ポイントは袖の丸みを作る部分です。(野村辰雄(1996)『上手に縫える 着物の仕立て方』有紀書房 より )
縫い縮めて丸みを作るときには、このような型を使います。
初めての人には少し難しいかもしれませんが、単衣は裏地がないので縫うのは2枚だけ。
ネットや書籍でも単衣の袖の縫い方が紹介されていると思うので、興味のある方は挑戦してみてください。
直す前
↓
直したあと
袖を直せば地味めな帯でも違和感なく合わせられます。
この着物では切った部分は数cmでしたが、
この単衣の着物は袖が長かったので
10cmほど切って縫い直しました。
余った布で長さ17cmの巾着袋が2つできました。