今日は道中着(どうちゅうぎ)をご紹介します。
1.道中着とは
襟を左右から打ち合わせて着る着物用コートのこと。襟が四角く開いている「道行きコート」よりカジュアルです。
2.父が遺した結城紬
父がお気に入りだった結城紬のお対(つい)*です。
*お対…長着(きもの)と羽織を同じ布地で仕立てたもののことです。
もう着る人がいなくなり、そのままにしておくのはもったいないので、私の道中着に仕立て直してもらうことにしました。
茶色の無地の結城紬です。長着で道中着を作ります。無地の男物ですからかなり地味です。
そこで裏地を派手にすることにしました。
3.義母が残した赤い生地
これは義母の若い頃の長襦袢の生地です。洗い張りされて保存されていたもので、可愛い渦巻きの柄です。
橘や牡丹の地紋に大胆な渦巻きが描かれています。
これを裏地に使うことにしました。裏地は着ると見えなくなりますが、ほんの少し「振り」(袖付けの下部分)から赤い色がのぞくようになります。
4.出来上がり
このように出来上がりました。赤い裏地を付けてもこんな地味なコートは喪服用以外では初めてなので少し抵抗があります。共布の紐でなく、「飾り紐」をつけた方がよかったのかもしれません…
5.飾り紐の代わりに……
これが道中着によく使う飾り紐です。シンプルなデザインの道中着に華やかさがプラスされます。若い頃着ていたものですが、飾り紐は緩んでほどけやすいという短所があり、気がつくと紐がほどけていたこともしばしばありました。
そこで、こんなものを購入してみました。
小さなつまみ細工の髪飾りです。
リンク:花みやび/髪飾り
裏にUピンがついています。
ピンを外して
花だけにします。
花が平らになるように縫い留めます。
中央のビーズが落ちないように糸で留め直してから道中着に縫い付けました。
こんな感じです。
↓ ↓ ↓
少しエレガントな雰囲気になりました。
6.着てみる
想像していたより軽くて暖かでした。
共布の紐はしっかり結ぶことができ、飾り紐のように緩んでくることはありませんでした。
男物のきものをリメイクした道中着は濃い色なので、カジュアルなきものだけでなく、ちょっとよそゆきのやわらか物を着た時でも利用できそうです。