「夏の帯揚げはどんなもの?」「夏には夏専用の帯揚げをしなくてはいけないの?」
先日、若い着物友達から質問されたので、今日は夏の帯揚げを取り上げます。
おすすめの色もご紹介します。
1.夏の帯揚げとは?
①以前の考え
夏の帯揚げとは、絽や紗の透け感のある生地を使ったもののことをいいます。
昭和時代の夏の帯揚げは、絽の無地やぼかし、絞りなど、色や種類が豊富で入手も楽だったので、あえてそれ以外のものを使う必要はありませんでした。
その頃は、<6月は絽縮緬(ろちりめん)、7~8月は絽や紗の帯揚げ>という考え方が一般的でした。
私も6月の衣替えのときに帯揚げもすべて夏ものに替えてしまっていたので、夏には夏用の帯揚げだけを使っていました。
次に、一般的な夏用帯揚げを紹介します。
②絽や絽縮緬の帯揚げ
絽
若い頃から使用しているピンク系が多く、すべて現役です。
クリーム系や薄いグリーン系は合わせやすく、ピンク系は優しく甘い感じにになります。(ちょっと野暮ったくなる場合もあり)
絽縮緬
絽縮緬は6月9月の単衣の時期に使用しています。薄手のものなら盛夏でも使用できますが、ぽってりした絽縮緬の場合は暑苦しくなります。
石摺り染めについてはこちらで取り上げています。
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③絞りの帯揚げ
いずれも絽の生地に絞りが施されています。
輪出し絞りは生地が薄いものなら夏でも使用できますが、しっかりした綸子や縮緬生地は夏には向きません。
総絞りは生地が多く使われるているので、絽以外は涼感がなく夏には不向きです。
2.夏の帯揚げをもっと自由に
①絽でなくても色で涼しく
普通の絹の帯揚げでも、色の薄いものなら夏でも使えます。(縮緬や総絞り以外)
②代用品・ストールやスカーフ
最近は着物の小物は種類も少なく高価ですし、従来の型にはまった帯揚げよりも、ストールなどで工夫した帯揚げのほうがお洒落でかっこいいと感じることもあります。
正装は別としてカジュアルなら何でも良いと思います。
ストールやスカーフは薄い素材で、できればシルク100%のものを。ポリエステル素材は胸に巻くと暑い場合があります。
③代用品・余り布
レースの着物の余り布です。
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両端をかがりました。
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布幅は広いですが帯揚げになりました。
塩瀬羽二重の帯地の余り布です。
2枚ををはいで1枚の布にし、帯揚げになりました。
余り布の幅は広くても狭くても、後ろから前に回して結べるものなら帯揚げになります。
3.代用品帯揚げの使用例
①シフォンストール
シルク100%のストールです。
カジュアルはもちろん……
法事にも使いました。
こちらで紹介しています。
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②レースの余り布
前回の記事で紹介しましたが、単衣の着物との取り合わせです。
レースは少しぽってりしますが、絹は通気性が良いので、盛夏の着物でも使用できると思います。
②三角のスカーフ
帯揚げのような長方形ではなく、三角のスカーフです。こんなものでも、胸で結べるサイズなら大丈夫です。
実はポリエステル。でも、薄くてサイズも小さいので、それほど暑くないと思います。こんなふうに取り合わせたらどうでしょうか。
夏塩沢に半幅帯を合わせました。カジュアルな盛夏の装いです。
このスカーフは前で結ぶと12cm位しか余りませんが、夏は中に収める布にボリュームがない方がよいので好都合です。
半幅帯をお太鼓風に結びました。
お太鼓が小ぶりなのでスカーフが脇からもよく見えます。
この結び方はこちらで紹介しています。
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4.夏の帯揚げを選ぶなら
最後に夏の帯揚げについて、私の考えをまとめます。
①カジュアルのときは何でも良い
夏は誰もが涼しげに装いたいもの。
帯揚げばかりが目立つ取り合わせは暑苦しい感じになりがちなので、夏は袷の時期よりも色や見せ方を控えめにしましょう。そして……
生地にこだわらず、見た感じ、触った感じで決めれば良いと思います。
ただし、きちんとした場所によそゆきの着物で出かけるときは、絽の帯揚げを使用するのが無難です。
②無難な色はクリーム系
これから初めて絽の帯揚げを購入するなら、年齢に関係なく薄いクリーム色の帯揚げがおすすめです。
どんな色でも合わせやすいと思います。
③クールに仕上げたいなら水色
次のおすすめは薄い水色です。
水色は冷たさを演出するので、盛夏の着物にはピッタリです。ただし濃い水色は色が立ちすぎて合わせにくくなるので注意してください。