皆さんは浴衣の手入れはどうしていますか?
先日、浴衣を手洗いしましたのでご紹介します。
1.紺地の浴衣を洗う
浴衣を洗う時、私は洗濯機を使わずに手洗いしています。若い頃、はじめは母に教わって洗ったのだと思いますが、今回も同じように洗ってみます。
また、きもののケア全般でお世話になっている悉皆屋さんにもアドバイスをもらったので、合わせてご紹介します。
洗うのはこの浴衣です。
仕立ててから一度も着ていなかったので、初めての洗濯です。紺地なので、色が落ちることが心配ですが、素早く洗えば問題はないと思います。
①着用後は干す
浴衣を着たあとはハンガーに掛けておきます。このとき汚れのチェックをします。
▼プロからのアドバイス
「汚れの部分は水で叩く。または固形石鹸の角を2、3回つけ、濡れタオルで叩いて落としておくと良い」
②たたむ
洗う前にきちんとたたみます。そうすると、干す時や乾いた時が楽なのでおすすめです。
けれども、部分洗いをするために畳んだまま洗えないときは、脱水後に畳めばよいので大丈夫です。
③洗い桶に水
必ず水で洗います。
▼ プロからのアドバイス
「ひどい汚れでないときは、水だけで洗っても良いのです。ただし、たっぷりの水で!」
④洗剤を入れる
洗剤はおしゃれ着洗い用の中性洗剤をほんの少し使用します。
▼プロからのアドバイス
「洗剤はキャップで量るのではなく、ちょっとたらす程度で。入れたかどうかわからない程度で十分です。」
⑤浴衣を入れる
やさしく押し洗いします。
洗う前に処置できなかった汚れがあるときは、洗剤を直接つけて軽く揉みます。
水には浴衣の色が少し出たようです。
⑥すすぐ
水がきれいならすすぎは1回で良いです。
入れた(または直接揉み込んだ)洗剤の量が多くて泡がある場合は、水を替えて、できるだけ素早くすすぎます。
⑦色止め
▼プロからのアドバイス
仕上げに酢酸を2,3滴入れると色止めになるそうです。
酢酸*を入れたのは今回が初めてです。
以前は台所のお酢を入れていました。若い頃から絹の伊達締めや腰紐などを洗う時は、仕上げにお酢を入れると、艶よく仕上がり色止めになると母から言われていたからです。
*酢酸…お酢の酸味の主成分。食用、薬品の原料となるもので、食用のお酢より濃度が高い
⑧脱水
畳んだ状態のまま脱水機に入れ、1分以内で止めます。(軽い脱水なら洗濯ネットは必要ありません)
▼プロからのアドバイス
脱水しすぎないように!
また、洗い桶の代わりに洗濯機の洗濯槽を使用するときは、回しっぱなしは絶対だめです。
洗濯機から離れないで素早く<洗い~脱水>を行ってください。
⑨干す前に
浴衣がたたまれている状態ならさらに小さく畳んで手でパンパンと叩きます。(叩くと結構シワが伸びます)
部分洗いなどで畳んで脱水しなかった場合は、畳み直します。
その場合は袖だたみ*をします。
*袖だたみ…簡単にたたむ方法で、外出先でコートをたたむ時などはこの方法が便利です。
<袖畳みのやり方>
ここでは下に置いていますが、袖だたみは手に持ったまま行えます。
二枚の袖を揃え、脇縫いの線を合わせ、袖を二枚共衿の方にたおします。
袖をたおしたところ。
裾を上に折り返します。
さらに折ります。
縦に半分に折り、小さくします。
この状態で両手にはさみ、パンパンと叩きます。
⑩干す
きものハンガーにかけて干します。
肩山(肩の線)がずれないように注意します。シワがある場合は、手で引っ張りながらよく伸ばしておきます。
※ 写真では撮影のため、障子の前に掛けていますが、実際は風通しの良いところに吊しておく必要があります。
元通りに乾きました。
⑪畳む
衿のシワが気になる場合はアイロンを当てても良いですが、必ず当て布を使用してください。
<昔の人の工夫は……>
↓ ↓ ↓
きちんと畳んで
↓ ↓ ↓
和紙や包装紙などにはさみ
座布団をのせ、その上に座って針仕事などをしていました。これが重しとなって翌日にはピンとなり、アイロンは不要です。(私も時々やっているおすすめの方法です)
たとう紙に入れてしまいます。
2.酸素系漂白剤は使えるか?
以前(2018.6.24,2018.7.1)絞りの浴衣をご紹介しましたが、その時久しぶりに出した三浦絞りの男物浴衣です。
長い間しまい込んでいたせいでしょうか、衿にシミが出ていました。
私の現役の浴衣なら専門家にお願いしますが、もう着る人がいない父の古い浴衣なので、思い切ってシミを目立たなくできるか試してみることにしました。
①酸素系漂白剤を使ってみる
「ワイドハイターEXパワー濃縮タイプ」を使用しました
衿の下にタオルを当て、少し薄めた酸素系漂白剤を綿棒にしみ込ませ、シミの部分に付けました。
2,3分置きます。
シミ抜きを頑張りすぎると浴衣の色が落ちてしまうので、注意します。
水に浸けます。
全体の汚れはないので、中性洗剤は使わずに押し洗いしました。
②すすぐ
水を替え、すばやくすすぎます。
色落ちはありませんでした。
③脱水してたたむ
↓ ↓ ↓
今回はきちんと畳んだ状態ではなかったので、30秒ほど脱水したあと、袖だだみをし、布を伸ばすように軽く叩きました。
④干す
きものハンガーに掛けて干しました。
コーマ地の浴衣より、絞りの浴衣のほうが乾きが早かったです。
⑤畳む
シミは薄くなりましたが、完全には落ちませんでした。
やはりシミ抜きは難しいです。
今回の場合は衿のシミなので、掛け衿(共衿)を外して付け替える(上前と下前を逆につけ直す)という方法をとれば、問題無く着られます。
でも着用予定は無いのでそのままに……
きちんと畳んで
たとう紙に入れます。絞りの浴衣ですので、アイロンは使用しません。
酸素系漂白剤は、シミを薄くする程度なら有効だと思いました。
いずれにしても、汚れは早く発見して、きちんと処理しておくのが一番ですね。
3.浴衣を洗うときの注意点
自宅での洗濯で気をつけるべき点をまとめます。
- 必ず1枚ずつ洗う
→ 色移りを防ぎ、素早く洗うためです。 - 水で洗う
→ 色落ちと縮むのを防ぐためです。 - 中性洗剤を少し使う
→ 汚れていなければ水洗いでも十分だそうです。 - なるべく畳んだ状態で洗う
→ シワや型崩れを防ぐためです。 - シワを伸ばしてから干す
→ 一度畳んでから干したり、ハンガーに掛けた後、シワを伸ばすように生地を叩きます。 - 陰干し
→ 色あせを防ぐためです。室内では、扇風機の風をあてると早く乾きます。
洗濯のりは?
私はほとんど使いません。
パリッとするのが好きなら使用しても良いですが、糊付けした浴衣を着ないまま何年もそのままにすると、カビなどのトラブルが起きそうなので注意が必要です。
今年活躍してくれた大切な浴衣、来年も気持ちく着られるよう、丁寧に、そして素早く洗濯しましょう!