手入れ

着物のカビに注意! ~着物のために絶対やってはいけないこと~

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今日は着物のカビについて、私の失敗談を含めてご紹介します。

1.大島紬にカビが!

①男物の大島紬

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カビが見つかったのは約40年前に仕立てられた大島紬です。

着物と羽織のお対(アンサンブル)ですが、1~2回着用したあと、そのまましまい込んで忘れられていました。

出してみると着物と羽織の両方にカビがポツポツ発生していました。

 

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木綿の裏地に粉のような白いカビが見られます。

 

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△後ろ身頃のカビ

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△前身頃のカビ

 

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羽織にも……

 

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後ろ袖にカビが……

こんなにひどいカビは今まで見たことがなかったので、もう着られないのでは……と不安になりました。

②カビの原因

よく考えたら、カビの原因として考えられることはたくさんありました。

着用したあとそのまま長年しまい込んでしまった

着用したのは冬のはずですが、汗をかいていたかもしれません。

羽織と着物が同じたとう紙に収納されていた

重なっているとよけい湿気をよぶのだと思います。

たとう紙は厚紙が敷かれたものだった

これは本当に要注意で、厚紙と一緒にしまわれた着物はたいていトラブルが起きます。

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△厚紙が敷かれたたとう紙

このようなタイプのたとう紙が以前はよくありました。厚紙はたとう紙を補強するために入れられますが、湿気がこもるので保管には向きません。

引き出しの底で忘れられて……

着用しない着物はどうしても引き出しの一番下に置き去りにされます。

虫干しをしていない

タンスから出して問題がないか確認するだけでも良かったのですが……。

着物に申し訳ないことをしました。

③応急処置

表面だけの軽いカビの場合、有効なカビ取りグッズは「別珍(べっちん)ミニ布団」です。

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△大小2種類の別珍ミニ布団
(右の布団のサイズ:18cm×15cm、厚さ3cm)

別珍とは、ビロード(ベルベット)に似せた毛羽があり肌触りの良い綿織物のことです。本来絹であるビロードを綿で作ったため綿ビロードともいいます。

中に詰め物をして手で持ちやすい大きさの小さなクッションにし、着物のホコリ落としなどに使います。

 

今回は着物の裏と表にカビが広がっていたので、自分では処置できないことはわかっていましたが、
表面のカビだけは取っておこうとミニ布団を使いました。

 

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裏地の表面のカビを軽く払い落としました。

 

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見た目では取れたように思います。

ところが……

 

2.私の失敗

今回、私は3つの失敗をしました。

それは着物のために絶対やってはいけないことでした。

①虫干しをしなかったこと

ふだんはあまり使わないものを入れていた箪笥だったため虫干しするのを忘れ、着物が湿気を帯びた状態になりました。

②こすったこと

裏地のカビは軽く払うとすぐ落ちたのですが、表のカビは落ちませんでした。

それで思わずこすってしまったようです。

③放置したこと

おそらくもう着られないし、着る機会もないと思ったので、そのままハンガーに掛けて屋根裏に1年以上放置してしまいました。

 

カビを発見したときは着物の処分を考えていた私ですが、よく考えるともったいなくて廃棄はできませんでした。

そこで悉皆屋さんに手入れが可能かどうか見てもらうことにしました。

 

3.専門家にまかせる

悉皆屋さんに来てもらい、恐る恐る着物を見せました。

①専門家の説明

悉皆屋さんの説明は次のようなものでした。

  • カビは基本取れるが、程度によって仕上がりの差が出てしまうだろう。
  • 生地はカビだけでなく湿気でも変色し、弱くなってしまう。
  • カビやシミを取る際は、湿気とカビで弱くなった部分に熱を加え刷毛でこすることになるので、下手をすると穴が開くこともある。それゆえ、ひどい部分は通常の五割の力でやってみて、少しずつ様子をみながら何回もおこなってゆく。
  • 値段の高いきものは大丈夫、というわけではなく、また、完璧に手入れしたつもりの着物でもカビが出ることもある。カビやシミは運みたいなもの、と考えてもよいくらい。
  • 素人がこするのは良くないので、軽く叩いて落ちないようならすぐに専門家にまかせる。
  • 大事なものはいつもチェックすることを心がける。
  • とにかく、年に1回は着てください!

②出来上がり

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手入れをお願いしてから約10日ほどで出来上がりました。

カビ取り作業は早く取り掛かる必要があるので、優先してくれたそうです。

 

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羽織はシャキッとして見違えるようになりました。

 

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羽織の袖のカビは

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なくなっていました。

 

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後ろ身頃のカビは

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目立たなくなっていましたが

 

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明るくして見ると残っているのがわかりました。

 

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前身頃のカビは

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わからなくなっていました。

③費用はどれくらい?

主なカビは12カ所で、行った作業は「汗抜き」・「カビ落とし」・「スレ直し」でした。

はじめは揮発油、それで落ちない部分は水(霧吹きのようなもので)を使い、自然乾燥させながら様子をみるそうです。(無理に乾かすとシミになるそう)

スレは細かいブラシを使い、蒸気で繊維を立たせていくそうです。

今回は大丈夫でしたが、スレで色落ちしてしまった場合はあとから彩色することもあるそうです。(高度な職人技が必要らしいです)

汗抜き……8,000円
着物カビ落とし……9,000円
羽織カビ落とし……6,000円
スレ直し12カ所……4,000円

合計27,000円でした。

④感想

  • かなりひどい状態だったのに着用できるようになりホッとしました。
  • しばらく着る予定のないきものは、汗抜きや丸洗い(生洗い)をして収納し、時々タンスから出して状態を確認することがいかに大切かがわかりました。
  • 自分で処置するときはこすらずに上下に叩くこと。それで落ちなかったら直ちに専門家に任せることが重要だと思いました。

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