生地

絞りの浴衣 その1

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もうすぐ7月。浴衣の準備を始めている人もいると思います。

今日は絞りの浴衣を取り上げます。

1.絞りの浴衣

①絞りの浴衣とは

絞り染めで染めたり、模様を表した浴衣のこと。愛知県の「有松(ありまつ)・鳴海(なるみ)絞り」が有名で、木綿を藍で染めたものが代表的です。

②有松と鳴海

有松と鳴海は現在は共に名古屋市緑区となっていますが、元々は別の地域で、それぞれ「有松絞り」、「鳴海絞り」と呼ばれていました。

昭和50年に「有松・鳴海絞り」として国の伝統工芸品に指定されたため、今の呼び名になりました。

私が子供の頃は「鳴海絞り」はよく耳にしていましたが、「有松絞り」は馴染みがありませんでした。

③絞りの浴衣の魅力

  • 絞り浴衣は生地表面に絞りの凸凹があるため、肌に張り付かずサラッとした清涼感があります。
  • 絞りによる立体的な華やかさや高級感があります。
  • 藍と白のシンプルな色合わせが多いので、どんな帯でも良く合います。
  • 藍と白の絞りの浴衣は、年齢を気にせずどんな柄でも選ぶことができます。

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絞りの浴衣を着た娘と。浴衣は私が十代の頃から着ていたものです。

 

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若い女性が着用するといっそう華やかに見える柄です。宝相華(ほうそうげ)と呼ばれる空想の花です。

 

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今まで自宅で水洗いしてきたので藍は多少薄くなっていますが、絞りのせいか古さは感じません。木綿の帯も私のお下がりです。

 

2.絞りの技法と道具

絞りにはいろいろな種類があります。また、絞りによって使われる道具もさまざまです。

『絞り染め大全』安藤宏子著 誠文堂新光社 2013年を参考にしてまとめてみます。

①糸だけで括(くく)る

器具は使わず、布の一部を指でつまんで糸でくくります。

②縫って絞る

文様の線や輪郭を縫ってから引き締める絞りで、縫い方でいろいろな絞りができます。

③巻き上げ台を使用する
④くの字かぎ針を使用する
⑤鹿の子台を使用する
⑥烏口状の台を使用する

③~⑥では木製の絞り台を使用します。

③④⑤は、いずれも絞り台座の上に高さ60cmほどの竹製の棒を立て、先端に紐と専用の金具を付けて使用します。

⑥は台座の上に丸竹を立て、竹の先を割った部分に生地を挟んで使用します。

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△③巻き上げ台

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△④くの字かぎ針の付いた台

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△⑤鹿の子台

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△⑥鳥口状の台

写真は『絞り染め大全』安藤宏子著 誠文堂新光社 2013年より引用

 

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△鹿の子台で「鹿の子絞り」をしているところ

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△鳥口状の台で「手筋絞り」をしているところ

上の二枚の写真は『日本の手わざ 有松・鳴海絞』(解説:竹田嘉兵衛 撮影:野久保昌良 源流社2006年)より引用

⑦防染や染め方を工夫した絞り

板締め・雪花絞り・竹輪絞り・おっこち絞り(追東風絞り)・桶絞りなど

 

3.いろいろな絞り

道具や絞り方によって、どのような絞りができるのでしょうか。

たくさんの種類があるようですが、手持ちの絞り製品で少しだけ見ていきたいと思います。(浴衣用の木綿だけでなく他の素材も含まれます)

①糸だけで括る

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△巻き上げ絞り

紙衣(和紙)の帯に施されたもの(2018.4.30の記事参照)

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△京疋田鹿の子絞り

鹿の子絞りでも鹿の子台と針は使用せず、指先の作業だけで絞ります。

②縫って絞る

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△平縫い引き締め絞り(南部茜絞りの木綿うわっぱり)

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△重ね縫い絞り(片野絞り)

片野絞り*の浴衣に博多帯を合わせています。

*片野絞り…片野元彦が有松の藍染め絞りをベースに独自の技法で確立した絞りのこと。
板や棒の代わりに折り畳んだ当て布で防染するもので、当て布の上から文様にそって一針ずつ縫ってから絞ります。

 

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片野絞りについては2015.8.152017.7.17の記事で取り上げています。

③巻き上げ台を使用する

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△平縫い巻き上げ絞り(浴衣の一部)

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△帽子絞り(花びらの部分)

④くの字かぎ針を使用する

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△三浦絞り(男物の浴衣)

⑤鹿の子台を使用する

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△鹿の子絞り(葉や花芯部分)

⑥烏口状の台を使用する

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△手筋絞り(絹の長襦袢)

⑦防染や染め方を工夫した絞り

<板締め絞り>

板締め絞りとは、布を幾何学的に折り畳み、その形に合わせた板ではさんで防染する方法です。

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△板締め絞りの浴衣

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△麻の葉形に染めるために折り畳まれた布(『絞り染め大全』安藤宏子著 誠文堂新光社 2013年より)

大きい三角形の間に、交互に小さい三角形が折り畳まれた状態です。

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△板で挟んだ布(前掲書より)

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△麻の葉形の板締め絞り

<おっこち絞り>

おっこち絞りとは、絞った部分だけを染める部分染めです。他の部分はそのままの地色(ほとんどが白地)で残します。

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△おっこち絞り
(白地の浴衣)

*おっこち絞りの名前には素敵な由来があります。

昔の染色場はほとんど露天で、絞り上がった白地を藍染めにしようと、藍がめの縁の水切り竹の上に載せておいたところ、東風(こち)が吹き、布の一部が藍がめの中に落ち、その部分だけが染まったといい、これでこの追東風(おっこち)染めが生まれたという伝承があります。

『絞り染め大全』安藤宏子著 誠文堂新光社 2013年より引用

 

4.我が家の絞り浴衣をチェック

しまい込んでいたものも含め、絞りの浴衣を今回久しぶりに出してみました。

藍と絞りの大胆な柄行きは、きものにはない魅力です。

次回ご紹介します。

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