下着

暑い季節の長襦袢を考える

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今日は5月~9月のきものに合わせる長襦袢を取り上げ、麻の長襦袢のレビューをします。

1.単衣の長襦袢

単衣長襦袢とは襦袢生地一枚で仕立てられ、裏地がないものです。

それに対して袷の長襦袢は、袖口と裾が袷に見える「無双」に仕立てられたものです。(昔は着物と同じように、表裏二枚の生地で仕立てていました。)

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△単衣長襦袢

本来は単衣のきものに合わせるものですが、4月10月の暖かい時期の袷の下にも着用しています。袖が単衣だと軽いので、ずっと涼しく感じます。

 

2.木綿の長襦袢

木綿は気楽に着られ、カジュアルきものに適しています。私が着用しているのは以下の襦袢です。

①厚手のレース

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レースといってもそれほど穴がないので、着用時の涼しさは微妙ですが、振りから見える生地が涼しげです。

透け感が無いので4月の単衣襦袢の時期から着始めています。5月半ば以降は暑いのでやめて、また10月(上旬のみ)に着用しています。

厚手のレースは涼しさよりも見た目重視、ということでしょうか。

一定期間着用したら洗濯しています。

②薄い紗織りのレース

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紗織りになっているので薄いですが生地にコシがあります。4月終わりから着用しています。半衿が夏仕様でないのは、4~5月の暑い日に着るためです。

①②は寿光織というものです。上質のエジプト綿が使用されているようです。

 

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△寿光織生地の証紙

③ふつうの綿レース

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薄く柔らかい綿のレース生地です。麻の半衿を付けています。夏の普段着用。浴衣で外出する時などに着ています。

 

3.紗の長襦袢

紗*は目が粗く通気性が良いため、夏の長襦袢として適しているようです。

*紗…「紗(しゃ、うすぎぬ、さ)とは捩(もじり)織で織られた、薄く透き通る絹織物。
緯糸を一本ずつ取った上で、強捻糸の経糸を二本ずつ絡ませて織り上げたもので、生糸で織り上げることが多い。」(Wikipediaより)

①紗のレース

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生地は絹の紗で、全体にレースの透かし模様があります。このレース部分の肌に当たる感触が独特で、涼しく感じます。絽の衿を付けて6月の単衣の時期から9月上旬まで着ています。

②ピンクの紗

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若い頃の物ですが、小紋や付下げの下にも着用していました。サラサラで肌に密着しないところが着やすい点です。6~9月上旬に着用していました。

 

4.絽の長襦袢

①平絽

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柔らかいきものには絽の長襦袢が一般的だと思います。6月から9月まで着ています。

②駒絽(こまろ)

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見た目は①と同じようですが、駒絽は、撚りがかかった駒撚糸を使っているためシャリ感があり、平絽より涼しく感じます。6月から9月まで着ています。

①②共に絽の衿を付けています。

 

5.麻の長襦袢

①麻の紋紗

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地は薄いピンク。紋紗で透かし模様があります。麻絽のちぢみ半衿を付けています。カジュアルなきものに合わせて7,8月に着ています。

②麻絽

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絽目のある麻です。

麻絽と麻の着心地の違いはあまり無いですが、きものの振りから少しのぞくときなど、絽目があるほうがきちんとした感じがします。そのためこの長襦袢は絽のきものにも使用しています。

半衿も麻ではなく絽の衿が付いています。

①②の麻の長襦袢の特徴は、何と言っても肌触りがサラッと涼しく快適なことで、盛夏のきものには欠かせない長襦袢です。

 

6.麻の長襦袢インターネット購入レポート

先日(5月10日)娘のために麻の長襦袢をネットで注文したところ、面白い体験をしたのでご報告します。

①「仕立て上がり夏用本麻長襦袢」

楽天内のきもの通販会社が取り扱っていた「夏用本麻長襦袢」を注文しました。

サイズはS~LLまであり、麻100%、価格も手頃です。娘は夏にきものを着る予定はまだないのですが、サイズ直しが必要かもしれないので、早めに用意しておこうと思いました。

②届く

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注文の翌日届きました! 段ボールの内側に紙が掛けられているのはちょっとしたことですが印象が良くなります。

 

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ところが取り出してみてびっくり…

③麻の長襦袢に塩瀬の衿

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麻の長襦袢なので、当然夏用の衿が付いていると思っていたら、塩瀬(ポリエステル)の半衿が付いていたのです!

しっかり確認せずに注文してしまった自分のミスだと思いがっかりしました。

そして今度はAmazonの別のお店で、「衿が絽」と明記されているところに注文し直しました。

しかし、既製品の夏物襦袢なのに塩瀬の半衿とはどうも納得できません。当日は店舗の定休日だったので、翌日お店に電話してみました。

④お店の対応

私の指摘に先方は少し驚いた様子でした。私はもう別のお店に注文したことも話しました。すると、

「申し訳ありません。確認して折り返しこちらから電話致します。」

と言いました。

しばらくして、お店からの回答は次のようなものでした。

「在庫確認したところ、今年仕入れた麻の長襦袢は間違ってすべてに塩瀬の衿がつけられていたので、商品を仕入先に送り返し、衿の付け直しをさせることになりました。つきましてはお届けした長襦袢はもう送っていただかなくて結構ですので、お邪魔でなかったらお使いいただけませんか?」

私はびっくりしましたが、使わせてもらうことにしました。

⑤Amazonの販売店

翌日、Amazonに注文した長襦袢が届きました。
しかし…

またしても塩瀬の衿付きの本麻長襦袢でした。長襦袢は楽天の商品と全く同じものでした。

これは交換してもらわなければ、と又Amazonのお店に電話をすると…

「あゝ、そうですか。実はすでに会社のほうから連絡があり、昨日一人のお客様から衿が塩瀬だというクレームがあったらしいんですよ。それで急遽作り直しています。出来次第送りますから返品して下さい。販売のサイトも今は在庫無しにになっています。」

と、スムーズな返答です。でもこんな一言も。

「今シーズン、同じ襦袢を何枚も販売したのに、一件もクレーム来なかったんですよ。」

担当者の話から想像すると、前述の楽天の店と今回のAmazonの店は違う店舗ながら地域が同じで、元の会社(問屋?)は共通。だからクレームも共有しているようです。つまり昨日クレームを入れたお客とは私なのでしょう。

誰も文句を言ってなかったのに私のせいで……? もしかして最近は夏の襦袢にも塩瀬の衿を付けるのが当たり前になったのかしら?

と、何だか申し訳なくなってきました。

時代が変われば半衿だって変わってもいいのかもしれません。ポリエステルの薄い塩瀬なら洗濯もできるし、そもそもポリエステルなら塩瀬でも絽でも暑さは同じではないでしょうか。

 

それから約2週間後、絽の衿付き本麻長襦袢が届きました。

 

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きちんと絽の衿が付いています。

 

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このサイズ表示では、袖丈が47cmとなっていますが、実際は他のサイズと同じ49cmです。

何年も「Sサイズ47cm」と販売サイトで表示されていたようですが、私が電話で指摘したところ、サイトの表示は訂正されています。
<サイズ展開>
S:身丈127cm 袖49cm 裄62cm 前巾27cm 後巾31cm
M:身丈130cm 袖49cm 裄63.5cm 前巾27cm 後巾31cm
L:身丈133cm 袖49cm 裄65.5cm 前巾29cm 後巾31cm
LL:身丈135cm 袖49cm 裄66.5cm 前巾30cm 後巾32cm

 

7.単衣のきものに麻の長襦袢を着る

麻の長襦袢の着心地を確かめようと思い、楽天のお店からの長襦袢を着てみることにしました。

①麻の長襦袢をよく見る

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△塩瀬の衿付き麻の長襦袢

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衿は薄手なので暑苦しい感じはしません。むしろポリエステルの絽より薄いので楽かもしれません。

 

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中国製です

 

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薄くて肌触りも良さそうです。

②長襦袢の身丈

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この長襦袢はSサイズでも身丈は127cmあります。結構長めのサイズ展開だと思いました。

長襦袢の身丈は、身長-30cm、または身長×0.8と言われますので、小柄な方は、内揚げ又は裾上げをして調整すれば良いと思います。

私も裾上げをし、袖丈も着物に合わせて詰めました。

③紬の単衣に

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この日(5月21日)の東京の気温は31℃でした。上野文化会館小ホールでの室内オーケストラのコンサートに着用しました。

 

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真夏の暑さには麻の長襦袢が最適です。塩瀬の衿なら5月でも大丈夫ですね。

 

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帯は、型絵染作家 鎌倉芳太郎の紅型・朧型染(びんがた・おぼろがたぞめ)です。この帯については2016.11.1311.19の記事に詳しく紹介しています。

④お揃いのバッグ

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帯を二部式に作り直した時に少し残った端切れで作ってもらいました。

おそろいの帯とバッグの同時使用は、くどい感じになるかとためらったのですが、この日友人を待っている時に知らない方から

「あら、帯とバッグがお揃いなんですね!」

と声をかけられました。洋装の女性でしたがきものはお好きとのこと。バッグのお陰でしばし楽しい会話が出来ました。

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△ホールのロビーにて

 

8.友人の装い

音楽会に誘ってくれた友人が素敵なきもの姿でしたのでご紹介します。

 

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白大島に琉球藍型の帯です。涼しげでキリッとしたコーディネートに唐長の南蛮七宝文様のハンドバッグが良く合っていますね。

 

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△藍型の帯

友人もこの日は紋紗のような夏の長襦袢を着ていました。

 

9.夏用の長襦袢を5月から着用したい!

①単衣にも

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初めて5月に麻の長襦袢を着ましたが、涼しくてとても楽でした。塩瀬の半襟を付けた麻の長襦袢、カジュアル限定ですが、結構重宝しそうです。

他に紋紗や紗、絽も5月の暑い日には着用したくなりました。半衿はやはり薄い塩瀬を付けておくと良いですね。

きものだけでなく、気温に合わせた長襦袢の装い方も大切なことかもしれません。

 

皆さんはこの時期、どのような長襦袢を着ていますか?

②洗濯

帰宅後、着用した長襦袢を洗濯用ネットに入れて洗濯機で洗ってみました。

脱水を弱くすれば型崩れもなく元通り。そしてすぐ乾きました。

翌日はノーアイロンのまま着用しました。

 

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