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必需品! あしべ織り汗取り肌着~今の形になるまでの変遷~

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今年もあしべ織りの汗取り肌着の季節になりました。

今日は以前作られていたあしべ織り肌着をご紹介しながら、改めてその良さをお伝えします。

1.あしべ織り汗取り肌着とは

①燈芯(とうしん)

あしべ織汗取肌着(あしべおり あせとりはだぎ)は燈芯(とうしん)を縫い込んで作られています。

燈芯はイグサの中心部分を取り出したもので、行灯(あんどん)・ランプなどの芯として使われるものです。

燈芯は天然のスポンジとも呼ばれるほど吸収力が良いので、それを肌着に応用し、油の代わりに汗を吸収させているのです。

「あしべ織」は商品名だと思いますが、私が若い頃は「燈芯の汗取り」と呼んでいました。

②特長

燈芯の汗取り部分が汗を吸い、長襦袢や着物に汗を通さない

汗ばんでも、汗が着物へ移るのを防げるので着ていて安心感があります。

汗をかいても肌がベタつかない

汗をかいたときの不快な蒸れる感じが少なく、脱いだ後の肌はベタベタしていません。

補正の代わりにもなる

燈芯部分の厚みが補正の代わりにもなり、胸紐や伊達締めをしめるときのクッションになります。

洗濯後すぐ乾く

化学繊維が入っていないのに、洗濯後は乾きやすいです。

長持ちする

経験上とても長く着られ、汗取りの効果は変わらない気がします。

 

このような特長から、私にとって「あしべ織り汗取り肌着」は必需品。通年着用しています。

③注意点

  • 長年の着用により厚みがなくなってくるので、補正効果を期待する場合は注意が必要です。
  • 肌に燈芯部分の跡が付きます。(縦じわが付きます)

脱いだ瞬間はびっくりするかもしれませんが、汗で痒くなったりはせず肌はサラッとしていて跡もすぐに消えるので、慣れれば大丈夫です。

 

2. あしべ織り肌着の変遷

①ベスト型

あしべ織り肌着を私は二十歳頃から着用していますが、はじめに着用したのはベスト型の袖のないものでした。

もう残っていないのでご紹介できませんが、このベスト型の上に普通の肌襦袢を着ていました。

袖が重ならないのでごろつかずスッキリ。そんな着やすが気に入り、踊りの稽古などに愛用していました。

②脇パッドなし

袖付きのものでも、はじめは脇パッドがありませんでした。

脇汗パッドという概念が和服の世界ではなかったのだと思います。

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△脇パットがないあしべ織り肌着

脇パットなしでは着ていて少し不安です。

 

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昭和50年頃にはこのような脇パッド付きが出始めたようですが…

 

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現在のもの(左)と比べるとかなり小さいものでした。

③前が二重になっている

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これは肌襦袢の内側に燈芯部分が縫い付けられたようになっているものです。

 

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背中の上まで燈芯がある優れものです。

 

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前は内側の燈芯部分を結んでから

 

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外側の襦袢を打ち合わせます。

 

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最後にマジックテープ付きのベルトも止めます。

これは布地が多く必要で縫製の手間もかかりそうなので、販売期間が短かったのかもしれません。

③自分で袖にレースを付けて

母が遺したあしべ織り肌着には、袖口にレースが付けられているものが何枚かありました。

現代でも筒袖の「うそつき半襦袢」(衿が付いていて長襦袢を着ているようにみえるもの)にはレースが付いていますが、昭和の頃は肌襦袢の袖にレースをつけるのが流行っていたようです。

母は普段着でもガーゼやさらしのレース付き肌襦袢を着ていました。また、自分で好みのレースを買って縫い付けることも多かったです。

袖が長くなるぶん長襦袢や着物が肌に直接触れないため、生地を汗などから守り、サラッとした着心地になるという利点があります。

また、チラッと袖口からレースが見えることがお洒落だったのかもしれません。

 

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△レース付きのあしべ織り肌着

 

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袖が長くなるので、着物の袖口ぎりぎりにレースがくる状態になります。

 

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このようなレースの袖を、母は何枚も常備していました。

 

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中にはこんなレースも

 

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これはレースとしては重たいのですが、触れるとサラッとして肌につかないので涼しく感じます。

夏着物や浴衣の下の肌着としては最適なものです。

 

3.サイズ・洗濯について

以前のブログでも取り上げましたが、サイズと洗濯方法についてもう一度ご紹介します。

①あしべ織汗取肌着の寸法

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M~LLサイズまであり、以前のものより大きく作られているようです。

②洗濯の方法

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△洗濯表示

洗濯は手洗いがおすすめです。はじめのうちは天然繊維の色が出るので、単独で洗います。

私は着物を脱いだらなるべく早く手洗いしています。

水またはぬるま湯にエマール(おしゃれ着用洗剤)を少しだけ入れて素早く押し洗いします。すすいでから脱水は1分以内。

陰干しですぐ乾きます。(化繊ほど速乾では無いですが、翌日必要な場合でもほぼ大丈夫です)

私が洗濯機で洗うときは、一緒に洗う手ぬぐいやハンカチ、肌襦袢スリップなどであしべ織汗取を包んでからネットに入れて洗います。

そうすることで水流や脱水のダメージが直接伝わらないようにしています。

ただ、手洗いのほうが断然長持ちします。

 

 

今日はこれからの季節に活躍する「燈芯あしべ織汗取肌着」をご紹介しました。

初めてあしべ織汗取を素肌に着ると、軽くて柔らかな鎧(よろい)か防弾チョッキを着ている感覚になるかと思います。

まさに自分の汗から肌と着物を守ってくれる鎧です。

購入時は少し高いと躊躇するかもしれませんが、本当に長く着用できるものなので結果的には安いと思います。

永遠のベストセラー肌着といっても過言ではないでしょう。

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