先日、クラシックのコンサートに行きました。
歌舞伎や能など日本の伝統芸能を鑑賞する時はきものがぴったりですが、ほとんどの観客が洋服で来場するコンサートの時は何を着ようか迷ってしまうことがあります。
今日は音楽会のきものについて考えます。
1.洋風な柄のきもの
①花柄の小紋Ⅰ
3月下旬、東京都千代田区の紀尾井ホールでオーケストラとピアノによるコンサートがありました。
平日夜のコンサートで、ソリストは女性ピアニストですが歌手は出演しません。客席もステージもそれほど華やかではないと思ったので、黒地の小紋を選びました。
細かい柄の小紋です。知人のお母様から譲り受けたもので、昭和40年代に着ていらしたものだそうです。
帯は無地の綴れ帯です。帯の色はシンプルに、八掛ときものの柄のひと色に合わせました。
洋風の更紗でしょうか、可愛らしい花や葉、蔓の模様です。
昭和中期、このようにキュートでモダンな柄が流行っていたのかもしれません。
800席の紀尾井ホール。ロビーは賑わっていましたが、平日のせいか、きものの人はごくわずかでした。
ステージ上は出演者全員が黒の衣装でした。
②花柄の小紋Ⅱ
①の組み合わせと似ていますが、以前コンサートに着て行った小紋も昭和の香りがするものでした。
洋風の花柄小紋です。
帯は綴れの茶系無地を合わせています。
花束のようにも見える柄です。
帯留は蝶の柄、チェコガラスのボタンです。
草履は濃い色の方が落ち着きます。
以上の2例は洋風の柄のきものでしたが、常にそうしているわけではありません。
一口にクラシックのコンサートと言っても、内容や出演者、会場の規模によって雰囲気が違うので、何がふさわしいきものかは一概に言えません。
大きな会場で華やかなオペラを見るとしても、観客が2,000人を越すようなホールでは、普段着から盛装までさまざまな服装の人がいるわけですから、きものも何でも良いような気がします。
むしろ小さい規模でも、友人と一緒の鑑賞や、出演者が知り合いで本人や家族に挨拶する場合などには少し気を使います。
とは言っても服装は多分自己満足ですので、あくまでも「気を使っているつもり」ということでしょうか。
以下、過去にクラシックコンサートやオペラに出かけた時の写真を紹介します。
2.染めのきもの
①紋紗(単衣)
帯はバラ柄の絽綴れです。
②藍・型染め小紋(単衣)
藍のきものは洋装の中にいてもあまり浮かないような気がします。
③縮緬小紋(単衣)
古典柄ですが、これを着たかったので選びました。
3.紬のきもの
①縞(単衣)
単衣の時期は周りの服装も明るい色が多いので、黄色の紬でも大丈夫…な気が。
②郡上紬
郡上紬は程よいハリがあるので、長時間座ってもシワになりにくいのが有り難いです。
③大島紬に絞りの羽織
会場内は暖かいので羽織は脱ぐことが多いです。そのまま座ると羽織の裾のシワも気になりますし…。
④大島紬に更紗の羽織
更紗文様は音楽会に良く合う気がします。
⑤生紬(単衣)
ワインサロンでのコンサート。生紬の訪問着です。
⑥型絵染(単衣)
終演後に出演者と。6~9月はきものの観客がとくに少ないです。
⑦玉ねぎ染
音楽会のイメージカラーが「青」なので帯を青に。
クリスマスイブだったのでブローチで楽しみました。これらの取り合わせはほとんど周囲の人には気づかれない自分だけの楽しみです。
⑧弓浜絣(木綿・単衣)
郊外の小さい会場でのオペレッタでしたが客席の年齢層が高く、きもの姿も数人見られました。
⑨幾何学文様の絣(単衣)
藍の板締め絞りの帯を合わせました。
4.音楽会のきもの・まとめ
写真に残っていた音楽会でのきものに統一感はなくバラバラな感じですが、しいて言うなら洋風の花、幾何学模様、藍、紬でしょうか。
目立ちにくい色や柄を選んでいた時もありますが、全く気にしないで古典柄を着たこともありました。
きもの好きの多くがそうであるように、私も出かける時には「着たい!」と思ったきものを着るようにしています。
チケットを入手したら、会場やステージの様子を想像しつつ、思い付いたきものに帯を合わせていきます。その自然なイメージこそがふさわしい装いになるのではないでしょうか?
そしてその時から音楽会を楽しんでいるのだと思います。