先日、「ぜんぶ、北斎のしわざでした。展」で北斎漫画などを楽しみました。10月にぴったりの厚手木綿の弓浜絣で出かけました。
1.CREATIVE MUSEUM TOKYO
①クリエイティブミュージアム東京とは
2024年11月に東京・京橋のTODA BUILDINGに開業した美術館です。
「作品」や「表現者」、さらにはそこに至る「プロセス」を大空間で体感できるのが特徴で、 アニメ、マンガ、音楽といったポップカルチャーや現代アート、デザインなど多彩な分野の展示を行っています。(参考:TODA BUILDING Webページ)
②アクセス
東京駅、日本橋駅、京橋駅からの徒歩が可能です。
ただし、駅直結ルートはありません。
- JR各線「東京駅」八重洲中央口より 徒歩7分
- 東京メトロ銀座線・東西線、都営浅草線「日本橋駅」B1出口より 徒歩5分
- 東京メトロ銀座線「京橋駅」6番出口より 徒歩3分
このビルの6階がCREATIVE MUSEUM TOKYOです。
③カフェ
時間の都合で行けなかったのですが、同フロアには展覧会のテーマカフェもありました。
「もし北斎が食堂を開いたら?」という視点から着想を得たそうです。
ブルーを取り入れた斬新なメニュがあるようです。
詳細はこちらから
↓
https://hokusai2025.jp/special/#20250827
2.「ぜんぶ、北斎のしわざでした。展」
①「マンガとアニメの原点は北斎」
葛飾北斎は90年の生涯で30,000点もの作品を残し、93回の引越し、30以上の画号を使い分けたそうです。
紙と筆しかなかった時代に、北斎の表現は、いまや世界を席巻する日本のエンターテイメント文化ー「マンガ」や「アニメ」のルーツともいわれています。
この展示会では、『北斎漫画』全15編、読本(よみほん)の挿絵、『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』、『富嶽百景』全3編など、300点超の作品が展示されています。
(展示会パンフレットより抜粋)
「集中線」「ギャグ描写」など、現代アニメやマンガの原点ともいえる作品に着目した新しい展示演出で、「200年前の北斎のしわざ」を体感できるというのがこの展示会のねらいのようでした。
従来の北斎ファンだけでなく、マンガやアニメに興味のある若者、海外からの観光客なども来館しており、通常の美術館とは違って圧倒的に若い人が多かったのが印象的でした。
会期は2025年11月30日までです。
https://creative-museum.tokyo/exhibitions/hokusai/
②印象に残った展示
『新編水滸画伝(しんぺんすいこがでん)』(1805~1844)
集中線や効果線が駆使されて現代人にとっても迫力満点です。
江戸時代の読者に大人気だったことが想像できます。
『略画早指南(りゃくがはやおしえ)』(1812年)
定規とコンパスで絵が描けることを教えています。
う・ら・め・し・いの平仮名で幽霊の絵を描く方法を教えています。
『北斎漫画』(1814年~)
思わず笑みがこぼれます。
江戸の人も面白いことが大好きだったのですね。
パラパラ漫画のような連続絵です。
『一筆画譜(いっぴつがふ)』(1823年)
『一筆画譜』は人物や動物をひと筆で描く方法を教えるものです。
墨の太さを巧みに使った鶴の描写が素敵です。
ひと筆でササッとこんな絵が描けたら……と江戸の読者が憧れてお手本にしたのだと思います。
『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)』
北斎が72歳頃の作品。あまりにも有名なこの作品とは展示の後半に出会うことができました。
色彩の少ない展示が多かっただけに、この富士山と波のプルシアンブルーは目が覚めるような鮮やかさでした。
③感想
- 300点を超える展示品をすべてよく見るには体力と根気が必要だと感じました。(私は好みのものだけを鑑賞しました)
- 動画以外は撮影可能なので、あとで改めて確認したり画の参考にできるのはとても良いことです。
- 「北斎のしわざ」を体感し影響を受けた現代人がそれを引き継ぎながら新たな文化を創造していくことこそがCREATIVE MUSEUM TOKYOが目指すものなのだと思いました。
- 北斎漫画をアニメーション化したコーナーがあり、多くの人が面白そうに見入っていました。
画期的な試みだと感心しました。
上に置かれているのは北斎漫画の袋だそうです。
3.我が家に遺されていた『北斎漫画』
展示されていた北斎漫画を見ながら、「あれ? これは実際に見たことがある」と思った私。
帰宅後すぐに家で保管している昔の本を確認したところ、1冊だけですが『北斎漫画』を発見しました。
展示の本よりずっとボロボロです。
①表紙
煤けてしまい表の色はわかりませんが、紙には地紋があるようで、左上の剥がれたところからは黄色がのぞいています。
内側を見ると黄色の表紙だったことがわかります。
義祖父の本で、古書店で入手したのかもしれません。かなり傷んでいてところどころ墨で汚れ、使い込まれています。
②第二編
内容を確認すると、第二編のようです。
展示されていた本と同じページで比較してみます。
家のものは色が薄く画もぼんやりしています。
展示本
色がはっきりわかり、字も鮮明です。貘と白澤は想像上の動物(霊獣)です。
家の本
家の本ではほとんど白黒です。
③大人気だった?北斎漫画
『北斎漫画』は葛飾北斎の画集として文化11年(1814年)に初版が刊行されましたが、北斎没後の明治11年(1878年)まで、全十五編が断続的に刊行されたそうです。(参考:Wikipedia.org)
明治10年生まれの義祖父は画や書をたしなむ人だったらしいので、いつも手元において参考にしていたのでしょう。
人間や自然、生き物、神仏妖怪、日常の道具などあらゆるものを画にしている『北斎漫画』は、江戸時代だけでなく、明治以降でも人々に愛された大ベストセラーなのかもしれません。
現代の漫画にも登場しそうです。
人々の服装や髪型、仕草など、見ていて飽きません。
よほど繰り返しページをめくったようで、左端はほとんどすり減っています。また、昔の人は紙をめくるとき指をなめていましたよね。それも摩耗の原因かと思います。
今回の展示のおかげで家の古本を見直すきっかけになり、北斎を少し身近に感じることができました。
長くなりましたので、当日の着物については次回ご紹介します。