イベント訪問

文化学園服飾博物館 ~能装束と歌舞伎衣装~

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先日、能と歌舞伎の衣装に焦点をあてた展示を見てきました。

衣装を見比べることもできる面白い企画でした。

1.「能装束と歌舞伎衣装」展

①文化学園服飾博物館とは

東京都渋谷区代々木にある、学校法人文化学園を母体とする服飾専門の博物館です。

文化学園は1923年に創設され、現在では文化学園大学、文化服装学院、文化ファッション大学院大学、図書館、博物館などを擁し、日本の服飾教育の中心を担っています。

(文化学園服飾博物館の案内パンフレットより抜粋)

②駅からほぼ直結

博物館はJR新宿駅から徒歩7~8分の甲州街道沿いにありますが、地下鉄を使うと便利でした。

 

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都営地下鉄新宿線または大江戸線の新宿駅でおりたら、「新都心口」の出口へ

 

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出口01を目指します。

 

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都庁方面です。

 

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地下道をまっすぐ歩き

 

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左側の出口へ

 

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地上に出ると建物が見えます。

 

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博物館の入口にて

③装束と衣装

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展示会のタイトルは「能装束と歌舞伎衣装」です。(展示会チラシより)

<装束>と<衣装>、どちらも同じような意味ですが、能と歌舞伎では使い分けられています。

能では装束と言い、歌舞伎では衣装です。

装束は宮廷装束、舞楽装束というように、時代が古いものに使われています。

能の源流が奈良時代までさかのぼるのに対して、歌舞伎は江戸時代、400年の歴史なので、このような違いになったと考えられます。

また、能は江戸幕府の式楽と定められ、各藩が競って上演し、装束も豪華なものが作られました。

そしてそれらの装束は現在でも使われているそうです。

能装束は1回の公演が終わるごとに陰干しをし、ときには修繕をしながら代々使い続けていきます。洗うことはないそうです。

一方歌舞伎は、1ヶ月(25日間)続けて舞台で使用するため消耗が激しく、化粧の汚れもあるので、着物と同じようにドライクリーニングや洗い張りをしたり、作り替えたりしていきます。

このような扱いの違いが、能装束と歌舞伎衣装の質の違いに反映されていると思われます。

 

2.印象に残った展示

能を題材とした歌舞伎舞踊劇の衣装と、元になった能の装束が並べて展示されていた点が興味深かったです。

また、近くで見ると、その細かい作りに関心する歌舞伎衣装もありました。

いくつかご紹介します。

①能と歌舞伎で趣が違うもの

道成寺

<能>「道成寺」

井伊家旧蔵の黒地に丸紋尽し文様の「縫箔(ぬいはく)」*が展示されていました。

*縫箔…刺繍や、箔を摺って文様を表した装束

黒地に丸紋尽し文様は、嫉妬に狂った女の扮装として決まっているもので、「道成寺」のほかには「葵上」で使われるようです。

 

これは能装束の虫干し見学で撮影した丸紋尽し文様 の縫箔です。(観世流能楽・武田家所蔵)
近くで見ると可愛らしい文様です。嫉妬に狂う前の女性は上品で可愛らしかったのでしょう……。

(能装束の虫干し見学についてはこちらで取り上げています)

 

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△道成寺の前シテの装束(『演目別にみる能装束』観世喜正・正田夏子著 淡交社 より)

 

<歌舞伎>「京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)」

「京鹿子娘道成寺」は能「道成寺」をもとに初代中村富十郎(1719年 – 1786年)が女形の舞踊として初演したもので、枝垂れ桜文様の振袖を着た若い女性が登場しますが、その振袖に締める帯が黒地に丸紋尽し文様です。

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△展示されている「京鹿子娘道成寺」の衣装(松竹衣裳株式会社所蔵)(展示会のチラシより)

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△京鹿子娘道成寺(『NHK日本の伝統芸能』日本放送出版 2001年発行より)

展示されていた能の縫箔は明治時代のもので、刺繍は大変緻密で色も深みがありました。

一方、歌舞伎の丸紋帯は遠くからでも目立つように柄や刺繍が単純で、色もはっきりと現代的な感じでした。

同時に見るとその違いがよくわかり面白かったです。

②能と歌舞伎でほぼ同じもの

翁と操り三番叟

<能>「翁(おきな)」

能の演目の中でも特に神聖なもので、メインの翁の舞、千歳の舞のあと、後半に狂言方が三番叟を舞う構成です。

 

<歌舞伎>「操り三番叟(あやつりさんばそう)」

翁と千歳は序盤に少し踊るだけで、メインは三番叟です。

「操り三番叟」の場合は 、踊り手があやつり人形のような動きで「三番叟」の振りをするとても楽しいものです。

(他には「寿式三番叟」「舌出し三番叟」「郭三番叟」……などいろいろあります)

並べてあるとどちらが能で、どちらが歌舞伎かわからないほど、衣裳はよく似ていました。

しかし、よく見ると生地や織の重厚感が違い、歌舞伎は舞踊用に軽めに作られているようでした。

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△能「翁」
上は蜀江錦(しょっこうにしき)の狩衣(かりぎぬ)
下は八藤丸(やつふじのまる)の指貫(さしぬき)
『能を彩る文様の世界』野村四郎・北村哲郎共著 檜書店より)

石橋と連獅子

<能>「石橋(しゃっきょう)」

展示では

  • 「袷法被(はっぴ)」(上衣)… 明治時代
  • 「厚板(あついた)」(上衣の下の小袖)…昭和初期
  • 「半切(はんぎれ)」(袴)…江戸時代後期

がそれぞれ単独で並べてありました。

半切は、少し傷んでいましたが、金襴(きんらん)による見事な装束でした。

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△能「石橋」(『能 修羅と艶の世界』堀上謙 能楽書林より)

 

<歌舞伎>「連獅子(れんじし)」

こちらの衣裳は組み合わせて展示されており、今にも獅子として踊りだしそうな感じでした。

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△親獅子の精(連獅子)松竹衣裳株式会社所蔵(展示会チラシより)

歌舞伎の場合の袴は「大口(おおくち)」という種類で、能と同じように厚い生地で左右に張った横広の袴ですが、金襴の袴「半切」より軽いようです。

③その他面白かったもの

歌舞伎の世話物(江戸時代の庶民の日常を題材にしたもの)で使われる2つの衣裳の展示が印象的でした。

 

<刺青着肉(いれずみ きにく)>

刺青を彫ったように見せる「着る肉」で、役者の身体、肌の色、役柄の性格に合わせて丁寧に作られるそうです。

手間のかかる製作工程が説明されていて、舞台で刺青の肌が違和感なくリアルに見える理由がわかり、感心しました。

 

<お岩のきもの>

東海道四谷怪談のお岩の衣裳が展示されていました。

ちりめん地に細かい菊の小紋柄で、グレーの地味な着物です。

よく見ると肩から腕、袖、袖の中(ふり部分)、裾と裾の裏に点々と薄い血糊が付いていました。

遠くからでは見えないような薄い血の色がリアルで、少し気味が悪かったです。

 

3.当日のきもの

①歌舞伎を思い出す大島で

この日は若い頃愛用していた大島を着用しました。

初めて母とではなく、友人と二人で歌舞伎を見に行った16歳の頃着ていた思い出のきものです。

 

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「目引き染」で地味にして着ています。

 

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△元のきもの

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△14歳頃

目引き染についてはこちらで取り上げています。

②タイトルは「菊づくし」?

当日の装いのタイトルは、勝手に「菊づくし」にしました。

 

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十六菊文の色大島に乱菊の帯留め……

 

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誰にもわからないと思いますが、菊柄の帯揚げです。

 

(おまけ)

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△日本舞踊 長唄「菊づくし」(5歳の私)

江戸友禅の菊のきものに菊のかんざしを付けています。

菊がたくさん描かれた文様を「菊づくし」ともいいますが、この子ども用長唄舞踊を連想する人も多いと思います。

 

「能装束と歌舞伎衣装」展は2019年11月29日(金)まで開催しています。

 

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