新年1月2日、江戸東京博物館で新春にふさわしい展示やイベントを楽しみましたのでご紹介します。
(前回記事の続きは、次回以降にお送りします。)
1.正月イベント
1月2日には常設展示室で新春イベントがありました♪
①獅子舞
1日3回、正月の伝統行事である獅子舞が常設展示室の中を練り歩きました。
今では珍しくなってしまった獅子舞ですが、大人や子供に囲まれ大人気でした。
②箏と尺八の演奏
この日は「さくら」「六段」「千鳥の曲」「春の海」が演奏されました。
美しい「春の海」の演奏を間近で聞くことができ、気分はまさに新春! でした。
③からくり人形
1日3回、中村座の前でからくり人形公演が行われました。
公演時間以外は、展示されている人形をじっくり見ることができました。
2.企画展「春を寿ぐー徳川将軍家のみやびー」
①期間と場所
平成31年1月2日~3月3日
両国の江戸東京博物館・常設展示室内 5F企画展示室にて
(企画展示室は5F「江戸ゾーン、芝居小屋中村座」の奥側にあります)
※ 江戸東京博物館については以下の記事でも紹介しています
②展示概要
徳川将軍家ではどのような春を過ごしていたのでしょうか。
京都の宮家や摂関家と婚姻関係が結ばれることによって、武家社会にもみやびな慣習が浸透していき、美しい道具や芸術品が作られました。
今回は徳川将軍家の春の行事を月ごとに紹介する展示です。
<月ごとのタイトル>
- プロローグ
- 第1章 睦月 将軍家の正月
- 第2章 如月 花ひらく春
- 第3章 弥生 典雅な雛道具
- エピローグ
本展覧会では、德川宗家に伝来する東照宮御影(元日拝礼)をはじめ、十三代将軍徳川家定正室の天璋院篤姫と十四代将軍徳川家茂正室の皇女和宮が所持した雛道具、江戸中後期の精緻な銀細工や豆人形などを展示いたします。
これらの作品を通して、徳川将軍家の年中行事や季節感、美意識などを味わっていただきたいと思います。
(江戸東京博物館・企画展のチラシより)
展示室は、江戸ゾーンや東京ゾーンとは少し離れた部屋のため、静かにゆっくりと鑑賞することができました。
③展示紹介
<第1章 将軍家の正月>
徳川将軍家の元日は、徳川家康の肖像画に拝礼することから始まるそうです。
△「東照宮御影元日拝礼」(江戸東京博物館ニュースvol.103より引用)
△銀細工 献兎賜杯(德川記念財団所蔵)(江戸東京博物館ニュースvol.103より引用)
正月には、兎の肉を入れた吸い物が将軍の祝膳に出されたそうです。
小さな銀細工です。
<第2章 花ひらく春>
△十四代将軍徳川家茂正室和宮の小袖(浅葱縮緬地松竹梅桜菊網干文様)(德川記念財団所蔵)(江戸東京博物館ニュースvol.103より引用)
鮮やかな浅葱色(水色)に松竹梅、桜と菊だけでなく、水辺の風景として網干、蓑や笠、水草や岩などが刺繍で描かれていて、大変豪華な小袖でした。
△銀細工 兜に梅の花一枝(德川記念財団所蔵)(江戸東京博物館ニュースvol.103より引用)
誰もが思わず見入ってしまうはず。精密で、ごく小さい銀の兜と梅の枝でした。
<第3章 典雅な雛道具>
十三代将軍徳川家定の正室篤姫と、十四代徳川家茂の正室和宮の雛道具が展示されています。
△篤姫の雛道具 書棚(左)・厨子棚(中央)・黒棚(右)(黒塗松唐草牡丹紋散蒔絵雛道具)(德川記念財団所蔵)(江戸東京博物館ニュースvol.103より引用)
第3章の雛道具のコーナーは撮影が許可されていました。
△篤姫の雛道具(黒塗松唐草牡丹紋散蒔絵雛道具)(德川記念財団所蔵)
塗りや細工の技術が素晴らしく、雛道具は重要な嫁入り調度品だったことが実感できました。
△女乗物 (黒塗牡丹唐草葵浮線菊紋蒔絵雛道具)(德川記念財団所蔵)
葵と菊の紋を見ると、雛道具が和宮の婚礼道具の一部であることがよくわかり、京都から輿入れした和宮の覚悟や思いにまで想像が膨らみます。
3.当日のきもの
①控えめな葵のきもの
この展覧会を見るに当たり、まず頭に浮かんだきものを選びました。
緑色の御召です。
御召は徳川11代将軍、家斉が好んだことから、その名が生まれたといわれています。正式名は御召縮緬です。
※ 御召については2017年3月5日、以下の記事でも取り上げています
二葉葵の文様です(徳川家の葵紋からの安易な連想ですが、三つ葉葵に対してこちらは二葉葵で敬意を表したつもりです)
②黒塗蒔絵をイメージした帯
綸子地に金箔を施した黒い帯を塗物に見立てました。
帯締は橙色を選びました。橙は正月の鏡餅を連想させます。(冬を経ても実が落ちないため「代代(だいだい)」に通じて家の繁栄や長寿を意味します)
このように説明すると味気ないですが、個人的にはお正月早々、きもの選びや取り合わせで楽しむことができました♪
今回の企画展「春を寿ぐー徳川将軍家のみやびー」は3月3日まで開催されています。
江戸東京博物館は何度訪れても新しい発見があり、子供からお年寄りまで満足できる楽しい観光スポットです。
皆さんもぜひ遊びに行ってみてください。